8月12日の海外株式・債券・為替・商品市場

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欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次 の通り。

◎NY外為:ユーロはほぼ9カ月ぶり安値、欧州にデフレ懸念が台頭

ニューヨーク外国為替市場ではユーロが下落し、昨年11月以来の安 値。ドイツの景況感が2012年以来の水準に低下したことを受け、日本が 経験したようなデフレスパイラルを欧州経済は免れないとの見方が広が った。

ドル指数は2月以来の高水準に接近。米求人件数が約13年ぶりの水 準に増加したことを好感した。13日に発表される米小売売上高は6カ月 連続での増加が予想されている。欧州中央銀行(ECB)による景気刺 激策はインフレ喚起には不十分だとの見方から、ドイツ国債利回りは 1%近くに低下した。

ファロス・トレーディング(コネティカット州スタンフォード)の マネジングディレクター、ブラッド・べクテル氏は電話取材に対し、 「本日発表のドイツ統計は購買担当者指数(PMI)が弱い数値になる ことを示唆しており、欧州経済のけん引役であるドイツに吹きつける向 かい風を強調した」と指摘。「最近発表されたロシアへの追加制裁が欧 州経済にも影響することを考えると、ユーロ圏の見通しは極めて暗い」 と述べた。

ニューヨーク時間午後5時現在、ユーロは対ドルで0.1%安い1ユ ーロ=1.3369ドル。6日には昨年11月8日以来の安値となる1.3333ドル を付けていた。ユーロは対円でほぼ変わらずの1ユーロ=136円72銭。 ドルは対円で0.1%高い1ドル=102円26銭。8日には7月24日以来の安 値となる101円51銭まで下げていた。

ファロスのベクテル氏はドルについて、「最近の安値からの戻しが 続く可能性がある」として、対円での買いを勧めた。

ドイツ景況感、期待指数

主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポ ット指数はほぼ変わらずの1021.18。

ユーロが売られるきっかけとなったドイツの欧州経済研究センター (ZEW)がまとめた独景況感指数では、8月の期待指数が8.6と、前 月の27.1から大きく低下。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノ ミスト31人の予想中央値は17.0だった。

ピアポント・セキュリティーズ・ホールディングス(コネティカッ ト州スタンフォード)のグローバルストラテジスト、ロバート・シンチ 氏は「欧州の状況はかなり急激に減速していることがうかがえる」と指 摘。「欧州中央銀行(ECB)にとっては裁量の幅が狭まってきてい る。すでに通常手段は使い切ってしまった」と述べた。

ドラギECB総裁が政策金利を過去最低に引き下げ、預金金利をマ イナスにした後も、指標となる欧州国債には買いが入っている。

FOMC、日銀

シンチ氏はECBについて、「連邦公開市場委員会(FOMC)や 日銀と違って、量的緩和には制限があるようだ」と述べた。

6月の米求人件数をきっかけにドルは上昇。米労働省が発表した6 月の求人件数は9万4000件増加の467万件 と、2001年2月以来の高水準 となった。前月は458万件(速報464万 件)に修正された。

13日に発表される7月の米小売売上高について、エコノミストら は0.2%増加を予想。6月は0.2%増加だった。

先物市場の動向に基づくと、来年10月までにフェデラルファンド (FF)金利の誘導目標が少なくとも0.5%に引き上げられる確率は 約79%として織り込まれている。

シティグループの欧州G10通貨戦略責任者、ワレンチン・マリノフ 氏は「米経済の成長見通しは改善した一方、きょうのデータが示唆した ようにユーロ圏は反対の方向だ」と指摘。「FOMCとECBの金利政 策の方向性かい離が浮き彫りにされた」と続けた。

原題:Euro Falls to Almost 9-Month Low on Economy; Hryvnia Plunges(抜粋)

