8月11日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次 の通り。

◎NY外為:円は3週ぶり高値から下落、逃避の買いが後退

ニューヨーク外国為替市場では円が対ドルでほぼ3週間ぶり高値か ら下落。ウクライナの緊張緩和に加え、米軍の空爆でイラクの過激派イ スラム組織の進撃が抑えられているとの見方から、逃避の円買いが後退 した。

ユーロは昨年11月以来の安値に接近。データによると、ユーロに対 する投資家の見方はこの2年間で最も弱気に傾いている。カナダ・ドル は予想を上回る住宅着工件数を好感して、3営業日ぶりに上昇。ポンド は対ユーロで堅調に推移。株式相場は世界的に上昇した。

ソシエテ・ジェネラルのシニア通貨ストラテジスト、セバスチャ ン・ゲーリー氏(ニューヨーク在勤)は「不安が和らいだことから上昇 局面がまだ続いている」と指摘。「対ユーロでのポンド、および対米ド ルでのカナダ・ドルの堅調ぶりを見る限り、不安が和らいだとはいえ、 それほど強いものではないようだ」と述べた。

ニューヨーク時間午後5時現在、円は対ドルで0.2%安い1ドル =102円19銭。8日には7月24日以来の高値となる101円51銭まで上昇し ていた。ユーロはこの日対ドルで0.2%下げて1ユーロ=1.3385ドル。 6日には昨年11月8日以来の安値となる1.3333ドルまで下げた。円はこ の日、対ユーロでほぼ変わらずの1ユーロ=136円78銭。

主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポ ット指数はほぼ変わらずの1021.22。先週までは週間ベースで4週連続 で上昇していた。

ユーロのネットショート

商品先物取引委員会(CFTC)がまとめたヘッジファンドなど大 口投機家の建玉明細によると、対ドルでユーロが下げるとの見方は2012 年8月以降の最高となった。5日までの週のユーロのネットショート は12万8747枚と、前週の10万8075枚から積み上がった。

インタファクスは先週、ロシア国防省の情報としてウクライナ国境 近くでの戦闘機演習が終了したと報じた。ロシア通信(RIA)はロシ ア連邦安全保障会議のパトルシェフ書記を引用し、同国がウクライナと 反政府勢力との調停に乗り出す用意があると報じた。

紛争はまだ沈静しておらず、ウクライナ政府はこの日、親ロシア分 離派勢力が支配する東部地域の住民に避難を呼び掛けた。武装勢力の停 戦提案を拒否したウクライナ政府軍は、分離派の支配地域を包囲してい る。

一方のイラクでは米軍による空爆で、過激派組織「イスラム国」の 北部進軍が抑えられたものの、同組織は依然としてシリアからイラクに 広がる地域を掌握しており、政治的混迷の影響でイラクは一丸となって 対応しにくい状況に陥っている。

株式相場の安定

BNPパリバのディレクター、マサフミ・タカダ氏(ニューヨーク 在勤)は対円でのドルについて、「米国による空爆のニュースで売られ た後、安心感の買いで多少は上昇している」と指摘。「地政学リスクに 関しては依然神経質だが、株式相場が安定している限りは持ちこたえる だろう」と続けた。

円が下げた一方で、東京の株式相場は上昇。厚労省年金局の森浩太 郎参事官は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の基本ポート フォリオを弾力的に運用するよう、運用委員会が決定したと述べた。10 日のTOPIXの終値は前週末比24.25ポイント(2%)高の1252.51。

CFTCの建玉明細によると、対ドルでの円売り越し幅はほぼ5カ 月ぶりの水準に増加。5日までの週の円ネットショートは9万5399枚 で、3月14日以来の水準に積み上がった。

原題:Yen Falls From 3-Week High on Reduced Haven Demand; Pound Gains(抜粋)

