ポンドは対米ドルで6年ぶり高値に向け反発へ-利上げレースで先行

金融緩和からの出口戦略の時期は、 英国が米国に先行するとの見方が市場で優勢だ。英銀バークレイズはポ ンドが対米ドルで7月に付けた6年ぶり高値に向けて反発すると予想。 先物トレーダーもポンド買いのポジションを増やし始めている。

週明け18日のポンド・ドル相場は、ここ2週間で最大の上昇率を記 録した。イングランド銀行(中央銀行)のカーニー総裁が英紙のインタ ビューで賃金上昇前の利上げの可能性に言及したことが手掛かりだ。ブ ルームバーグがまとめた金利スワップ取引のデータによると、英中銀が 年内に利上げに動く確率は23%。米国の利上げの確率は来年4月時点で も2割に満たない。

ポンドのドルに対する騰落率は、月初来1%安と主要10通貨中で下 げが最大。先週はカーニー総裁が地政学リスクの高まりや賃金の伸びの 弱さを理由に利上げを急がない方針を示したことから、一時200日移動 平均線を割り込み、4カ月ぶり安値まで下落した。週間ベースでは過去 4年間で最長の6週連続安となり、7月に付けた2008年10月以来の高値 の1ポンド=1.7192ドルからは3%弱下落している。

バークレイズのアジア太平洋為替戦略責任者、ミツル・コテチャ氏 は、「われわれは英中銀が早めに利上げに動くとみており、ポジション もスクエアになったことを考えると、ポンドが数年来の高値を再び試さ ない理由はない」と指摘。「200日線はかなり良いサポートのようだ」 と話す。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉報告によると、ヘッジフ ァンドなど大口投機家の対ドルでのポンドの買い越し枚数は12日時点で 1万8799枚と、2月以来の低水準となった前週5日時点の1万2121枚か ら拡大した。買い越しは7月に5万6412枚と07年12月以来の水準まで膨 らんでいた。

テクニカル指標

テクニカル指標はポンドが今月、過去1年5カ月間で最も「売られ 過ぎ」の状態になったことを示している。ブルームバーグ・データによ ると、相場の勢いを判断するRSI(相対力指数、14日間ベース)は、 ポンドが4月以来の安値1.6658ドルまで下落した14日に26.07まで低下 し、一般的に売られ過ぎの目安となる30を下回った。今月1日には

25.95と昨年3月以来の低水準を記録した。

英国では6四半期連続で景気が拡大する一方、インフレ率が英中銀 の目標を下回っており、賃金の伸びも記録的低水準にとどまる。英中銀 は13日に公表した四半期物価報告で、経済の余剰能力の規模が縮小した と指摘する一方、賃金上昇率の見通しを引き下げた。同日発表の4-6 月の雇用統計計では、失業率が08年以来の低水準となった半面、賃金が 09年以降で初めて減少した。

カーニー総裁は17日付の英紙サンデー・タイムズのインタビュー で、利上げを行う前に「実質賃金が持続的に伸びるとの確信を持つ必要 はある」が、「そうした変化の事実を待つ必要はない」と語った。

利上げの確率

クレディ・スイス・グループの指数によると、今後12カ月間に織り 込まれている政策金利の引き上げ幅は英国が55ベーシスポイント(bp 、1bp=0.01%)なのに対して米国は21bpにとどまる。英中銀は09 年3月以降、政策金利を過去最低の0.5%に据え置き、FRBは08年12 月からフェデラルファンド(FF)金利を0-0.25%に設定している。

外為どっとコム総合研究所の石川久美子研究員は、「市場関係者の 見通しという意味では、まだ英国の利上げの方が米国よりも早いとみて いると思う」と話す。その上で、ポンドの下落が200日線で止まったこ とで、目先1.68ドル台半ばにある20日線がめどとなるが、「長い目で見 ると、60日線は割り込んではすぐに戻すという節目になっているところ がある」と指摘。60日線をしっかりと抜ければ、「本当の意味での反 発」となり、7月高値が見えてくると分析している。

ポンド・ドルの過去200日の終値平均を結んだ200日移動平均線は19 日時点で1.6675ドルを通過。60日線は1.6938ドルを通っている。19日午 前の同相場は1.67ドル台前半で推移している。

ドル高に強さ見せる通貨

国際通貨基金(IMF)は先月公表した英国に関する報告書で、英 住宅市場はまだ典型的なバブルの兆候を示していないものの、金融安定 へのリスクとなり得るとし、住宅融資抑制強化の準備を整えるよう呼び 掛けるとともに、それでもリスクが抑えられない場合は、利上げ検討の 必要が生じるかもしれないとの認識を示した。IMFは最新の世界経済 見通し(WEO)で英国の成長率見通しを再度引き上げ、主要7カ国( G7)で最高の3.2%とした。

バークレイズは、英中銀が11月にも利上げに動く一方、FRBの利 上げ開始は来年6月になると予想。コテチャ氏は、「われわれはドル高 を見込んでいるが、利上げの可能性と経済の強さによって、ポンドは他 通貨よりドル高に対する強さを見せる」と指摘。ポンドは9月末までに

1.71ドルまで上昇し、「オーバーシュートする可能性もある」とみてい る。

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