◎米国株:下落、ウクライナ情勢への懸念が再燃-エネルギー株安い

12日の米国株は下落。投資家は地政学的動向を注視している。エネ ルギー株は下落。ロンドンの北海ブレント原油の大幅安が影響した。

音声認識ソフトのニュアンス・コミュニケーションズは下落。第3 四半期売上高がアナリスト予想を下回った。コンソル・エナジー は2.4%下落した。一方、鉱山会社のニューモント・マイニングは上 昇。

S&P500種株価指数は前日比0.2%低下の1933.75。ダウ工業株30 種平均は9.44ドル(0.1%)下げて16560.54ドル。

USバンク・ウェルス・マネジメント(ミネアポリス)のチーフ株 式ストラテジスト、テリー・サンドベン氏は、「この夏の株式相場は、 経済統計や企業のファンダメンタルズよりも地政学的な材料に左右され ている」と述べた。

S&P500種は7月24日に記録した最高値1987.98からは最大3.9% 下落した。イラクやイスラエル、ウクライナでの紛争によって世界経済 の成長ペースが減速するとの懸念が背景にある。

ドイツの欧州経済研究センター (ZEW)がまとめた8月の独景 況感指数は前月を下回り、8カ月連続での低下となった。ユーロ圏の弱 い成長回復に加え、ウクライナ危機が景況感への重しになっている。

ウクライナ情勢

米国はロシアに対し、人道支援という名目で軍を派遣しないよう警 告したものの、ロシアからウクライナ東部に向けて支援車両が向かって いる。ウクライナは現状のままでは国際的な取り決めに従っていないこ とを理由に、入国を認めない方針を示した。

ロシアのラブロフ外相とシュタインマイヤー独外相が救援部隊の支 援をめぐり電話会談したことがロシア外務省のウェブサイトで発表され ると、株価は下げ幅を縮小した。

イスラエル当局者はパレスチナ自治区ガザをめぐる長期的合意に向 けたパレスチナ側との交渉で、引き続き大きな隔たりがあることを明ら かにした。

イラクのマリキ首相は軍当局者との会議を開き、次期首相候補に指 名されたハイダル・アバディ氏に首相の座を譲らない意向をあらためて 示した。

ボラティリティ指数

シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数( VIX)は0.7%下げて14.13だった。

S&P500種産業別10指数のうち7指数が下げた。この日のロンド ンの北海ブレント原油は1年1カ月ぶり安値で引けた。国際エネルギー 機関(IEA)は供給のだぶつきを指摘し、中東で供給障害が起きるリ スクが相殺されていると分析した。

ニュアンスは9%下落。同社の第3四半期売上高は調整後ベースで 4億8680万ドルだった。アナリスト予想の平均値は4億9850万ドルとな っていた。

ニューモントは2%上昇。S&P500種銘柄の中で値上がり率トッ プ。

原題:U.S. Stocks Decline After Two-Day Rally Amid Ukraine Tensions(抜粋)

◎米国債:3年債入札で落札利回りが4カ月ぶり低水準-逃避需要で

米財務省が12日実施した3年債入札(発行額270億ドル)では、最 高落札利回りが4月以来の低水準となった。ウクライナとイラクでの混 乱が悪化するとの観測から、安全需要が高まった。

プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)の落札比率 は44.8%と2月以降で最低。一方で年金基金や保険会社を含むカテゴリ ーの落札比率は6月以降で最高となった。最高落札利回りは0.924%。 既発3年債利回りの過去10年間の平均は2.1%。この日の米国債市場で は10年債と30年債が下落した。財務省は今週、10年債と30年債(発行額 は合計で400億ドル)の入札を実施する。

BNPパリバの金利ストラテジスト、アーロン・コーリ氏(ニュー ヨーク在勤)は「地政学的なイベントを背景に強い需要が見込まれる」 とし、「市場参加者は不安定な状況を懸念している」と続けた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間 午後5時現在、既発3年債の利回りは前日比ほぼ変わらずの0.89%。一 時1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の0.90%を付け た。同年債(表面利率0.875%、2017年7月償還)価格は99 30/32。