◎米国株:上昇、ウクライナやイラク情勢の緊張緩和を楽観

11日の米国株は上昇。ロシアとウクライナ間の緊張が緩和し、米国 による空爆がイラク過激派の攻勢を弱めるとの楽観が背景。

バイオ医薬品のマンカインドは4.9%上昇。仏製薬会社サノフィが 世界でまだ1種類しかない吸入型インスリンの世界ライセンスを取得す るためマンカインドに最大9億2500万ドルを支払うことで合意したこと が買い材料となった。

石油・天然ガスパイプライン運営会社キンダー・モルガン (KMI)も高い。石油・天然ガスの貯蔵とパイプライン・パートナー シップを全て親会社の下に統合すると発表したことが好感された。オン ライン旅行会社のプライスライン・グループは上昇。第2四半期の予約 数が予想を上回った。

S&P500種株価指数は前営業日比0.3%上昇の1936.92。ダウ工業 株30種平均は16.05ドル(0.1%)上げて16569.98ドル。ナスダック総合 指数は0.7%上昇した。

マックイーン・ボール・アンド・アソシエイツの最高投資責任者 (CIO)、ビル・シュルツ氏は「地政学的リスクが弱まっている、あ るいは好戦的なやり取りが報じられた先週半ばからは少なくとも状況が 改善しているとの認識がある」と述べ、「相場の水準は2週間前よりも 低い。資産ポートフォリオに株式を足すのであれば今が好機だ」と続け た。

ウクライナの人道支援

ウクライナのポロシェンコ大統領は赤十字の支援を受けてドネツク とルガンスクに国際部隊が人道支援を提供するだろうと言明した。これ より先、ロシアのラブロフ外相は支援の段取りについてウクライナ政府 と合意が成立していると述べた。

S&P500種は7月24日に記録した最高値1987.98からは3.9%下落 した。イラクやイスラエル、ウクライナでの紛争によって世界経済成長 のペースが減速するとの懸念が背景にある。

シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数( VIX)は9.8%下げて14.23だった。

S&P500種産業別10指数のうち7指数が上昇。生活必需品株や情 報技術株が上昇した。半導体のインテルは1.3%高と、ダウ平均銘柄で 最も上昇した。マイクロン・テクノロジーは2.3%高。半導体株の上げ をけん引した。

キンダー・モルガン

KMIは9%高。発表資料によると、KMIはキンダー・モルガ ン・エナジー・パートナーズとキンダー・モルガン・マネジメント、エ ルパソ・パイプライ ン・パートナーズの発行済み持ち分証券を全て取 得し統合する。

プライスラインは2.2%高。第2四半期の旅行予約は34%増の135億 ドルと、5月時点での予想(32%増)を上回った。ライバルのエクスぺ ディアの株価は1.4%値上がりした。

電気自動車のテスラ・モーターズは4.5%上昇。ドイツ銀行が同社 の株式投資判断を「ホールド」から「買い」に引き上げたことが材料と なった。

原題:U.S. Stocks Advance Amid Optimism Over Easing of Ukraine Crisis(抜粋)

◎米国債:10年債利回り、1年ぶり低水準付近-ウクライナ情勢で

米国債市場では、10年債利回りが1年ぶり低水準付近で推移。ウク ライナでの混乱が深刻化するとの観測が広がっている。

ロシアが人道支援の名目で、ウクライナ東部の反政府勢力支援のた め軍事行動を起こすとの懸念が強まり、10年債利回りは上げを縮めた。 ロイター通信によれば、北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事 務総長は、ロシアが軍事介入に踏み切る「可能性は高い」と述べた。米 財務省は今週、発行総額670億ドルの国債入札を実施する。

CRTキャピタル・グループ(コネティカット州スタンフォード) の政府債ストラテジスト、イアン・リンジェン氏は「ウクライナをめぐ るロシアと西側諸国との間の緊張が続いており、それを受けて米国債へ の逃避需要が見られる」と述べた。同氏はまた、5年債と7年債の買い を勧めた。国債入札を背景に両年限のパフォーマンスが他を上回るとみ ている。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間 午後5時現在、10年債利回りは前日比1ベーシスポイント(bp、1b p=0.01%)未満上昇し2.43%。一時2.44%まで上げた。8日に は2.35%と2013年6月以来の低水準に下げた。同年債(表面利 率2.5%、2024年5月償還)価格はこの日2/32下げて100 5/8。

