米利上げ来年ない可能性、日米株有望-富国生命投資顧問・奥本氏

富国生命投資顧問の奥本郷司社長 は、市場の大方の見方に反し、米連邦準備制度理事会(FRB)が2015 年中に利上げを実施しない可能性があると予想する。低金利継続を背景 に日本の内需株や米国株の割安な銘柄への投資が有望だとしている。

奥本氏は、「米国も潜在成長率が低下していて、むちゃができない 経済になっている可能性がある。利上げに対して慎重にならざるを得な い。少なくとも来年中はないと思う」と述べた。「世界的な日本化によ り、利上げしない方が心地良い状況になっている。どの国も金融政策を 動かしづらい状況に追い込まれてしまった」と続けた。インタビューは 6日に行った。

米政策金利となるフェデラルファンド(FF)金利先物市場の動向 によると、15年末までにFF金利誘導目標が少なくとも0.5%まで引き 上げられる確率は約87%に達している。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は7月の会合で、債券購入額を 月250億ドルにする方針を決定。6会合連続での縮小となり、10月には 資産購入プログラムが終了する見込み。イエレンFRB議長は会見で、 労働市場の余剰に懸念を示し、購入プログラム終了後も「相当な期間」 低金利を維持する公算が大きいことを明らかにした。

米大手運用機関と対照的

奥本氏の見方は、来年の米利上げを予想しているパシフィック・イ ンベストメント・マネジメント(PIMCO)などの米大手運用機関と は対照的だ。世界最大債券ファンドのPIMCOの共同創業者、ビル・ グロス氏は、同社のホームページで、「FRBは小幅な利上げを来年半 ばから開始するだろう」と予想している。

ルーミス・セイレスのヴァイスプレジデント・ポートフォリオマネ ジャー、カート・ワグナー氏は7日、メディアブリーフィングで、 「FRBは緩和的な政策を行っており、恐らく1、2年は続くと思う。 利上げは、来年後半以降になるとみている」と述べた。

ブラックロック最高投資責任者(CIO)のリック・リーダー氏は 先月、ブルームバーグテレビで、市場予想を上回る米雇用の伸びは景気 加速を明確に示しており、FOMCに来年1-3月期中の利上げを強い る可能性があると指摘した。

日本銀行は2%の物価目標を2年程度で達成するため、マネタリー ベースを倍増させる「量的・質的金融緩和」を昨年4月に導入。毎月6 兆-8兆円に及ぶ長期国債を購入しており、長期金利は0.50%近辺と世 界でスイスに次いで2番目に低い。

オペを続けるしかない

奥本氏は、日銀金融政策に関して、「追加緩和はないが、2%の物 価目標に到達していない中で、少なくとも引き締めはないだろう。物価 目標を達成できていないので、日銀は国債買いオペを続けるしかない」 と述べた。

長期金利については、来年3月末に0.60%程度への緩やかな上昇を 見込む。「現状では金利が非常に低いため、新規のポジションを増やす のには慎重にならざるを得ない」と述べた。半面、日銀が新発債の約7 割を購入するので金利は大きく上昇しないと言い、「利回り曲線上で年 限別に割高・割安を見て、特定の年限に重点を置いて投資する戦略」を 挙げた。富国生命投資顧問の受託資産残高は3月末で約1兆8748億円。

ブルームバーグが市場参加者を対象にまとめた金利予測調査(加重 平均)によると、長期金利は15年3月末に0.75%が見込まれている。

東京五輪関連株に魅力

奥本氏は、日米の低金利環境が景気を支え、株価の懸念材料は小さ いと指摘。日本株について、「世界的に見て割高ではない。内需関連企 業で割安に放置されていた企業を発掘していく」と説明し、「内需株で は高齢化対応や東京五輪に向けた観光・インフラ整備などへの投資に妙 味がある」と述べた。

TOPIXは7月に配当再投資を含むベースで2.1%の収益率とな った。これに対し、残存期間1年超の日本国債の収益率は0.2%にとど まった。

奥本氏は、株価が堅調に推移した要因として、年金積立金管理運用 独立行政法人(GPIF)改革や成長戦略などを挙げた。「安倍晋三政 権は一貫した政策で、株主資本利益率(ROE)を高めて良い企業を育 てる方向。JPX日経インデックス400銘柄変更の影響も無視できな い。ベンチャー企業も焦点」と述べた。

米国株については、「米国は伝統的にテクノロジー企業が強い。カ ナダやメキシコなども有望」との見方を示した。一方、アジアで収益を 上げるアジア戦略ファンドや企業の社会的責任(CSR)に着目した投 資(SRI)ファンドなども好調と説明した。

厚生年金と国民年金の運用資産126.6兆円を抱えるGPIFは、国 内債券を減らして日本株などリスク資産を増やす方向で検討中。ブルー ムバーグが5月に実施した市場調査(中央値)では、GPIFが国内債 の目標値を現在の60%から40%に下げ、国内株は12%から20%に増やす と回答。市場予想に沿った資産構成にした場合、3月末時点から国内債 を約19.5兆円減らし、日本株は約4.5兆円増やす必要が生じる。

奥本氏は、GPIFの資産運用見直しについて、「株に多少インパ クトがあるだろう。一方、国債市場への影響は、最大の買い手が日銀な ので、ないと思う」と語った。

ドル・円相場に関して、奥本氏は、年度末に向けて1ドル=103 -104円を目指して推移すると予想。「公的年金はリスクアセットのウ エートを高めなければいけないので、外債・ドルの下支え要因になる」 と語った。

--取材協力:野沢茂樹.

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