デンソー:日本発の国際標準へ、3年で独に追いつく-自動車

欧州勢がリードしてきた自動車関連 の標準化で、日本勢が主導権の確保に向けて動き始めた。自動車向け部 品メーカーのデンソーは、3年後をめどに電子・情報セキュリティ分野 で世界標準を策定し、日系メーカーの存在感向上を目指す。

工業部品の国際標準を策定するISO(国際標準化機構)で、デン ソーは日本企業としてISOの67年の歴史で初めて自動車分野の分科会 幹事に就任。機能安全・情報セキュリティ分野の分科会(SC32)で取 りまとめ役を担う。自動車分野の分科会の再編で、独ボッシュから役割 を引き継ぐ形となる。

幹事となるデンソーの秋山進・電子基盤システム開発部担当部長 は25日のインタビューで、これまで国際標準の多くがドイツなど欧州発 だったため、日本の技術は世界展開の機会を逸することがあったと指 摘。その上で、ISOの幹事として「3年後にはドイツ勢に追いつき、 日本発の国際標準をやっていたい」と語った。

SC32では、車の電子制御の安全機能やサイバーセキュリティ機能 などの標準を策定する。注目が高まる自動運転車両のセンサーを含む重 要技術などにも影響する。クレディ・スイス証券は、自動車電子部品市 場は2015年に11兆円、30年には30兆円に拡大すると予想している。

安倍晋三政権は日本の競争力を高めるため国際標準化への取り組み を進めている。ISOのほか、IEC(国際電気標準会議)、ITU (国際電気通信連合)など国際標準化機関で幹事国となる件数を10年末 の78件から、15年までに世界3位の水準(95件)へ引き上げることを目 指している。

「標準をとっておけばよかった」

日本の自動車産業は高い技術力を持ちながら、これまで標準化策定 に積極的ではなかった。自動車技術会の堀越太氏は、背景にサプライヤ ーと一体化した系列での技術開発があると指摘する。自社開発製品を海 外に広く普及させるよりも、系列内で高品質・低価格を追求していくこ とを優先してきたためだという。

デンソーの前に、ISOの電子関連分科会で幹事を務めたボッシュ は、80年代から標準化に取り組み、93年に自社開発の車載ネットワーク システム「CAN」をISOで標準化した結果、各国の車両に広く採用 されるようになった。デンソーでも同様の製品「BEAN」を開発した が、海外部品調達率の拡大とともに日本車でもCANの搭載が増え、現 在ではCANに集約されつつある。

秋山氏は、BEANの性能は決してCANに劣らないが、当時は系 列内で綿密に議論してつくる「すり合わせ」やコスト低減・品質確保に 注力し、「世界標準をとるという発想はまったくなかった。後からとっ ておけばよかったと思った」と振り返る。同時に、「そのころ、10年後 に生き残るの技術は1つか2つだと考えて標準をとったボッシュに学ぶ 必要がある」と語った。

部品メーカーの生き残り

自動車技術会の堀越氏は、国内部品メーカーは標準化に対応してい かなければ生き残りが難しくなるとみている。国内市場は縮小傾向にあ り、国際標準を満たしていなければ海外メーカーへの供給など世界展開 が見込みにくいためだ。

系列ごとに独自技術を開発してきた部品メーカーが標準化へ動きだ すのには、顧客でもある自動車メーカーの理解が不可欠で、堀越氏は、 そうした意識の変化はようやく始まった段階とみている。日本自動車工 業会(自工会)は5月、国際標準検討会を設置。先進安全技術の分野な どで協調領域を議論し、国際標準への反映を模索する。

デンソーが幹事を務めるISOの分科会では現在、再編前に抱えて いた280余のプロジェクトを精査する作業中だ。来年6月の総会に向け て、自工会とも連携して技術の優先順位などを検討し、提案につなげて いく。

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