8月8日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は 次の通り。

◎NY外為:円が週間で1カ月ぶり大幅高-イラク攻撃で

8日のニューヨーク外国為替市場では週間ベースで円がドルに対し て約1カ月ぶりの大幅上昇。米軍の戦闘機がイラクの武装組織を空爆 し、安全資産への逃避需要が高まった。

円はこの日の上げ幅を縮小した。ロシア国防省がウクライナとの国 境付近地帯で行っていた戦闘機による軍事演習を終了したと述べたこと が手掛かり。カナダ・ドルは続落。雇用の伸びが予想を下回り、景気が 失速している兆しが示された。

ウェルズ・ファーゴのストラテジスト、エリック・ビロリア氏は、 「ある程度のリスク回避がみられる。円とスイス・フランは良好だ」と 述べ、「いくつかの不透明感が積み重なり、短期的には影響を及ぼす傾 向がある。ただ全体的な経済動向と金融政策見通しが引き続き外為市場 を支配している」と続けた。

ニューヨーク時間午後5時現在、円は対ドルで0.1%未満上昇し、 1ドル=102円04銭。一時は7月24日以来の高値となる101円51銭をつけ た。週間ベースで0.6%の上げは7月11日終了週以来で最大。円は対ユ ーロで0.3%下げて1ユーロ=136円83銭。ユーロは対ドルで0.3%上昇 して1ユーロ=1.3410ドル。一時は6月5日以降で最大となる0.5%高 を記録した。

ウェルズ・ファーゴは円がドルに対して年末までに1ドル=103円 に下がると予想。ブルームバーグがまとめたエコノミストとストラテジ ストの予想中央値によると、105円への下落となっている。

ブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.1%低下して1021.37。

ルーブルが上昇

ロシア・ルーブルは0.4%高。一時は0.8%安まで売り込まれてい た。ロシアはウクライナ紛争の緊張緩和に努める意向を表明した。

カナダ統計局が発表した7月の雇用統計によると、7月の雇用者は 前月比で200人増。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト 予想では2万人の増加だった。失業率は7%と、前月の7.1%から低下 した。雇用統計発表後にカナダ・ドルは下落。対米ドルでは0.4%下げ た。

円とスイス・フランは上昇。オバマ米大統領はイラクの武装組織 「イスラム国」がクルド人自治区の主要都市であるアルビルに侵攻した 場合の空爆を承認した。アルビルには 米国の外交当局者が駐在してい る。その上でイラクへの地上軍派遣は計画していないとあらためて述べ た。

ウエスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズの市場アナリ スト、ジョー・マニンボ氏(ワシントン在勤)は、「リスク回避が前面 に出ており、円が恩恵を受けている」と述べ、「ここに来て懸念事項が 増え、地政学的不透明感はなかなか消えないだろう」と続けた。

ボラティリティー指数

JPモルガンのグローバルFXボラティリティー指数は6.24%。前 日は6月4日以来の最高となる6.33%に上昇した。

先進10カ国の通貨で構成されるブルームバーグ相関加重通貨指数に よると、円は過去1カ月間で1.2%上昇。ドルは1.7%上昇と10カ国通貨 の中では上昇率が最も高かった。ユーロはほぼ変わらず。

原題:Yen Headed for Biggest Weekly Gain in a Month on Iraq Strikes(抜粋)

◎米国株:上昇、S&P500種は3月以降で最大の上げ

米株式相場は反発。S&P500種株価指数は5カ月で最大の上げと なり、週間での下げを埋めた。中東での危機をめぐる懸念はあるもの の、ウクライナでの緊張緩和の兆候が材料視された。

ギャップが高い。決算で利益と売上高が市場予想を上回った。コー チも上昇。一方でソーシャルゲームのジンガは下落。通期見通しの引き 下げが嫌気された。ニューズ・コープも値下がり。決算で利益が市場予 想を下回った。

S&P500種株価指数は前日比1.2%上昇の1931.59。上昇率は3月 4日以降で最大。ダウ工業株30種平均は185.66ドル(1.1%)上げ て16553.93ドル。

