ジャンク債ETFは「炭鉱のカナリア」か-空売りコスト48倍

ヘッジファンドが上場投資信託 (ETF)を使ってジャンク債(投機的格付け債)を空売りするために 必要なコストは現在、昨年末の48倍に達している。これだけの費用をヘ ッジファンドが惜しまず支払う状況は、ジャンク債がどれほど嫌われて いるかを物語っている。

世界最大の資産運用会社である米ブラックロックが運用し、「 HYG」のティッカーで取引されている「iシェアーズiBoxx米ド ル建てハイイールド社債ETF」(運用総額124億ドル=約1兆2700億 円)が典型的な例だ。このETFは信用取引を通じて価格の下落を見越 した空売りを行うことが可能だ。

有価証券の貸借取引をモニターしているデータレンドによれば、こ の種の信用取引のコストは昨年末時点で1日当たり7000ドルにすぎなか ったが、今年8月5日終了週には34万2000ドルに達した。

これはトレーダーがここ数週間、高利回り債ETFをいかに嫌って いるかを示すだけではない。ジャンク債のように流動性が比較的低い資 産クラスでは特にそうだが、個人の投資手段と考えられてきたETF で、ヘッジファンド型の機関投資家がますます投資の中心になりつつあ ることを意味している。

データレンドのディレクター兼首席アナリスト、クリス・ベネディ クト氏は「これらのETFは、広範な売りの可能性を示唆する『炭鉱の カナリア』としての役割を恐らく果たしているように思われる」と指 摘。この種のETFの価値下落を見込んだ投資のコストはその後若干低 下しているものの、「なお非常に旺盛な需要がある」と語った。

ドル建てジャンク債相場の1.3%下落につながった7月の売りが何 によって促されたのか、正確なところはっきり分からないが、利回り低 下の行き過ぎをめぐる懸念と関係していることは確かだ。ドル建てジャ ンクの利回りは6月に過去最低の5.69%を記録し、米連邦準備制度理事 会(FRB)のイエレン議長はフロス(泡)の兆しがそこに認められる と発言した。

費用のかさむ賭け

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの指数のデータに よれば、ジャンク債は年初来でなおプラス5.2%のリターン(利払いを 含む)を維持している。ETFの信用取引のコストは一段と上昇してお り、費用のかさむ投資が無駄にならないためには、ジャンク債市場の暴 落がまさに必要だ。高くつくかもしれない賭けにしがみついたまま、ト レーダーがいつまで持ちこたえることができるか、見守ることにしよ う。

原題:Open a Junk-Bond ETF’s Kimono to See a Lot of Expensive Shorts(抜粋)

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