5年債利回りは1bp未満低下の1.62%。一時1.64%に上げた。8 日には1.53%と、5月30日以来の低水準を付けた。

売買高は減少

米政府債のディーラー間ブローカーで最大手のICAPを通じた米 国債の売買高は1940億ドルと、8日の3560億ドルから46%減少。年初来 の平均は3260億ドル。今月1日には5040億ドルと3カ月ぶり高水準に達 し、4日には1970億ドルに減った。

米国債のボラティリティを測るバンク・オブ・アメリカ(BOA) メリルリンチのMOVE指数は、60.3bp。8日に62.5bpと6月5日 以来の水準に上昇した。年初来の平均は59。今月1日には52.3と13年5 月以来の水準に下げていた。

ブルームバーグ米国債指数によると、年初から8日までの米国債リ ターンはプラス3.8%。昨年は年間でマイナス3.4%だった。

三菱UFJ証券USAのシニア米国債トレーダー、トーマス・ロス 氏(ニューヨーク在勤)は「不安は投資判断を動かす極めて強い要素 だ」とし、「不安を振り払うことはできないようだ」と続けた。

ウクライナ情勢、国債入札

赤十字は反政府勢力が制圧しているウクライナ東部が人道的な支援 を得られるよう取り組んでいると表明した。

NATOは、プーチン大統領が人道的または平和維持の活動との名 目で軍事介入を行う可能性があると指摘している。またロイター通信は NATOのラスムセン事務総長の11日の話として、ロシアがウクライナ 国境付近から軍を撤退させている兆候は見られないと報じた。

米財務省は12日に3年債(発行額270億ドル)、13日に10年債 (同240億ドル)、14日に30年債(同160億ドル)の入札を実施する。

CIBCワールド・マーケッツのマネジングディレクター兼米国債 トレーディング責任者、トーマス・トゥッチ氏(ニューヨーク在勤)は 「今週の入札では、現在の利回り水準で強い需要があるかどうかが示さ れる」とし、「長期債で多くの供給がある。この利回り水準を維持でき るかについては、今回の入札で答えが出るだろう」と述べた。

原題:Treasury Yields at Almost One-Year Low Amid Ukraine Speculation(抜粋)

◎NY金:小幅続落、ウクライナ緊張緩和-未決済建玉5年ぶり低水準

ニューヨーク金先物相場は小幅続落。ウクライナでの緊張緩和が背 景。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の先物とオ プションの未決済建玉(オープン・インタレスト)はほぼ5年ぶりの低 水準となっている。

アーチャー・フィナンシャル・サービシズのシニア市場ストラテジ スト、アダム・クロフェンシュタイン氏(シカゴ在勤)は電話インタビ ューで「ウクライナからのニュースがあまりないことで、安全逃避のプ レミアムが低下している」と指摘。「株式相場の強さも金からの資金流 出につながっている」と述べた。

COMEX部門の金先物12月限は前週末比0.1%未満下げて1オン ス=1310.50ドルで終了した。

原題:Gold Futures Decline as Open Interest Slumps to Five-Year Low(抜粋)

◎NY原油:3営業日続伸、製油増から在庫減少を見込む

ニューヨーク原油先物市場のウェスト・テキサス・インターミディ エート(WTI)は3営業日続伸。米国の製油量がこの時期としては過 去最高水準だったことが明らかになり、原油在庫が減少したとの見方が 広がった。

エネルギー関連の商品に重点を置くヘッジファンド、アゲイン・キ ャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルダフ氏は「強い 製油需要というトレンドは米国でまだ続いている」と指摘。「国内需要 の結果としてWTIが支えられるという見方がある」と続けた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物9月限は前週 末比43セント(0.44%)高の1バレル=98.08ドルで終了した。

