【クレジット市場】黒田緩和、ジャンク警鐘を無力化-商船三井債で

コンテナ船事業で3期連続赤字を計 上している商船三井の社債に投機的等級(ジャンク)への格下げの可能 性が出てきたが、市場は意に介していない。日本銀行が導入した量的・ 質的金融緩和による信用力の下支えが背景だ。

ムーディーズ・ジャパンは商船三井の今期業績の下方修正を受け、 現在の投資適格で最も低い「Baa3」を格下げ方向で方向で見直すと 4日、発表した。2017年満期の商船三井債の国債に対する上乗せ金利 (スプレッド)は翌日、2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%) 下落、発行以来最低となる22bpとなった。バンク・オブ・アメリカ・ メリルリンチが集計する指標によると、日本企業が発行した社債の平均 スプレッドは7日時点で21bp。

世界的な船舶の供給過剰によるコンテナ船などの市況悪化が海運会 社の収益を圧迫しており、商船三井は先月31日、今期純利益の見通しを 増益から一転、400億円の減益に下方修正した。ムーディーズは商船三 井の財務指標の悪化などに警鐘を鳴らすが、2年間でマネタリーベース 倍増を目指すとした日銀の緩和政策の前では無関係だった格好だ。

BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストは、実際 に格下げとなれば商船三井債の取引に「多少影響が出てくると思ってい るが、現段階で反応が薄いのは織り込み済みということだろう」と話 す。また、日銀の緩和による投資家の余剰資金が社債市場にも向かった ことから「全体がタイトニングしていて、スプレッドがあまりあるもの は、つぶしにかかっている動き」もあると述べた。

「市況は脆弱」

商船三井が発表した決算資料によると、コンテナ船事業の4-6月 の経常損益は72億円の赤字で、事業セグメントのうち唯一の損失となっ た。7月以降も「引き続き市況は脆弱であり、予断を許さない状況が続 く」予想と記載している。

田辺昌宏常務は決算会見で、コンテナ船事業で運賃が想定を下回っ たと述べた。今後は、下期に投入する「大型船の投入効果が確実に大き く効いてくることで損益改善をする方針」としながらも、年間で同事業 は55億円の赤字になるという。ブルームバーグの集計データによると、 同事業は経常損益ベースで、11年4-6月期以来赤字が続く。

商船三井の広報担当、関篤氏はムーディーズの格下げ方向での見直 しと社債市場の反応についてコメントを控えた。

ムーディーズのセメトコ真理子アナリストは商船三井の財務レバレ ッジ指標の悪化を想定している。4日の発表資料によると、同氏は商船 三井の14年3月末の有利子負債が、EBITDA(利払い・税金・減価 償却・償却控除前利益)の7.7倍だったが、15年3月末には「8倍程 度」に上がるという。

資金調達

商船三井は6月19日に296億円の10年債を発行した。ブルームバー グの集計データによると、表面利率は同年限の国債利回りに37bpを上 乗せした0.97%。国内普通社債による調達は12年7月以来だった。

ムーディーズによる日本郵船の格付けは商船三井より1段階高い 「Baa2」で見通しは「ネガティブ」、川崎汽船は2段階低い「Ba 2」で見通しは「安定的」。郵船と商船三井は過去1年以内に国内普通 社債市場で資金調達しているが、川崎汽船は同期間では転換社債のみ。

バークレイズ証券の姫野良太シニア・アナリストは「計画値から上 振れ、下振れなどはあるが、方向感としては経常利益をきちんと出せる 体質になっているという見方もある」と話した。

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