大学に行くより豊かな生活、高校の職業訓練履修者に企業が注目

ミシガン州セイリーンの高校を2年 前に卒業したイバン・フィッシュバックさん(19歳)は、年間4万ドル (約420万円)の給与所得がある。高校で職業訓練コースを履修したお かげだ。

フィッシュバックさんは4年制高校の3年生の時点ですでに、自動 車関係の仕事がしたいと公言し、大卒の両親は志が低いのではないかと 気を揉んだという。フィッシュバックさんは同年、まだ在学中でありな がら、整備工不足に悩む地元の自動車ディーラーに見習いとして雇われ た。米労働統計局のデータを参考にすると、今では平均的な高卒19歳の 給与の3倍を稼ぎ、全米の中央値よりもやや高い年俸を手にする。

「当時の友達は自動車整備の職業訓練などまったく関心を示さなか ったが、今では後悔しているだろう」と、クライスラー・ダッジ・ジー プ・ラムのディーラーで働くフィッシュバックさんは振り返る。「僕は お金持ちではないけれど、苦しい生活でもない」と語った。

教育関係者や議員、そして企業幹部らはこうしたサクセスストーリ ーをもっと増やしたいと考えている。全米の高校が大学進学への準備に 重点を置くなか、職業訓練クラスは速記のクラスと同様、前時代の遺物 となりつつある。一方で、トヨタ自動車やシーメンス、IBMなど多数 の企業は実際のスキルがビジネスで必要とされているとして、高校に職 業訓練の強化を求めている。

こうした声は聞き入れられつつあるようだ。米政府は今年、10年ぶ りに高校と単科大学の職業訓練のための予算を増額し、11億2500万ドル とした。それでも2004年当時よりは1億8800万ドルほど低い。

空洞化する中間所得層、格差拡大

職業訓練クラスの強化は空洞化しつつある米国の中間所得層の復活 を助け、格差拡大の抑制に貢献すると支持者は主張する。2009年以降の 賃金の伸びは第2次世界大戦後で最も低い一方で、富裕層は一段と富を 増やしている。

ジョージタウン大学の研究によると、中間レベルの教育を要する職 で、中間所得層に分類される年俸3万5000ドル以上の雇用は2900万件あ る。このうち2290万件は大学の学位や一部の専門学校などの卒業資格を 条件としていない。フィッシュバックさんの年収は家族を持ち、家を買 い、税金を払うという、かつて米国で当たり前だった若者の人生を可能 にするのに十分とされている。

全米キャリア・テクニカル教育調査センター(ケンタッキー州ルイ ビル)のディレクター、ジェイムズ・ストーン氏は「保護者や政治家に とって、もっと多くの子供たちを大学に送ろうと言うのは簡単だ」と語 る。成功すると思って送り出しても、「4年か5年たって子供は多額の 請求書とともに帰宅し、実家のソファで寝るしかないという現状があ る」と続けた。

しかし実社会では自動車を整備したり工場で働ける人材が不足して いる。フィッシュバックさんを雇ったマネジャーのマイク・ヒューズさ んは、高卒の若者を雇うときはライバル会社と競争になると語る。候補 者がいなければ、社員を一から教育しなくてはならないからだ。

「子供を整備工にしたい親はいないようだ」と語るヒューズさん は、フィッシュバックさんがいずれ年俸6万ドルを稼ぐだろうとみてい る。「それがどんなに良い生活か、分かっていないのだろう」と語っ た。

原題:Shop Class Not for Slackers as High School Grads Excel (1) (抜粋)

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