日本株全面安、地政学リスクおびえ日経平均5カ月ぶり下落率

東京株式相場は全面安。ウクライナ の緊張、米国によるイラク空爆の可能性など地政学リスクへの警戒が強 まり、節目の1万5000円を大きく割り込んだ日経平均株価は5カ月ぶり の下落率を記録した。為替の円高推移も嫌気され、東証1部33業種は精 密機器など輸出関連、非鉄金属など素材関連株中心に全て安い。

TOPIXの終値は前日比29.86ポイント(2.4%)安の1228.26、 日経平均株価は454円(3%)安の1万4778円37銭。日経平均の下落率 は3月14日以来の大きさで、投資家の恐怖心理を示す日経平均ボラティ リティ・インデックスも37%上昇、4月来の水準に高騰した。

セゾン投信運用部の瀬下哲雄ポートフォリオマネジャーは、ウクラ イナ問題は「弱いと言われているドイツの景気にさらに打撃を与えそう だ。ユーロ圏経済は先行きが暗くなり、ウクライナ情勢は昨日から新し い段階に入っている」とみる。

北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事務総長は7日、ロシ アに対し、ウクライナから手を引くよう要求。欧州中央銀行(ECB) のドラギ総裁は、ウクライナなどでの紛争が景気回復を損ねるリスクが 増しているとの認識を示した。ロシアは欧米諸国などからの輸入を禁止 する食料品のリストを発表、乳製品や牛・豚・鶏肉、野菜、魚介類、野 菜などが含まれる。地政学リスク、景気への懸念で、同日の欧州株、米 国株は軒並み下げた。

一方、オバマ米大統領は日本時間8日、イラクのイスラム過激派に 対する空爆を承認、イラク市民への食料と飲料の投下のために米軍機を 派遣したと発表した。同大統領は、武装組織がクルド人自治区の主要都 市であるアルビルに侵攻すれば、過激派を攻撃すると述べている。

投資家のリスク回避姿勢から世界的な株安の様相を呈しており、日 本時間今夜の米国株が再度下落することへの懸念も心理悪化につながっ た。シカゴ24時間電子取引システム(GLOBEX)のS&P500種株 価指数先物は、きょう午前10時30分ごろから急落し、基準価格に対し10 ポイント以上安い。

円高加速、国内景気の懸念も

また、きょうのドル・円相場は、朝方は1ドル=102円10銭付近で 推移していたが、午前後半から円高方向への動きが鮮明になり、一時 は101円60銭台、前日の東京株式市場の終値時点は102円36銭だった。

きょうの日本株下落について、セゾン投信の瀬下氏は「原因として 半分くらいは国内景気の不安感」を挙げる。午後2時すぎに内閣府から 公表された7月の景気ウオッチャー調査は、先行き判断DIが51.5と2 カ月連続で低下した。

日本銀行はこの日まで開いた金融政策決定会合で、現状の量的・質 的金融緩和策の据え置きを決定。景気について「基調的には緩やかな回 復を続けている」との情勢判断は維持した半面、輸出と生産の判断は下 方修正した。

東証1部33業種は全て下げ、下落率上位は非鉄、精密、その他金 融、不動産、情報・通信、保険、倉庫・運輸、水産・農林、ガラス・土 石製品、金属製品。売買代金上位ではソフトバンク、トヨタ自動車、三 菱UFJフィナンシャル・グループ、KLab、富士フイルムホールデ ィングス、ファーストリテイリング、JPX日経インデックス400から の除外が決まったソニーが安い。業績低調のニコン、住友金属鉱山、三 菱マテリアル、ジャパンディスプレイの下げもきつかった。

東証1部の売買高は27億5477万株、売買代金は2兆5678億円。値上 がり銘柄数は131、値下がりは1656。国内新興市場では、マザーズ指数 は3.4%安と4日続落。きょうの取引開始時は株価指数オプション8月 限の特別清算値(SQ)算出で、ブルームバーグ・データの試算による と、日経平均型で1万5036円83銭と前日終値を195円54銭下回った。

--取材協力:冷澄.

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