【クレジット市場】森ビルが過去最長の10年債-五輪にらむ

森ビルが同社としては過去最長の年 限の社債を発行した。2020年の東京五輪開催をにらみ、向こう10年で事 業規模1兆円のプロジェクトを計画している。

六本木ヒルズなどを持つ森ビルは今月8日、10年債130億円を起 債。国債に対するプレミアム(上乗せ利回り)は、同業他社平均の3倍 に相当する34ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)だった。バン ク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチ指数によれば、世界の同業 では131bp。

森ビルの投資拡大の背景には、東京都内のオフィス占有率が5年ぶ り高水準にあることや東京オリンピック開催で3兆円の経済効果が見込 まれる状況がある。都内で2番目に高い超高層ビル「虎ノ門ヒルズ」を 6月に開業した同社は、今後10年で約10件の大型プロジェクトを計画し ていると、辻慎吾社長が6月に述べた。

みずほ証券の金子良介クレジットアナリストは、森ビルには「物件 の魅力や物件が持つ強さ」と「その裏にある大型案件をまとめる力」が あると解説。さらに「空室率が低下して業界環境が改善している」と述 べた。

日本格付研究所(JCR)は7月22日、森ビルの長期発行体格付け を「A」に1段階引き上げ、投資適格級で上から6番目としたが、この 格上げに際し、都市再開発における同社の強みや市場環境の改善で森ビ ル保有の既存不動産の収益力が回復している状況を挙げた。

過去最高益

同社の14年3月期決算によると、営業収益(2650億円)、営業利益 (574億円)とも過去最高を記録した。

6月に開業した虎ノ門ヒルズは地上52階建てで、高さは247メート ルと、東京ミッドタウンに次ぐ。同社としては六本木ヒルズ以来、国内 最大の延床面積を持つ。主要テナントは国内広告会社のアサツー・ディ ケイや西松建設などで、米ホテルチェーン大手のハイアット・グループ で日本初進出の「アンダーズ東京」も高層階に入る。

森ビル広報室の渡邉茂一氏は、10年債発行について、負債を長期化 して借り換えリスクを低くすることなどが理由だったと説明。調達資金 は社債償還資金に充当する予定だとしている。

野村証券の魚本敏宏チーフクレジットストラテジストは、森ビルに ついて、クオリティの高い主力物件が安定的なキャッシュ・フローを生 み出しているのに加えて、他の主要不動産と比べてスプレッドに厚みが 残っていると指摘。さらなるタイト化を期待しやすい銘柄だとの見方を 示した。

魚本氏はまた、優良テナントの取り合い激化や16年以降の円金利の 上昇局面入りの可能性など不動産業界を取り巻く経営環境は厳しくなる 可能性があるものの、アベノミクスの追い風を受けて、同業界のクレジ ットの改善基調は15年下期まで継続すると予想している。

原題:Roppongi Hills Owner Sells Debt Amid Olympics Plan: Japan Credit(抜粋)

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