ヘッジファンド6兆円数学博士も本領発揮-スイートスポットか

数学の博士号を持ち、ヘッジファン ドの運用担当者に転身したニール・クリス氏は、今や本領を発揮しつつ ある。

クリス氏(47)はニューヨークに拠点を置くヘッジファンド運営会 社ハッチン・ヒル・キャピタルを6年余り前に設立し、大口投資家のニ ーズに応えることを目指してきた。

同種のファンドの平均の約6倍に相当するプラス12%の年間リター ンを達成した同氏は現在、資金集めに最適なスイートスポットをうまく 捉えている。ヘッジファンドの手法で今年最も人気が高いマルチストラ テジーの採用が幸いし、同社は12億ドル(約1250億円)の資金を集めて 運用資産を倍増させた。

着実なリターンと相場下落に対する保証を求める投資家の動きを背 景にヘッジファンドには今年、2007年以来の多額の資金が流れ込むこと が予想される。シタデルやオクジフ・キャピタル・マネジメント・グル ープ、ミレニアム・マネジメントといったヘッジファンド運営大手への 流入が最も多いが、ハッチン・ヒルのように比較的規模が小さいグルー プに属する各社もそれぞれ10億ドルを上回る資金を既に集めており、ク リス氏も主に恩恵を受けている1人だ。

ヘッジファンドに50億ドルの資金を振り向けるエバンストン・キャ ピタル・マネジメント(米イリノイ州)のアダム・ブリッツ最高経営責 任者(CEO)は「ヘッジファンドコンサルタントの承認済みリストに 掲載され、運用資産を増やしたい著名なマネジャーが運用するかなり狭 い世界に大口の資金が投入されている」と指摘する。

膨らむ運用資産額

調査会社ヘッジファンド・リサーチ(HFR)によれば、昨年1年 間のヘッジファンドへの純資金流入額は637億ドルに達したが、今年は 1-6月(上期)だけで570億ドル(約6兆円)が集まった。

HFRによると、ヘッジファンド業界の金融危機後の平均年間リタ ーンがプラス7%にとどまり、それ以前の18年間のプラス12%を下回っ ているにもかかわらず、運用資産額は過去最高の2兆8000億ドルに膨ら んでいる。

さまざまな戦術を駆使して各種の資産クラスに投資するマルチスト ラテジーを採用するファンドは今年最も人気が高く、純資金流入額 は295億ドルに上る。年初から7月末までのリターンもプラス4.4%と、 ヘッジファンド全体(プラス2.5%)をしのぐ運用成績を残した。

マルチストラテジー

ボストンを拠点とするバルター・キャピタル・マネジメントのマネ ジングパートナー、ブラッド・バルター氏は「年金基金はマルチストラ テジー・ヘッジファンドを万能サイズの投資と考えている。魅力的な投 資機会を捉えることが非常に難しい現在、これらのファンドは投資委員 会による資産配分見直しを待たずに運用担当者に戦術の決定を任せてい る」と話す。

ハッチン・ヒルは、数量モデルに基づいてトレーディングの決定を 行う手法を含めて5つの主要なストラテジーを採用。シカゴ大学で博士 号を取得したクリス氏は、ハーバード大学の教職からウォール街に転身 し、資産家スティーブン・コーエン氏のヘッジファンド運営会社SAC キャピタル・アドバイザーズでの勤務を経て、07年にハッチン・ヒルを 設立した。

原題:Citadel, Hutchin Hill Leading Funds Raising Most Since ’07 (2)(抜粋)

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