10年債利回りは2bp上げて2.45%。30年債利回りは3bp上昇 の3.28%。

米政府債のディーラー間ブローカーで最大手のICAPを通じた米 国債の売買高は2640億ドルと、前日の1950億ドルから増加。年初来の平 均は3260億ドル。

ウクライナ、イラク情勢

ウクライナは12日、人道的な支援物資を届けるとしてロシアが派遣 したトラック280台の入国を認めない方針を示した。現状のままでは国 際的な取り決めに従っていないとし、支援団を赤十字が率いるルールを 理由に挙げた。ウクライナ軍スポークスマンのアンドリー・リシェンコ 氏は、トラックには支援物資に見せ掛けて軍装品が積まれていると指摘 した。

イラクではこの日、マリキ首相が軍当局者との会議を主宰し、次期 首相候補に指名されたハイダル・アバディ氏に首相の座を譲らない意向 をあらためて示した。

3年債入札

3年債入札での最高落札利回りは、入札直前の市場予想は0.925% だった。また前回入札(7月8日)の最高落札利回りは0.992%で、11 年5月以来の高水準だった。

この日の3年債入札では、年金基金や保険会社などプライマリーデ ィーラー以外の直接入札者の落札比率は19%。前回入札では12.7%、過 去10回の平均は18.6%。

海外の中央銀行を含む間接入札者の落札比率は36.2%。過去10回の 平均は32.6%。

投資家の需要を測る指標の応札倍率は3.03倍。過去10回の平均 は3.35%。

フェデラルファンド(FF)金利先物の動向によると、2015年末ま でにFF金利誘導目標が少なくとも0.5%まで引き上げられる確率 は85%となっている。

キャンター・フィッツジェラルドの金利ストラテジスト、ジャステ ィン・レデラー氏(ニューヨーク在勤)は3年債入札の前に、「当局の 利上げは来年7-9月(第3四半期)もしくは10-12月(第4四半期) に始まると見込まれるが、この年限が最も利上げの影響を受けやすいだ ろう」と述べた。

財務省は13日に10年債(発行額240億ドル)、14日に30年債(同160 億ドル)の入札を実施する。

原題:U.S. Note Sale Draws Lowest Yield in 4 Months Amid Haven Demand(抜粋)

◎NY金:小幅反発、ウクライナ緊張で-逃避資産の需要強まる

ニューヨーク金先物相場は小幅反発。ウクライナとロシアの緊張を 背景に、逃避の買いが入った。

ロング・リーフ・トレーディング・グループのチーフマーケットス トラテジスト、ティム・エバンス氏(シカゴ在勤)は電話インタビュー で「手に負えない状況に陥り得るリスク地域が世界には複数ある」と指 摘。「現状がさらに深刻化する場合に備え、定石通り金など安全逃避の 市場に資金が集まるだろう」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12 月限は前日比0.1%未満上げて1オンス=1310.60ドルで終了した。

原題:Gold Climbs in New York on Increasing Demand for Haven Assets(抜粋)

◎NY原油:反落、IEAが世界的な供給だぶつきを指摘

ニューヨーク原油先物市場のウェスト・テキサス・インターミディ エート(WTI)は反落。国際エネルギー機関(IEA)は供給のだぶ つきを指摘し、中東で供給障害が起きるリスクが相殺されていると分析 した。ロンドンの北海ブレント原油は1年1カ月ぶり安値。

アイアイトレーダー・ドット・コムの市場担当シニアストラテジス ト、ビル・バルーク氏(シカゴ在勤)は「IEAのリポートはきょうの 市場に一撃を与えた」と指摘。「需要をめぐる不安が相場を強く動かし ている。大規模な供給障害でもない限り、WTIが100ドルを超える理 由は見当たらない」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物9月限は前日 比71セント(0.72%)安の1バレル=97.37ドルで終了した。ロンドン ICEのブレント9月限は1.66ドル安の103.02ドル。2013年7月1日以 来の安値で引けた。

