日銀が輸出、生産の判断を下方修正-金融政策は据え置き

日本銀行は8日の金融政策決定会合 で、政策方針の現状維持を全員一致で決めた。景気については「基調的 には緩やかな回復を続けている」という情勢判断は据え置いた一方、輸 出と生産の判断を下方修正した。

日銀は景気について「消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動 がみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている」として、情 勢判断を据え置いた。一方、輸出については「弱めの動きとなってい る」として、前月までの「横ばい圏内」から下方修正。生産は「基調と しては緩やかな増加を続けている」との判断は維持したものの、「足元 では弱めの動きとなっている」として前月から判断を後退させた。

輸出と生産のいずれも下方修正したのは、白川方明前総裁の下で景 気後退局面にあった2012年11月以来となる。物価は日銀の想定通りに来 ているが、景気については誤算が出始めている。

同日午前の東京株式相場はウクライナをめぐる緊張、米国によるイ ラク空爆の可能性など、地政学リスクへの警戒が強まり、全面安となっ た。日経平均株価の午前終値は3%安の1万4776円88銭と節目の1 万5000円を大きく割り込み、5カ月ぶりの下落率を記録した。

日銀はマネタリーベースが年約60兆-70兆円に相当するペースで増 えるよう金融市場調節を行う方針を据え置いた。長期国債、指数連動型 上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J-REIT)などの資産 買い入れも従来の方針を継続する。エコノミスト34人に対するブルーム バーグ・ニュースの調査でも全員が現状維持を予想していた。

消費者物価の前年比については、消費税率引き上げの直接的な影響 を除いたベースでみて「しばらくの間1%台前半で推移する」との見通 しを据え置いた。

物価は想定通りも景気は誤算も

ブルームバーグ調査では、追加緩和の予想時期は「追加緩和なし」 が11人(32%)と、これまで最多回答だった10月緩和を上回った。10月 は9人(26%)と1カ月前の前回調査(35%)から減少。年内の追加緩 和予想は12人(35%)と前回調査(38%)から小幅減少した。

6月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除いたコアCPI)は前年 比で3.3%上昇。日銀は消費増税がフル転嫁されればコアCPI前年比 を2.0ポイント押し上げると試算しており、これを除くと6月は1.3%上 昇と5月(1.4%上昇)を下回った。

日銀が発表している実質輸出は4-6月が前期比1.1%減と、1- 3月(同1.0%減)に続き2期連続のマイナス。日銀はこれまで輸出の 先行きについて「海外経済の回復などを背景に、緩やかに増加してい く」としているが、こうした期待は裏切られ続けている。

物価も想定外なら追加緩和へ

6月の鉱工業生産(速報値)は前月比3.3%低下と2カ月ぶりにマ イナスとなり、市場予測も下回った。生産の落ち込みを受けて、13日に 発表される4-6月の実質国内総生産(GDP)成長率は見通しの下方 修正が相次ぎ、ブルームバーグ・ニュースの予想中央値で前期比年 率7.1%減と大幅なマイナスが見込まれている。

農林中金総合研究所の南武志主席研究員は「輸出の低調さ、実質所 得の目減りによる消費抑制などもあり、国内景気は秋以降足踏み感が強 まり、消費者物価は秋以降も前年比1%近傍での推移が続く」とみる。

物価が日銀の見通しを下振れ始め、南氏は「日銀内で『2年で 2%』の達成が困難との判断に傾けば、追加緩和か『2年で2%』の目 標変更をせざるを得ないだろう」と指摘。「早ければ10月末の展望リポ ート公表時にもあり得るだろう。資産買い入れ規模の拡大には限度があ ると思われるが、何か別のサプライズを用意する可能性もある」として いる。

木内氏は独自提案

木内登英審議委員は8日の決定会合で、2%の物価安定目標の実現 を「中長期的に目指す」とした上で、量的・質的金融緩和を「2年間程 度の集中対応措置と位置付ける」との提案を行ったが、8対1の反対多 数で否決された。

日銀は昨年4月4日の会合で、目標実現については2年程度を念頭 に置いて「できるだけ早期に」、緩和期間は目標を安定的に持続するた めに「必要な時点まで継続する」と表明している。

黒田総裁は午後3時半に定例記者会見を行う。議事要旨は9月9日 に公表される。決定会合や金融経済月報などの予定は日銀がウェブサイ トで公表している。

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