GPIF法改正は見送りの可能性も、改革成果次第-自民・木原氏 (訂正)

世界最大の年金基金、年金積立金管 理運用独立行政法人(GPIF)のガバナンス(組織統治)を刷新する ための法律改正は見送りとなる可能性もある-。自民党でGPIF改革 に取り組む木原誠二衆院議員は、現行法の下で進められている改革の成 果次第だとの見方を示した。

木原氏(44)は12日のインタビューで、政府は有識者会議の工程表 通りに「資産構成の見直しや運用委員会の改善、プロ採用に向けた給与 体系の見直しなどを着実に進めている」と指摘。法改正なしでもできる 分野から変えていく方針だろうと述べた。政府はこうした改革の成果を 見極めてから法改正を判断しても遅くないと考えていると分析。法改正 の有無は資産構成見直しには「何の影響も及ぼさない」と語った。

自民党の日本経済再生本部で本部長代行を務める塩崎恭久政調会長 代理(元官房長官)は5日の講演で、GPIFによるリスク資産への投 資拡大にはガバナンス改革が不可欠であり、秋の臨時国会で法改正に取 り組む必要があると訴えた。木原氏の見解は、党内のGPIF改革推進 派の中にも法改正の進め方で様々な意見があることを示唆している。

木原氏は「臨時国会で法改正されるか、分からない」と述べた。現 行法の下でも可能な分散投資を進めるための資産構成見直しやリスク管 理体制の構築などを実施した上で、法改正が「必要ならするし、必要な ければしない」と説明。法的な権限を持つリスク管理委員会などが必要 だという議論が高まれば法改正を進めるが、「まだどちらにも決まって いない」と話した。

「理事会と3委員会」案

公的・準公的資金の運用・リスク管理を見直す政府の有識者会議( 座長:伊藤隆敏教授)は昨年11月、国内債偏重の見直しや新たなリスク 資産の検討などを求める提言をまとめた。ガバナンス改革についても、 権限・責任が理事長1人に集中する独任制の下では十分な機能発揮が期 待できない場合もあり得ると指摘。常勤の専門家らによる合議制が望ま しいとの見解を示した。

日本経済再生本部の事務局長、山本幸三衆院議員は5月のインタビ ューで、GPIFに6-7人の理事で意思決定する合議制の理事会と投 資・リスク管理・ガバナンスの3委員会を置く組織改革案を示した。政 府は6月24日に閣議決定した日本再興戦略の改定版で、GPIFの資産 構成見直しをできるだけ速やかに実施すると明記。ガバナンス改革に関 しても、運用委員会の体制整備や専門家の確保などに加え、法改正の必 要性も含めた検討を行うとした。

日本株20%は高過ぎ

木原氏はGPIFの資産構成見直しは、政府・日本銀行がデフレか ら緩やかなインフレへの転換を図る中、将来の金利上昇(債券価格の下 落)を考慮すると国債偏重はリスクが高いという問題意識が発端だと指 摘。「党や政府の議論は株価を上げようというより、分散投資してリス クを下げようというのが主流だ」と述べた。

新たな資産構成の具体的な割合は「GPIFが考えること」と断っ た上で「直感的には国内株式が20%というのは高過ぎる気がする」と発 言。「国内株、海外株、REIT(不動産投資信託)、もしかしたらベ ンチャーも含め、薄く広く分散投資しようという議論だ」と説明し、市 場関係者の過度な期待通りにはならないとの見通しを示した。

GPIFの現在の基本ポートフォリオで定める資産構成比率は、国 内債60%、国内株12%、外債11%、外株12%、短期資産5%で、各資産 ごとに乖離(かいり)許容幅を設けている。3月末時点では、国内債が

55.43%、国内株が16.47%、外債が11.06%、外株が15.59%だった。ブ ルームバーグ・ニュースが5月に実施した市場調査の回答(中央値)で は、GPIFは国内債の目標値を40%に下げ、国内株を20%に増やすと 見られていた。外債は14%、外株は17%だった。

運用資産額126.6兆円を抱えるGPIFが新たな資産構成を市場関 係者が予想する水準に移行させる場合、国内債を3月末時点の実勢から 約19.5兆円減らし、日本株を約4.5兆円増やす必要が生じる。TOPI Xは4月11日に付けた年初来安値から、GPIFの資産構成変更に先回 りする形で、7月31日の約半年ぶり高値まで16%上昇していた。

ロイター通信は7日、政府・与党関係者が国内債40%、国内株20% 超などで9月末にかけて調整を本格化させる見通しだと伝えた。10日付 の日本経済新聞は、GPIFが5日の運用委員会で、9月に新たな資産 割合を決めるまでの暫定措置として内外債券・株式の上下限を撤廃した と報じた。厚労省年金局の森浩太郎参事官は11日、GPIFが乖離許容 幅の上下限にとらわれずに運用できるようにしたと、ブルームバーグ・ ニュースに語った。

木原氏は、GPIFが資産構成を見直す最大の目的は「安全性を高 めることだ」と指摘。特定の金融商品に過度に依存せず、分散投資を進 める必要があると述べた。もう1つの命題は、株高基調にある中で、市 場の暴落リスクも踏まえつつ「それなりの運用益を確保していく」こと だと話した。

財務省出身で衆院当選2回の木原氏は、自民党で金融調査会の事務 局長や財務金融部会の副部会長、衆院では財務金融委員会の理事などの 経歴を持つ。13年9月からは安倍内閣の外務政務官を務めている。日本 経済再生本部では、「金融資本市場・企業統治改革グループ」の主査を 務めていた。

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