【日本株週間展望】堅調、内需優位に-ジャクソンホール警戒

8月3週(18-22日)の日経平均株 価は、1万5000円台前半で堅調に推移しそうだ。消費税増税後の最初の 四半期に落ち込んだ国内景気は、政策対応期待もあり、回復に向かう可 能性が高い。ウクライナなど地政学リスクは拭い切れず、パフォーマン スは業況の良い建設など内需株優位が見込まれる。

大和証券投資戦略部の日本株シニアストラテジスト、高橋卓也氏は 「ミクロを見る限り、4-6月決算を終え増税後の一番厳しい今上期に 増益を確保できる見通しになった」と指摘。マクロ面でも「海外投資家 にいい顔をするため、アベノミクス再起動の可能性が高い」とし、政治 イベントの多い秋口に向け、企業業績、株主資本利益率(ROE)など 投資指標面からの再評価が進むと予想する。

第2週の日経平均は3.7%高の1万5318円34銭と反発、週間上昇率 は4月以来の大きさとなった。ウクライナをめぐる欧米とロシアの対 立、米国によるイラク空爆など地政学リスクへの行き過ぎた警戒が薄 れ、欧米株式の反発、前の週の1ドル=101円50銭台から102円台に戻し た為替の円安推移が好感された。米国株オプションの指標で、投資家の 恐怖心理を示すシカゴ・ボラティリティ指数(VIX)は今月初に4月 以来の17台まで急騰した後、直近では12台まで低下している。

13日公表の日本の4-6月期国内総生産(GDP、1次速報)は、 物価変動を除く実質で前期比年率6.8%減と大幅なマイナス成長となっ た。消費税増税前の駆け込み需要の反動で個人消費が落ち込み、減少率 は東日本大震災のあった2011年1-3月期(6.9%減)以来の大きさ。 バークレイズ証券のチーフエコノミスト、森田京平氏も「同期の景気が 惨憺(さんたん)たるものであったことを示した」と振り返る。

既に上向き統計も、1997年との違い

ただ森田氏は、7-9月期GDPについては年率3%増と「潜在成 長率を十分上回るスピードで伸びる」と予測。景気先行指標の公共工事 請負金額、住宅建設工事受注額などが上向き、7、8月の製造工業生産 予測指数が水準を切り上げている状況に言及した。公共工事前払金保証 統計によると、直近公表分の7月の請負金額は前年同月比3.5%増とな っている。

バークレイズ証では、前回消費税率を引き上げた1997年は公共投資 の削減、消費税以外の家計負担増、アジア通貨危機による輸出減少、国 内金融システム問題を背景にした設備投資の急減、在庫過剰感の急上昇 があったと指摘。しかし、今回はこうした動きが見られず、7-9月以 降の景気回復をメーンシナリオに置く。通常国会終盤を憲法解釈問題に 費やした安倍晋三首相は、月刊誌「文芸春秋」の9月号にアベノミクス 第2章起動宣言を寄稿。経済成長こそ私の政権の最重要課題とし、景気 回復の実感が全ての国民に行き渡るまで手を打ち続ける、と記した。

仏運用会社のコムジェストで、日本株ポートフォリオ・マネジャー を務めるリチャード・ケイ氏は最近来日し、50社以上の上場企業を訪問 した。製造業の設備投資回復、人手不足に伴う賃金上昇、五輪開催をに らむインフラ投資などは「世界情勢、消費税増税にかかわらず、何回も 出てきているテーマで、これらの底堅い実態が株価に反映されるのは時 間の問題」と、日本株の先高観を維持している。

QE3後の予想図に注目

一方、地政学リスク、米国の量的緩和策の縮小(テーパリング)に 伴うマネーフローの変化には不透明感が強く、海外要因には引き続き警 戒が必要だ。欧米とロシアの制裁合戦に発展したウクライナ情勢は、特 に近隣の欧州経済にダメージを与えつつある。ユーロ圏最大の経済規模 を持つドイツの4-6月GDPはマイナス成長に転換、8月の独景況感 指数は8カ月連続で低下した。

米国では、21日からワイオミング州のジャクソンホールでカンザス シティー連銀主催の年次シンポジウムが開かれ、連邦準備制度理事会 (FRB)のイエレン議長が出席する。リーマン・ショックの後遺症が 続いた4年前のシンポジウムでは、当時のバーナンキ議長が講演で非伝 統的手段を通じた金融緩和策の追加発動を示唆、その後11月の連邦公開 市場委員会(FOMC)で6000億ドルの米国債を買い取る量的緩和第2 弾(QE2)に踏み切った。

FRBは7月のFOMCまで6会合連続で毎月の債券購入額を縮小 しており、10月には量的緩和第3弾(QE3)が終了する。労働市場の 余剰感から、イエレン議長は終了後も相当な期間、低金利を維持する公 算が大きいとしているが、「いずれどこかで利上げするため、金融相場 から業績相場への移行期に株価が下がることに警戒感がある。その方向 性を今回示すのかどうか、注視される」と大和証の高橋氏は話す。

FRB首脳が重要な発言をするとの認識が市場で浸透しており、ジ ャクソンホール待ちの姿勢が株価指数の上値を抑える可能性がある。第 2週の東証1部業種別33指数は、海運や保険、建設、鉄鋼、空運、パル プ・紙、陸運などが上昇率上位に並び、相対的に内需関連株が強かっ た。第3週も建設や紙パなど地政学リスクに左右されにくい業種優位の 展開になりそうだ。

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