原題:WTI Crude Rises for Third Day as U.S. Inventories Seen Falling(抜粋)

◎欧州株:約3カ月ぶり大幅高-ロシアが軍事演習終了との報道で

11日の欧州株式市場では指標のストックス欧州600指数が約3カ月 ぶりの大幅高となった。ロシアの軍用機がウクライナ国境付近での演習 を終了したとの報道が手掛かりとなった。

英建設会社バルフォア・ビィーティーは2.5%上昇。同業の英カリ リオンが再提示した合併案を拒否したことが好感された。イタリアの銀 行バンコ・ポプラーレは8.2%の大幅高。第2四半期が予想に反して黒 字だったことが買い材料。ドイツの自動車メーカー、BMWとダイムラ ーが大きく上げるなど、自動車関連株指数を押し上げた。

ストックス欧州600指数は前週末比1.4%高の329.36で終了。騰落比 率は約15対1。産業別19指数全てが上昇した。イラクやウクライナ、ガ ザをめぐる危機の高まりを背景にストックス600指数は先週、2.1%下げ ていた。

アッシュバートン(英ジャージー)の投資マネジャー、ベロニカ・ ペクラナー氏は電話インタビューで、「先週下落したことからこの日は やや反発した」と述べ、「ロシアとウクライナの情勢に関しては段階的 なプロセスとなるだろう。正しい方向に進むことを期待している。制裁 拡大やこれ以上の軍事行動がなく、撃墜された航空機の調査に関する情 報が得られることが望まれる」と続けた。

ロシアはウクライナでの衝突鎮静に向けた努力をしていると、ロシ ア通信が8日報じた。インタファクス通信は同日遅く、国防省がアスト ラハン州での演習を終えた部隊を基地に帰還させたと伝えた。

11日の西欧市場ではポルトガルとアイスランドを除く16カ国で主要 株価指数が上昇。英FTSE100指数は1%、仏CAC40指数は1.2%そ れぞれ上げ、独DAX指数は1.9%高と、4月以来の大幅上昇となっ た。

原題:European Stocks Climb After Russia Calls End to Military Drills(抜粋)

◎欧州債:ドイツ10年債、4営業日ぶりに下落-安全資産需要が減退

11日の欧州債市場では、ドイツ10年債が4営業日ぶりに値下がり。 ウクライナやパレスチナ自治区ガザをめぐる地政学的緊張が緩み、ユー ロ圏で最も安全とされるドイツ債の需要が減退した。

ドイツ10年債利回りは過去最低まで約4ベーシスポイント(bp、 1bp=0.01%)。同国は週内に40億ユーロの10年債入札を実施する。 ロシアはウクライナ国境近くでの戦闘機演習を8日に終了。イスラエル はガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスと10日、エジプトが 提案した新たな72時間の停戦に同意した。これで、米国のイラク空爆に よっても高まっていた安全資産需要は後退し、高利回り資産を求める動 きからイタリアとスペインの国債は続伸した。

BNPパリバ(パリ)の債券ストラテジスト、パトリック・ジャッ ク氏は「地政学上の状況が多少なりとも改善し、それで質への逃避が抑 えられた」とし、「それでもウクライナなどの状況がまだ落ち着いてい ないことには引き続き留意する必要がある。中核国の国債利回りが上昇 するリスクは限られている」と付け加えた。

ロンドン時間午後4時31分現在、ドイツ10年債利回りは前週末比1 bp上昇の1.06%。8日には過去最低の1.023%を付けた。同国債(表 面利率1.5%、2024年5月償還)価格はこの日0.095下げ104.025。2年 債利回りは1bp低下の0%。一時はマイナス0.005%と、8日同様 に2013年5月23日以来の低水準となった。

イタリア10年債利回りは3bp低下の2.78%。スペイン10年債利回 りは2bp低下の2.54%。

原題:German Bonds Fall First Time in Four Days as Haven Demand Abates(抜粋)

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