ドイツ証:有望企業にワラントで種まき、アベノミクスでメリット

アベノミクス効果で日本株が上昇す る中、ドイツ証券は公募増資や借り入れが容易ではない新興企業の新株 予約権(ワラント)を引き受け、資金調達支援に力を入れている。将来 の投資銀行業務の取引に発展する顧客企業の発掘につなげたい考えだ。

ドイツ証のワラントは、保有者の請求に応じて企業が新株を発行す る従来型とは異なり、企業側に新株発行を判断できる特徴があり、株価 上昇を見計らい機動的に資金調達が可能になる。また、企業にとって株 価上昇時には新株数を減らせるほか、調達までに約2カ月かかる公募増 資に比べて2-3週間と短いメリットがある。

ドイツ証コーポレート・ファイナンス統括本部長のサイモン・ルー エ氏は、ワラントでの資金調達支援について「いくつかは確実に成長し 重要な企業となるだろう。我々は長期的な視野で種まきを行っている」 との考えを示し、長期的な関係構築が「今やるべきバンキングモデルに なっている」と述べた。

ドイツ銀行グループと長期の関係構築の中で大企業へ成長した例と しては、ソフトバンクがある。同社が06年に英ボーダフォン日本法人を 買収する以前から取引実績があり、13年の米携帯電話3位のスプリント 買収時には助言したほか、邦銀3メガグループとともに協調融資に参加 した。

東証マザーズ株価指数は安倍政権が誕生した2012年12月から13年末 までに137%上昇。株価が上がるほど、発行企業のメリットが高まるた め、今回のスキームのワラント発行額は13年に前年の5倍に拡大した。

1年半で1500億円に拡大

これと同じスキームの商品について、米バンク・オブ・アメリカ傘 下のメリルリンチ日本証券も力を入れており、同証投資銀行部の原田健 児氏は、ワラントでの資金調達規模がアベノミクスが始まって1年半で 合計1500億円に拡大したと指摘。マザーズのバイオテクノロジーなど 「新興市場の株価上昇で昨年来このスキームでの資金調達が増えてい る」と説明した。

メリル日本証によれば、この約1年半の発行は44件。主な発行企業 はスマートフォン向けゲームを提供するKLabや医療ベンチャーのメ ディネット、がん治療技術などを医療機関へ提供するテラなどがある。

KLabは昨年11月から7月までに新株予約権の行使によりドイツ 銀から27億円を調達。同社取締役執行役員の高田和幸氏はこの新株予約 権の優位性について、「行使の数量やタイミングについて発行体がコン トロールすることができ、公募増資の場合に比べ、株式価値の希薄化が 一度に発生せず、株価への影響が相対的に小さくすることができる」と コメントした。

愛知県に本社を構える研究開発型のラクオリア創薬は、7月にメリ ル日本証に対してワラントを発行。調達予定額約13億円のうち、同月末 に一部行使して約1億円を調達した。河田喜一郎常務執行役員は電話取 材で、ワラントを選択した理由について「公募増資はハードルが高く、 ベンチャー企業には担保がないので借り入れもできない」と述べた。

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