原題:Brent Crude Falls to 13-Month Low as IEA Sees Global Supply Glut(抜粋)

◎欧州株:下落、ヘンケル安い-ウクライナめぐるロシアの動向に注目

12日の欧州株式相場は下落。指標のストックス欧州600指数は前日 に4月以来の大幅高となっていた。ロシアの支援物資を乗せたトラック がこの日、ウクライナに向け出発した。

ドイツの化学メーカー、ヘンケルは2011年9月以降で最もきつい値 下がり。ウクライナや中東情勢を受け、利益の伸びが鈍化する見通しを 示した。英リテールブローカー、ハーグリーブス・ランズダウン は2.9%下落。同銘柄の売りをUBSが勧めた。一方、英保険会社プル ーデンシャルは2.2%上昇。上期利益が予想を上回った。

ストックス欧州600指数は前日比0.2%安の328.74で終了。イラクや ウクライナ、パレスチナ自治区ガザをめぐる危機の高まりを背景に、同 指数は先週2.1%下落したが、ロシア空軍がウクライナ国境付近での演 習を終了したとの報道を手掛かりに、前日は1.4%上げた。ロシアはこ の日午前、食料や医薬品、飲料水などの人道支援物資を届けるためウク ライナ南東部に向けトラック280台を派遣した。

MPPM(独エップシュタイン)で資産運用に携わるギレルモ・ヘ ルナンデス・サンペレ氏は電話インタビューで、「人道支援に関するニ ュースが注目されている。これが支援に見せ掛けたトロイの木馬まがい なのか、それとも本当に市民を助けることにロシアの意図があるのかと いうことだ」とし、「判断は常に極めて難しい」と語った。

12日の西欧市場では18カ国中11カ国で主要株価指数が下落。仏 CAC40指数は0.9%下げ、独DAX指数は1.2%安となった。

原題:European Stocks Decline as Investors Watch Russia-Ukraine Crisis(抜粋)

◎欧州債:ドイツ10年債利回り、1%に近い-ユーロ圏の日本化を懸念

12日の欧州債市場でドイツ国債は前日からほぼ変わらずとなったも のの、10年債利回りは1%に接近している。デフレスパイラルに見舞わ れた日本同様の状況回避を目指す欧州中央銀行(ECB)の取り組みは 不十分になるとみて、ドイツ債利回りもいずれは1%を下回るとストラ テジストらは予想している。

ECBの目安の半分にも満たないインフレ率が押し上げられるよう な十分な刺激策はないとの判断で、投資家らはドイツ国債を購入してい る。ECBが主要政策金利を過去最低に引き下げ、マイナス預金金利を 導入、目標を絞った流動性措置を発表した6月以降も、インフレ期待を 示す指数は低下している。ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が この日発表した8月の景況感指数は2012年12月以来の低水準だった。

Gプラス・エコノミクスのチーフエコノミスト、レナ・コミレバ氏 はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「ECBの政策が ユーロ圏経済にリフレ効果をもたらし、持続可能な成長の勢いを実現す るのは無理という不信感が全体的にある」と述べ、「ドイツ10年債利回 りが1%を下回る状況に向かう道は大きく開かれている」と続けた。

ロンドン時間午後4時12分現在、10年債利回りは前日比ほぼ変わら ずの1.06%。8日には過去最低となる1.023%まで下げた。同国債(表 面利率1.5%、2024年5月償還)価格は104.055。2年債利回りはマイナ ス0.006%。一時はマイナス0.008%と、昨年5月23日以来の低水準を付 けた。

日本の10年物国債利回りはこの日、0.51%。ブルームバーグが集計 した先進国25カ国の国債のデータによると、日本以外で利回りが1%を 下回っているのはスイスのみ。

ZEWが発表した8月の期待指数は8.6と、前月の27.1から大きく 低下。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値 は17.0だった。同指数は向こう6カ月の見通しを示す。

原題:German Yields Falling Toward 1% Shows Japan-Style Risks Building(抜粋)

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