ウェドブッシュ・セキュリティーズの株式トレーディング担当マネ ジングディレクターのマイケル・ジェームズ氏は「ここ1週間ほどの相 場は総じてかなり底堅い動きを見せている」とし、「多くの悪材料を消 化しながらも、大きく下げずに済んでいる」と続けた。

S&P500種は週間ベースでは前日までの時点で下げていたが、こ の日の上昇でその下げを埋め、週間で0.3%高となった。前日は4月以 降で初めて終値ベースで100日移動平均を下回り、あと60ポイント下げ ると年初来の上げが全て消える水準にあった。

ウクライナ情勢

ロシア通信はこの日、ロシアがウクライナでの衝突鎮静への努力を していると報じた。これに反応し株式相場は上昇。また午後にインタフ ァクスがロシア国防省を引用し、4日からウクライナ国境付近で行われ ていた軍事演習が終了し、部隊がそれぞれ所属する基地に帰投すると報 じると、相場は上げを拡大した。

S&P500種は7月24日に1987.98の過去最高値を付けて以降、前日 までに3.9%下落。ウクライナ情勢のほか、イスラエルとハマスの対立 激化も嫌気された。

ウィーデンのチーフ世界ストラテジスト兼株式デリバティブ調査責 任者、マイケル・パーブス氏は「ロシアや中東の地政学ニュースを見る と、米国株にとっては人道的な観点からはひどいことだが、米経済のフ ァンダメンタルズにとってはどの程度悪いニュースだろうか」とし、 「関係はかなり薄い。7月の高値から大きく下げたが、私の見方ではこ れは過度に伸長した相場環境を背景とする非常に秩序立った調整だ」と 述べた。

下げ行き過ぎの観測

この日の株式市場では、ここ最近の下げは行き過ぎとの観測が広が った。ブルームバーグのデータによれば、S&P500種の銘柄の約80% は前日、終値ベースで過去50日間の平均を下回った。

S&P500種は2011年以来、10%安の調整局面を経験していない。 株価収益率(PER、実績ベース)は17.5倍。6月には4年ぶり高水準 となる18.3倍に達した。

この日発表された4-6月(第2四半期)の米労働生産性は市場予 想を上回る伸びとなった。1-3月(第1四半期)はここ30年余りで最 大の低下だった。

S&P500種の業種別10指数は全て上昇。公益株は2%高と最大の 上げだった。

ギャップは5.9%高と昨年11月以降で最大の上昇率。コーチは5.4% 上昇した。

ジンガは1.4%、ニューズは1.6%それぞれ下げた。

原題:S&P 500 Advances Most Since March as Tensions Ease Over Ukraine(抜粋)

◎米国債:週間ベースで1カ月ぶり大幅高、世界的な情勢不安

米国債市場では10年債が週間ベースでほぼ1カ月ぶりの大幅上昇と なった。中東やウクライナでの紛争を背景に、米国債の安全性を求める 買いが強まった。

オバマ米大統領のイラク空爆承認や、パレスチナ自治区ガザでの停 戦が延長されなかったことを背景に、米10年債と30年債の利回りは約1 年ぶりの低水準となった。この日はロシアがウクライナでの緊張緩和に 取り組んでいる兆しを背景に、上げを消す展開となった。

BNPパリバの金利ストラテジスト、アーロン・コーリ氏(ニュー ヨーク在勤)は、「地政学的問題が次々と表面化し、買いが強まった」 と指摘。「米国債市場では売りのタイミングがつかみにくい状況だっ た」と述べた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間 午後5時現在、10年債利回りは週間ベースで7ベーシスポイント(b p、1bp =0.01%)低下と、7月11日終了週以来の大幅低下。この 日は前日比ほぼ変わらずの2.42%。一時は6ベーシスポイント(bp、 1bp =0.01%)低下の2.35%と、2013年6月20日以来の低水準をつ けた。同年債(表面利率2.5%、償還2024年5月)価格は2/32下げて100 22/32。

