日本株は小幅に6日続伸、中外薬が急騰-地政学リスク重しに

東京株式相場は小幅に6日続伸。親 会社のスイスのロシュによる完全子会社化観測で中外製薬が急騰し、 TOPIX、日経平均株価の押し上げ寄与度でトップだった。任天堂な どその他製品株、国際原油市況の反発を受けた鉱業株も高い。

TOPIXの終値は前週末比0.58ポイント(0.1%)高の1271.26、 日経平均株価は4円26銭(0.03%)高の1万5322円60銭。

三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、「景 気、業績、地政学リスクとあらゆる面で不透明感が残る。リスクをどん どんと取れる状況ではない」と指摘。また今週は、ジャクソンホールで のイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演も控え、「動き にくい」とも話している。

週明けの日本株は、主要株価指数が前週末終値を挟んで終日もみ合 う展開。日経平均の高安値幅が3営業日連続で100円未満だったの は2012年12月以来、1年8カ月ぶり。世界的な低金利や為替の安定が下 支えする半面、ウクライナや中東など地政学リスク、米国経済統計の低 調などが上値を抑え、こう着ムードを強めた。

15日の米10年債利回りは一時2.3%と昨年6月以来の低水準、ドイ ツの10年債利回りも一時0.96%とブルームバーグ・データにある1989年 以降で最低となった。こうした背景には欧米経済統計の低調があるが、 株式市場は世界的な低金利に支えられる格好となっている。東京海上ア セットマネジメントの久保健一シニアファンドマネジャーは、米経済統 計はいい内容ではないが、「結果的に米国株が落ち着いていたため、日 本株にも特に影響がなかった」とし、日本株自体も「買われ過ぎでも売 られ過ぎでもない、居心地のいい水準」と言う。

15日発表の8月の米ニューヨーク連銀製造業景況指数は14.7と、前 月の25.6から低下。トムソン・ロイター/ミシガン大学消費者マインド 指数(速報値)は79.2と、前月の81.8から低下した。

この日のドル・円相場は、おおむね1ドル=102円30-40銭付近で 推移。前週末の東京株式市場の終値時点102円52銭に比べやや円高水準 ながら、米長期金利の低下の割には落ち着いていた。

売買代金は4カ月ぶり低水準

一方、地政学リスクは株価指数の重しとなっている。中東では17 日、米軍がイラク第2の都市のモスル北方にある同国最大のダム近く で、イスラム過激派「イスラム国」の拠点を攻撃した。ウクライナで は、同国軍がロシアから国境を越えて入ってきた武装車列を攻撃して一 部を破壊した、と15日に発表。17日には同国の軍戦闘機がルガンスク州 で武装勢力に追撃された、とウクライナ軍の報道官が明らかにした。

投資家は方向感を持った売買を手控えており、東証1部の売買高 は15億5242万株、売買代金は1兆3613億円。代金は前週末に続いて1 兆3000億円台にとどまり、4月21日(1兆3074億円)以来の少なさだっ た。値上がり銘柄数は1026、値下がりは636。

東証1部33業種はその他製品や鉱業、医薬品、空運、石油・石炭製 品、建設、食料品、化学、海運、卸売など17業種が上昇。鉱業は、15日 のニューヨーク原油先物が1.9%高と反発したことが支援材料となっ た。医薬品では、中外薬が急騰。親会社のスイスのロシュが中外薬株の 未保有分を約100億ドルで取得、完全子会社化する方向で協議している とブルームバーグ・ニュースが15日に報じた。

半面、金属製品や不動産、ゴム製品、水産・農林、精密機器、パル プ・紙、非鉄金属、証券・商品先物取引、情報・通信、鉄鋼など16業種 は安い。

売買代金上位では中外薬のほか、米国での主力ゲームソフト「マリ オカート8」の好調期待で任天堂が上昇。米アプライド・マテリアルズ の好決算、株高が好感され、東京エレクトロンも上げた。鉄建や熊谷 組、大豊建設、花王、東京建物、電通、フルキャストホールディング ス、大林組、カルビーも高い。これに対しコロプラや三菱地所、ファン コミュニケーションズ、住友金属鉱山、ヤクルト本社、グリー、 LIXILグループは売られた。

--取材協力:冷澄.

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