【日本株週間展望】反発へ、海外景気と政策期待-売られ過ぎ

8月第2週(11-15日)の日本株相 場は、反発が予想される。海外景気指標の改善や国内の堅調な企業業 績、政策期待などから、記録的株安後の見直し機運が高まりそうだ。

三菱UFJ投信の石金淳チーフストラテジストは、「ウクライナに イラクの地政学リスクが重なり、8月からの下げが大きくなったが、背 景には5月以降の上げ続けた反動がある」と指摘。米国中心に世界経済 は拡大基調で、大きな相場トレンドは崩れていないとみており、「株価 はテクニカル面から一時的に売られ過ぎ」と言う。

第1週の日経平均株価は前の週に比べ4.8%安の1万4778円37銭 と、4週ぶりに大幅反落。地政学リスクの高まりや円安一服から売り優 勢となり、米国のイラク空爆承認が伝わった8日は全面安で、節目の1 万5000円をおよそ2カ月ぶりに割り込んだ。

世界的に株式市場が調整色を強めている。米ダウ工業株30種平均が ことしの上げを帳消しにし、マイナスに転じたほか、欧州のユーロ・ス トックス50指数は7月末から3%超下げた。特にイタリアなど欧州の下 げがきつく、ウクライナ情勢の緊迫化が景気不安につながっている。

ロシアのプーチン大統領は、米国と欧州連合(EU)による制裁へ の報復でEUや米国、カナダなどからの食料輸入の禁止を発表。ポーラ ンドは、ロシアがウクライナ国境に展開する兵力を増強しており、侵攻 の可能性が高まっていると警告した。

三井住友アセットマネジメントの金本直樹シニアファンドマネジャ ーは、「欧州は経済指標が軒並み下振れているだけに、ロシアの厳しい 経済制裁による影響を真剣に考えざるを得ない。イタリアのリセッショ ン(景気後退)も欧州経済にネガティブ」と指摘する。

イラク空爆承認、テクニカル指標

さらに米国のオバマ大統領は7日、イラクのイスラム過激派に対す る空爆を承認し、イラク市民への食料と飲料の投下のために米軍機を派 遣したと発表した。投資家のリスク回避姿勢から、為替市場では円が買 われやすくなっている。7月末から8月初めにかけ1ドル=103円台ま であったドル・円相場は101円台へ押し戻され、米10年債利回りの低下 もあって一時の円安期待は後退した。

外部環境に不透明感は強いものの、第2週は13日に米国で7月の小 売売上高、中国で固定資産投資や鉱工業生産などが発表される。アライ アンス・バーンスタインの村上尚己マーケットストラテジストは、「米 国では雇用やセンチメントが上方向にあるため、悪い数字は出ないだろ う。中国経済も他統計からみて安定している」と予想。米中の景気指標 は「日本株のサポート材料になりやすい」と話した。

米国のイラク空爆についても、三菱UFJ投信の石金氏は「北部の イスラム過激派への限定的なもの。イラク原油の9割以上は南部に位置 し、米国が行動を起こしたことは一種の抑止力になる」とし、市場が最 も警戒する原油価格への影響は避けられる、と読む。

国内では、4-6月期の決算発表が一巡しつつある。SMBC日興 証券によると、7日までに決算を終えた東証1部・3月期決算企業の4 -6月経常利益は、前年同期比8.7%増となった。日本株は「バリュエ ーションが高くなく、足元業績も悪くない。下値は堅い」と三井住友ア セットの金本氏はみている。

第1週の日経平均の下落率は、4月第2週以来の大きさだった。投 資家の短期売買コストを示す25日移動平均線からの下方乖離(かいり) は3.7%と、売られ過ぎゾーンに接近。東証1部の上昇・下落銘柄数の 百分比を示す騰落レシオも6日に80.9%まで低下、日本株が5月後半に 反発へ向かう直前の水準である81.1%を下回った。テクニカル指標、チ ャート分析上からも目先の売られ過ぎ感が出ている。

国内GDP低調の両面性

日本の経済指標では、13日発表の4-6月期の国内総生産 (GDP)に注目だ。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想は、 前期比年率7.1%減と7四半期ぶりのマイナス成長で、消費税増税に伴 う駆け込みの反動から落ち込みが大きくなる見込み。GDPが予想以上 に悪化すれば、国内景気に対する不透明感が投資家の間で広がりかねな い。

野村証券の田村浩道チーフストラテジストは、GDPに対する「海 外投資家の不安感は想定以上に強い」としている。ただ、悪い数値が現 実となれば、日本銀行が何らかの対応をするとの見方も台頭すると予 想。金融政策にとどまらず、経済対策への期待が高まるとみる市場関係 者も多く、GDP動向は株価にプラス・マイナス両面で作用する可能性 がありそうだ。

14日に発表される6月の機械受注はエコノミスト予想で前月 比15.3%増と、過去最大の落ち込みとなった5月の19.5%減から改善の 見込み。シティグループ証券の飯塚尚己エコノミストは、反動で増加が 見込まれるが、受注額は1-2月を下回る水準にとどまろうと予想。同 時に公表される7-9月の見通しは、先行きの回復モメンタム(勢い) を見る上で重要だとしている。

このほか、国内では11日午後に7月の消費動向調査、欧州では14日 にユーロ圏の4-6月期GDPの公表がある。

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