30年債利回りは週間で5bp低下の3.23%、前日比ではほぼ変わら ずだった。この日は一時は3.18%と、13年6月6日以来の低水準となっ た。

この日の国債市場は一時、世界的に上昇していた。米軍の戦闘機は イラクの武装組織 「イスラム国」を空爆した。米軍が戦闘機2機で爆 撃したのは、同武装組織がクルド人自治区の主要都市アルビルを攻撃す るために使っていた砲撃拠点。国防総省のカービー報道官が発表した。 アルビルには米国の外交官や軍職員が駐在している。

イラク、ガザ

オバマ米大統領は前日、限定的な空爆を承認。米当局者を守るた め、またイラク北部中心に居住する少数派ヤジディ教徒の虐殺を防止す るために必要な措置と説明した。ヤジディ教徒は武装組織の標的とされ ており、今週に入って数千人が住居を追われた。

イスラエル軍は武装勢力からのロケット弾発射への報復として、パ レスチナ自治区ガザを空爆した。

ドイツ10年債利回りはこの日一時4bp低下の1.023%と、過去最 低をつけた。独2年債は13年5月以来の低水準となるマイナス0.005% まで下げる場面もあった。

大和証券キャピタル・マーケッツ・アメリカの債券部門責任者、レ イ・レミー氏(ニューヨーク在勤)は、米10年債利回りは同年物の独国 債の2倍以上の水準にあると指摘。利回りが高いため、「国際マネー」 が米10年債に引き続き流入してくるだろうと述べた。

米国債の利回りが他の国債利回りより高いことも、買いを呼び込ん だ。米国を除く主要7カ国(G7)の国債平均利回りに対する米10年債 の上乗せ利回りは69bp。過去1年間の平均は49bpだった。7月31日 には78bpと、2007年以来の最大となった。

ウクライナ

ロシア国防省がこの日、ウクライナ周辺地域での戦闘機の演習を終 了したと明らかにしたことを受けて、米国債は伸び悩んだ。ロシアはウ クライナでの衝突鎮静への努力をしていると、ロシア通信は報じた。

RWプレスプリッチの政府債取引担当マネジングディレクター、ラ リー・ミルスタイン氏(ニューヨーク在勤)は「ウクライナへの懸念は 弱まったと考えられている」と指摘。「最近の上昇はすべて安全逃避の 買い、地政学的リスクによるものだ」と述べた。

原題:Treasuries in Biggest Weekly Gain in a Month Amid Global Turmoil(抜粋)

◎NY金:小幅反落、最大ETP通じた保有は今年の増加を消す

ニューヨーク金先物相場は小幅反落。世界最大の金連動型上場取引 型金融商品(ETP)を通じた金保有量は今週0.5%減少し、年初来の 増加分を消した。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部 門の先物とオプションの未決済建玉(オープン・インタレスト)は、5 年ぶりの低水準となっている。

インテグレーテッド・ブローカレッジ・サービシズ(シカゴ)のヘ ッドディーラー、フランク・マギー氏は電話インタビューで、「金は地 政学的なニュースに反応してきたが、安全逃避買いによる上昇は持続で きない」と指摘。「米金融当局が利上げを真剣に検討していることが分 かれば、金は下落し始めるだろう」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12 月限は前日比0.1%安の1オンス=1311ドルで終了した。

原題:Gold’s Biggest ETP Erases 2014’s Gain Amid Open Interest Slump(抜粋)

◎NY原油:小幅続伸、イラク供給安定観測でブレントは下落

ニューヨーク原油先物市場のウェスト・テキサス・インターミディ エート(WTI)は小幅続伸。週間ベースでは0.2%下げた。ロンドン の北海ブレント原油は米軍がイラクの武装組織への空爆に踏み切ったこ とを受け一時上昇したものの、最終的に同国の供給安定につながるとの 見方から、下げに転じた。

エネルギー調査会社WTRGエコノミクス(アーカンソー州ロンド ン)のエコノミスト、ジェームズ・ウィリアムズ氏は「長い目でみれ ば、米軍の介入は原油にとって弱気材料になるだろう。クルド人を支援 することは、武装勢力から油田と領土を取り戻す可能性を高めるから だ」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物9月限は前日 比31セント(0.32%)高の1バレル=97.65ドルで終了。ロンドン ICEのブレント9月限は42セント(0.4%)下げて105.02ドル。

