【今週の債券】長期金利の低下基調一服か、根強い米利上げ観測が重し

今週の債券市場で長期金利は低下基 調が一服すると予想されている。米国市場で早期の利上げ観測が根強 く、国内金利にも上昇圧力が掛かりやすいとの見方が背景にある。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが22日に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは 全体で0.48-0.54%となった。前週は0.53%と4日以来の水準まで上昇 したが、その後は買い戻されて、結局は0.505%で取引を終えた。

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は22日、ワイオミ ング州ジャクソンホールで開催されたカンザスシティー連銀主催の年次 シンポジウムで講演し、「米経済は大恐慌以降で最も大きく、かつ長期 にわたる雇用喪失からの回復過程で相当の進展を遂げてきた」と指摘。 緩和的な金融政策に慎重な姿勢が薄れたとの見方から、米10年債利回り が上昇する場面があった。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「9月中旬まで金利低 下の流れは一服する」と予想する。月末の債券インデックスの長期化に 伴う需要が支えになるとしながらも、「8月前半のような金利低下の勢 いはなく、9月中旬の連邦公開市場委員会(FOMC)への思惑で動く 相場になる」とみている。

26日に40年利付国債の利回り競争入札が実施される。5月に入札さ れた7回債と銘柄統合するリオープン発行となり、表面利率(クーポ ン)は1.7%に据え置かれる見込み。発行額は前回債と同額の4000億円 程度となる。

0.5%割れ買いづらい

岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、40年債入札や9月 2日の10年債入札が意識されるとし、「10年債利回りの0.5%割れは買 い進みづらい」と言う。

28日には2年利付国債入札が予定されている。前回入札された2年 物の343回債利回りは0.075%程度で取引されており、クーポンは0.1% に据え置きとなる見込み。発行額は前回債と同額の2兆7000億円程度。

市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先物は中心限月の9 月物、10年国債利回りは新発物の334回債。

◎クレディ・スイス証券の宮坂知宏債券調査部長

先物9月物145円85銭-146円05銭

10年国債利回り=0.515%-0.535%

「来週の10年債入札が意識されてくることもあり、しばらく0.5% 台前半を中心に推移しそうだ。0.5%割れまで買われた場面では行き過 ぎ感があった。月末は保有債券を長期化する超長期債の買いが期待され る。40年債入札は生命保険から一定の需要が見込まれ、無難に通過でき るのではないか。先週は円安をきっかけに金利水準を調整する場面もあ ったが、グローバルに見ると金利が上昇していくような環境ではない」

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長

先物9月物145円70銭-146円40銭

10年国債利回り=0.48%-0.54%

「これまでの円安進行の調整局面を迎え、やや円高方向に戻せば、 債券は強含む展開か。4-6月期に消費動向は弱かったが、7-9月期 にどうなるかに注目している。40年債入札は、発行額が少なく無難な結 果になりそう。世界的に利回り曲線の平たん化傾向が強まっている中、 日本は傾斜化しているので買いやすい。今月実施の30年債や20年債の入 札も良好だった」

◎大和証券の山本徹チーフストラテジスト

先物9月物145円90銭-146円20銭

10年国債利回り=0.50%-0.53%

「何が起きれば動くのかとみられていた国内金利は先週、久しぶり に動意があった。日本、米国、英国のマーケットは共通のテーマで動い ている。一つは潜在成長率や生産性に関する議論。ここもとの先進国の 長期金利を低下させている要因。もう一つは雇用市場の逼迫(ひっぱ く)と賃金上昇圧力の議論で、あるべき金融政策を図るものだ。テーマ が共通しているために、国内アセットは米国への連動性を高めている」

--取材協力:池田祐美、船曳三郎 Editors: 崎浜秀磨, 山中英典

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