【日本株週間展望】上値重い、好材料織り込みや上昇反動

8月第4週(25-29日)の日本株相 場は上値の重い展開となりそうだ。為替の円安傾向や地政学リスクの緩 和などの好材料は、足元の株価上昇でいったん織り込みつつある。株価 が高値圏にあるだけに、米国の金融政策の動向をにらんで短期的な反動 も出やすい。

みずほ信託銀行の中野貴比呂シニアストラテジストは「米国の金融 政策が転換を迎える中で、米国株はさらに高値を取りにくい」とした上 で、「国内の経済指標も上値を追う材料として出ることはないだろう」 と述べた。

第3週の日経平均株価はその前の週に比べ、1.4%(221円)高の1 万5539円で取引を終了した。上昇は2週連続。海外で強まったリスク選 好の流れが国内にも波及する中、証券や不動産、通信など内需関連、機 械や海運といった海外景気敏感業種がそろって上げた。

為替市場では4カ月ほど1ドル=102円を挟んでボックス圏での動 きとなっていたドル・円相場が均衡を破り、104円に接近している。米 国の利上げ開始時期が従来想定より早まるとの見方が強まり、ドル高が 進行していることが要因。米10年債利回りも15日をボトムに反転傾向を 示している。

タカ派陣営に勢いの公算

米連邦準備制度理事会(FRB)が20日公表した連邦公開市場委員 会(FOMC、7月29-30日開催)議事録によると、当局者らは刺激策 からの出口戦略をめぐり合意に近づいた。出口戦略の開始時期が当初の 予想より早まる可能性も指摘した。

7月分の議事録の全般的な基調は「従来のハト派や中道派の何人か が実際、タカ派の陣営に向かっている可能性」を示唆していると、 GMPセキュリティーズのストラテジスト、エイドリアン・ミラー氏は 指摘する。

米早期利上げ観測の高まりは、為替の円安を通じて日本の企業業績 にプラス材料となる。もっとも、市場関係者の間ではなお見方が割れて おり、いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員はFOMCの 「ハト派色は強く、なかなか利上げはしないだろう」と予測している。

早期利上げ観測の反動も予想される現状では、1ドル=105円を超 えて明確に円安になるか、米国の長期金利が一段と上昇するような状況 にならない限り、日本株の押し上げ効果は限定的だと秋野氏はみる。

米指標への反応は金融政策にらみ

米国では25日に7月新築住宅販売件数、26日には7月耐久財受注や 6月スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)/ケース・シラー住宅 価格指数、28日は4-6月国内総生産(GDP)改定値などが発表され る予定。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想では、 新築住宅が前月比4.7%増(前月は8.1%減)、耐久財受注は航空機を除 く非国防資本財(コア資本財)受注が横ばい(同1.4%増)、GDPは 前期比年率3.9%増(速報値4.0%増)となる見込み。

金融政策に対する関心が高まっているだけに、指標結果に対する米 国株の反応も政策絡みとなる可能性がある。「指標が良いほど早期利上 げが意識されて株価の上値は重くなり、悪いと緩和長期化観測で底堅 い」と、みずほ信託の中野氏は述べ、一方的な株高にはなりにくいとみ る。

一方、ロシアのプーチン大統領は26日、ベラルーシの首都ミンスク で開かれる関税同盟の会合に出席する。その際にポロシェンコ・ウクラ イナ大統領と会談するとロシア紙コメルサントが報じた。三菱UFJモ ルガン・スタンレー証券の鮎貝正弘シニア投資ストラテジストは「会談 で何らかの打開策が出てきて多少緊張が緩和する可能性がある」としな がらも、「その期待は既に織り込んでいる」と言う。

戻りは急、景気には不透明感

日経平均は11日から21日まで昨年12月以来の9連騰を記録するな ど、8月に入ってからの下げを取り戻しつつある。TOPIXは22日に 一時1296.02と昨年末終値1302.29に接近し、年初来の下げを帳消しにす る勢いだ。

「日本株のバリュエーションは良いところまで戻ってきた。足元の 経済指標から7-9月期業績に対する不安感が出てきている」と、損保 ジャパン日本興亜アセットマネジメントの上野賢司シニア・インベスト メントマネジャーは言う。

国内では29日に7月の鉱工業生産指数や家計調査、完全失業率など の各指標が発表される。鉱工業生産は事前予想で前月比1.3%上昇(前 回3.4%低下)、家計調査の全世帯消費支出は前年同月比2.9%減 (同3.0%減)が見込まれている。前回の鉱工業生産は景気の厳しさを 再確認させる内容だった。

シティグループ証券の飯塚尚己エコノミストは7月の鉱工業生産に ついて、消費増税後の個人消費の落ち込みや輸出の停滞などが生産を抑 制するとし、0.7%の上昇と予想。現時点では7-9月期の生産は2四 半期連続の前期比マイナスの可能性が高いとの見方を示す。

日本株の上値は重い半面、下値は限定的とみられる。「年金積立金 管理運用独立行政法人(GPIF)改革の流れや堅調な企業収益が支え となり、下がった局面では買いが入る状況が続くだろう」と、三菱モル ガンの鮎貝氏はみている。同氏は4週の日経平均の下値は投資家の短期 的な採算ラインである25日移動平均線近辺の1万5350円、上値は7月高 値近辺の1万5800円と想定している。

--取材協力:竹生悠子.

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