原題:Brent Crude Declines as U.S. Strikes May Stabilize Iraq Supplies(抜粋)

◎欧州株:下落、ドイツ株は過去最高から10%安-週間は3月来の続落

8日の欧州株式相場は下落。フランスとドイツの株価指数は日中取 引で、最近の高値から10%余り下げた。指標のストックス欧州600指数 は週間ベースで3月以来の2週続落となった。

この日は独DAX指数が7月3日に付けた過去最高値から一時11% 下げたほか、仏CAC40指数は6年ぶり高値を付けた6月から10%安と なった。DAX指数は前日比0.3%安で、これまでの最高から10%下 落。CAC40指数はほぼ変わらずで終了した。ストックス欧州600指数 は0.6%安の324.91で引けた。これは3月以来の安値で、日中に1.4%下 落する場面もあった。

オバマ米大統領がイラク空爆を前日承認したことを受け、欧州株式 相場は下げ足を速めた。ウクライナやイスラエルをめぐる懸念のほか、 周辺国の株価下落も影響し、ユーロ・ストックス50指数は一時、6月19 日の高値から10%安となった。ロシアがウクライナでの対立を和らげる 調停に乗り出す用意があるとの報道をきっかけに、同指数は下げ幅を縮 小した。

セブン・インベストメント・マネジメント(ロンドン)の投資戦略 責任者、ロス・プライス氏は電話インタビューで、直近の高値から10% も下げたこの日の「相場調整は警鐘だ」とし、「市場がこれまで多くの リスクを克服してきたのは本当だが、現在の懸念の高まりも当然 だ。2009年以降の回復がピークに達したのではないかと考える必要があ る。既に達した確率は高いと思う」と語った。

個別銘柄では、イタリアのモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀 行が8.3%下げ、伊皮革製品メーカーのトッズは7%下落。フィンラン ドのタイヤメーカー、ノキアン・レンカートは6.5%安となった。いず れも決算が嫌気された。

原題:European Stocks Decline as Germany’s DAX Falls 10% From Record(抜粋)

◎欧州債:総じて上昇、利回りは過去最低に-イラク情勢に反応

8日の欧州債市場ではユーロ参加国の国債が総じて上昇し、一部の 利回りは過去最低を付けた。オバマ米大統領がイラクのイスラム過激派 に対する空爆を承認し、地政学的リスクの高まりが比較的安全とされる 国債の需要を押し上げた。

ドイツ2年債利回りは2日連続でマイナス圏に低下。今月はイラク 情勢のほかウクライナやガザをめぐる紛争を受け、域内で最も安全とさ れるドイツ国債を求める動きが強まる一方、高利回り債は売られる状況 となっていた。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は7日、紛争が成 長を損なうリスクの高まりを指摘。この日はフィンランドやフランス の10年債利回りがこれまでの最低を付けたほか、イタリアとスペインの 国債は週間ベースの下げ幅を縮小した。

INGグループ(アムステルダム)で先進国市場の債券戦略責任者 を務めるパドライク・ガービー氏は「中核国の国債相場を動かす材料は 地政学的要因で、この日はまさににそれが適切だと感じる」と発言。 「短期と長期の両方で国債にかなりの買いが見られるという最近の資金 の流れに何ら変わりはない」とも語った。

ロンドン時間午後4時24分現在、ドイツ10年債利回りは前日比1ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.05%。一時 は1.023%と、ブルームバーグが1989年にデータ集計を開始して以降の 最低を付けた。同国債(表面利率1.5%、2024年5月償還)価格は0.1上 げ104.14。2年債利回りは0.009%。2013年5月23日以来の低水準とな るマイナス0.005%まで低下する場面もあった。

イタリア10年債利回りは4bp低下し2.84%、同年限のスペイン国 債利回りは5bp下げて2.58%。

フランス10年債利回りは一時5bp下げ1.441%、フィンランド10 年債利回りは1.178%まで低下し、いずれもこれまでの最低となった。

原題:European Bond Gains Push Yields to Record Lows on Iraq Conflict(抜粋)

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