【今週の債券】長期金利0.5%割れか、買いのタイミング探る展開との声

今週の債券市場で長期金利は節目 の0.5%を割り込むと予想されている。地政学的リスクの強まりで逃避 資金が流入し、金利低下圧力が掛かりやすいとの見方が背景にある。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが8日に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは 全体で0.47-0.53%。0.5%割れとなれば2013年4月8日以来となる。

前週の長期金利は8日に1年4カ月ぶり水準の0.50%に低下した。 ウクライナ情勢の緊迫化に加え、オバマ米大統領がイラクへの空爆を承 認したことを受けて投資家のリスク回避姿勢が強まり、買いが膨らん だ。一方、米国債市場では10年国債利回りが米軍のイラク空爆を手掛り に2.3%台に低下していたが、その後は2.42%に上昇した。

パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、地 政学リスクが心理面から実体面まで広がり、金融市場は欧州のリセッシ ョン(後退)入りを織り込み始めた可能性があると指摘。世界経済にピ ークアウト感が広がれば、金利低下の流れはより長期化すると言い、 「当面は地政学リスクを横目で見ながら買いのタイミングを探る展開」 と予想する。

13日発表の4ー6月期国内総生産(GDP)に注目が集まってい る。ブルームバーグの事前調査によると、4-6月期GDPは、物価変 動の影響を除いた実質で前期比年率7.0%減と、リーマンショック後で 景気が低迷していた2009年1ー3月期以来の落ち込みとなる見込み。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、日本銀行は前週の金融 政策決定会合で輸出と生産の判断を下方修正したと指摘。「民間では4 -6月期GDPの落ち込みを加味して、14年度の成長率見通しの引き下 げが進むだろう。日銀は10月会合で、3回連続で成長率見通しを下方修 正することになるだろう」と言う。

30年債入札

12日に30年利付国債の価格競争入札が実施される。43回債と銘柄統 合するリオープン発行となり、表面利率(クーポン)は1.7%に据え置 かれる見通し。今月は四半期に1回の40年債入札が行われるため、発行 額は前回債より1000億円減の6000億円程度となる。

14日には5年国債入札が予定されている。前回入札の5年物119回 債利回りは0.145%で推移。クーポンは前回債と同じ0.1%か、0.1ポイ ント高い0.2%となる見込み。発行額は2兆7000億円程度。

市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先物は中心限月の9 月物、10年国債利回りは新発物の334回債。

◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長

先物9月物145円80銭-146円50銭

10年国債利回り=0.47%-0.53%

「ドイツや米国の長期金利がレンジを下抜けし、円金利も低下方向 の流れは変わらない。ウクライナ問題の制裁措置が実体経済に影響して きた上、米国のイラク空爆で、ロシアにウクライナ介入の口実を与えて 事態を悪化させるリスクもある。10年債利回りの低下余地は少なく、買 い進むとすれば20年債の方が妙味はある。30年債入札を通過すれば買い を入れやすくなるのではないか」

◎大和住銀投信投資顧問の奥原健夫シニアファンドマネジャー

先物9月物146円00銭-146円50銭

10年国債利回り=0.48%-0.52%

「長期金利0.5%割れを探る。ロシア経済は簡単には立ち直らない 見通しで、関係の深い欧州に波及すれば中国にもマイナスの循環が起こ る。米国は回復途上とはいえ、一国で世界経済支えるのは無理。日本に ついても輸出が停滞するなど減速傾向にあり、世界経済が減速すること への警戒感が強まる。マクロ経済の悪化に伴ってリスク資産から資金が 流出し、米国はじめ株式市場では売りが売りを呼ぶ展開となりそう」

◎マスミューチュアル生命運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長

先物9月物145円95銭-146円45銭

10年国債利回り=0.475%-0.525%

「今週発表される国内の4-6月期の実質GDP(速報値)は弱い 内容になると思われるで、金利は低下方向とみている。もっとも、長期 金利が節目の0.5%を割り込み、0.4%台に突入するとさすがに売りが出 ているのではないか。5年債入札については、投資家の余剰資金つぶし の買い需要が見込まれる。30年債入札も心配していない。金利水準は低 いものの、安くなれば買いが入るだろう」

--取材協力:赤間信行、池田祐美 Editors: 崎浜秀磨, 山中英典

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