迫るアリババIPO-主導役は台湾生まれのエール大卒業生

5月のある日の香港。午前4時半に 集まったのは蔡崇信(ジョゼフ・ツァイ)氏ら電子商取引で中国最大手 アリババ・グループ・ホールディングの幹部4人だ。米国の株式市場は 取引が終わったばかりで、米国で最大規模となりそうな新規株式公開 (IPO)の目論見書を提出する時間だった。

1人1人が社名の単語をパソコンに打ち込んだ後、4人は送信ボタ ンをクリックした。340ページに及ぶ書類の提出に伴い、今後数週間後 にクライマックスを迎えるだろうIPOのプロセスが正式に始まったの だ。

アリババの馬雲(ジャック・マ)会長が明確なビジョンを持つ創業 者であるのに対し、副会長の蔡氏はそのビジョンを執行する役割を担 う。

米エール大学法科大学院を1990年に卒業し法律事務所サリバン・ア ンド・クロムウェルで弁護士として働いた経歴を持つ蔡氏の今の仕事 は、アナリストらが2000億ドル(約20兆8400億円)近い価値があるとす る同社の株式を投資家に売り込み、米グーグルに次ぐ時価総額を誇るイ ンターネット企業にすることだ。

アリババを舞台にしたドキュメンタリー映画を監督したポーター・ エリスマン氏は、「蔡氏がいなかったら今のアリババはなかった」と語 る。蔡氏のことを「世界を見るグループ全体のレンズだ」と評する。

台湾生まれの蔡氏は現在50歳。77年に米ニュージャージー州にある 全寮制のエリート校、ローレンスビル・スクールに入学するため米国に 渡った。英語はほとんど話せなかったが、卒業する頃までにはなまりも なく英語で会話し、ラクロスを楽しむようになっていたという。

ソフトバンクの出資

アリババの早期における資金調達交渉の多くを主導した蔡氏は、同 社を世界的な大企業に育て上げるのに貢献。ソフトバンクからの2000万 ドルの投資のほか、数十件の買収案件の交渉を行った。2007年のアリバ バ・ドット・コムによる16億9000万ドル規模の香港IPOでも投資家を 集めた。

近く実施される米国でのIPOが成功すれば、蔡氏自身も報われる ことになる。アナリストが推計するアリババの価値に基づけば、同氏の 持ち分3.6%は最大71億ドルに相当する。

アリババの広報担当者と蔡氏、馬氏はこの記事についてコメントを 控えた。事情を直接知る関係者が個人的な問題だとして匿名を条件に取 材に応じた。

原題:How Lacrosse-Playing Yalie Tsai Became Alibaba’s Mega-Dealmaker(抜粋)

--取材協力:Emily Chang、Dan Levy、Dick Schumacher.

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