48年ぶりの原発なき夏-運転再開は胸突き八丁、安全性問う根強い声

原子力発電所の再開が正念場を迎え ている。東京電力の福島第一原発事故から3年超。48年ぶりに迎えた原 子力発電のない夏は間もなく終わろうとしているが、原発の安全性を疑 問視する国民の声は依然強く、運転再開に向けた状況はまさに胸突き八 丁だ。

原子力規制委員会は7月16日、九州電力の川内原子力発電所1、2 号機の新基準適合を確認する審査で、事実上の合格証となる「審査書 案」を決定。8月15日まで30日間かけて、審査書案に対する一般から意 見を募集した。

商業用原発が1966年に運転を開始して以降で初めて原発ゼロの夏を 迎えたが、再稼働の承認は安全性を疑問視する世論の影響を受ける可能 性があり、運転再開時期の見通しに不透明感が高まっている。

再稼働できない原発の影響を大きく受けているのが、火力発電用の 燃料の輸入費用だ。輸入が増大した液化天然ガス(LNG)や石炭、原 油・重油の調達コストがかさみ、貿易収支の赤字額が過去最大となって いる。

今後の焦点となるのは、川内原発の再稼働の是非を判断する地元自 治体の意向だ。朝日新聞が7月に実施した世論調査では、59%が川内原 発の運転再開に反対。東京・霞が関の経済産業省本館前の一角にあるテ ントで脱原発を訴えている三上治さんは、「福島事故の総括、事故の検 証から安全対策まで何もできていない状況で、こんな無茶なことはやら ないでほしい」と述べ「川内原発の再開は危険だ」と話した。

1万7000通の意見書

規制委広報担当の奥山祐矢氏によると、15日まで行われた川内原発 の審査書案に対する意見公募では、一般から約1万7000通の意見が集ま った。今後、これらの意見を反映させて正式な審査書が作成されるとい う。

JPモルガン証券のアナリスト西山雄二氏は、規制委による他の原 発に対する安全審査は川内原発のプロセスが「ひな形となって早く進む 可能性は否定しない」としつつ、「今までの経緯から見ても最良のシナ リオで実現したことはない」ため、今後の再稼働のスケジュールについ ても楽観視はできないと述べた。西山氏は7月の時点では年内に川内原 発の1基が再稼働すると予想していたが、九州電力による書類提出の遅 れなどにより年内の再稼働はないと予想を修正している。

日本エネルギー経済研究所の原子力グループの村上朋子グループマ ネージャーも、川内原発の再稼働は「すんなりとはいかないだろう」と 予測する。さらに、再稼働を了承する判断をした人が「何か起きたとき にまるで責任者のようになってしまう」という懸念があるため、世論を 恐れて決断が遅れる可能性があると指摘した。

原題:Japanese Public Seen as Biggest Obstacle to Nuke Restart: Energy(抜粋)

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