米国債に破格の割安感、利回りはドイツより1ポイント超高い

米金利の速やかな上昇に賭けてい る債券投資家は、注意した方が良さそうだ。欧州債の利回り低下で、そ のシナリオの信頼性はどんどん薄れていく。

確かに連邦公開市場委員会(FOMC)は前例のない景気刺激の引 き揚げを計画してはいるが、欧州中央銀行(ECB)はまったく手を引 く気配がない。中国人民銀と日銀のことも忘れてはならない。両国も借 り入れコストを安くすることで成長を喚起しようとしている。

この環境は金利押し下げ競争を招く。だから利回りが過去10年間の 平均を1.18ポイントも下回っていても、米国債は割安に見えるのだ。

10年物の米国債利回りは同年限のドイツ国債より約1.38ポイント高 い。この差は1999年以来で最大となっている。2008年12月には米国債利 回りがドイツ国債を0.9ポイント下回っていた。

さらに比較対象を広げると、米国債利回りは今や、失業率25%に苦 しむスペインの国債利回りをわずか0.2ポイント下回るに過ぎない。ス ペイン国債利回りはこの10年間、米国債を平均して1.06ポイント上回っ て推移してきた。

ECBがこれまでに導入した非伝統的な景気刺激策と、追加刺激策 への期待から、投資資金は景気低迷が続くユーロ圏のソブリン債に流入 している。一方の米国では、依然として利回りは上昇すると予測されて おり、ブルームバーグがまとめたウォール街のアナリストの調査では、 現在2.43%前後の10年債利回りは年末までに3.08%に上昇することにな っている。10年物のドイツ国債利回りは1.05%だ。

それでも弱気相場を心配する投資家も

ウェルズ・ファーゴ・ファンズ・マネジメントのチーフ債券ストラ テジスト、ジェームズ・コーチャン氏は今月、「米経済成長は緩やかな 一方、国外ではほとんど成長が見られない。循環的な金利圧力が顕在化 するような環境ではない」とリポートで指摘。国債と高格付け社債の利 回りが安定している状況は「低金利が相当期間続くことをなおも示唆す るファンダメンタルズを反映している」と解説した。

利回りに変化は見られないのに債券は弱気相場入りする時期が近付 いていると、不安に思う投資家もいる。こうした投資家は金利上昇への 反応が比較的鈍い証券を求める。ブルームバーグがまとめたデータによ ると、短期債に絞った上場投資信託(ETF)に流入した資金は今年88 億ドル(約9000億円)を超え、前年から約9%増えた。

ETF「プロシェアーズ・ウルトラショート20年超国債」には今 年、12億ドルの資金が流入。米国債に対する弱気な見方を映し出す同 ETFの成績は、すべての米債券ETFの中で下から3番目にもかかわ らず、資金を引き寄せている。

地政学的な不安材料や中央銀行による刺激策で投資利回りが押し下 げられるため、こうしたETFのリターンが想定を下回る可能性があ る。国外の債券に比べれば、米国債はそれほど価値が低いようには見え ない。だからFOMCの政策に関係なく、実際の利回り上昇は限定され る可能性がある。

原題:Treasuries Look Dirt Cheap to Germans Getting Near 1.1% on Bunds(抜粋)

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