米国債:続伸、ウクライナ情勢で逃避需要-海外で景気停滞

米国債相場は続伸。10年債と30年債 の利回りは年初来の低水準に近づいた。ウクライナの危機やドイツ、オ ーストラリアの景気停滞を受け、逃避需要が強まった。

米週間新規失業保険申請件数の4週間移動平均が8年ぶりの低水準 となったため、10年債は伸び悩む場面もあった。欧州中央銀行 (ECB)のドラギ総裁は地政学リスクの高まりが景気回復を損ね得る ことを認識していると述べた。ドイツ2年債利回りは一時、2013年5月 以来で初のマイナスとなった。オーストラリアの失業率が12年ぶりの水 準に上昇したため、豪国債は大幅上昇。

BTIGのチーフ・グローバル・ストラテジスト、ダン・グリーン ハウス氏は「ロシアとウクライナの紛争が引き続き市場の重しになって いる。現行の利回り水準は経済の状況と合致していない」と述べた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間 午後5時現在、10年債利回りは6ベーシスポイント(bp、1bp =0.01%)低下の2.41%。一時は2.4060%と、5月29日以来の低水準を 付けた。年初来の最低は同日の2.4006%。同年債(表面利率2.5%、償 還2024年5月)価格は1/2高の100 3/4。

30年債利回りは5bp低下の3.22%。一時は3.2183%まで低下し た。年初来の最低は7月29日の3.2167%。

ロシアの食料禁輸

ロシアのメドベージェフ首相は7日、同国が欧州連合(EU)と米 国、カナダ、オーストラリア、ノルウェーからの食料輸入を禁止すると 発表した。

TDセキュリティーズの金利ストラテジスト、リチャード・ギルフ ーリー氏は対立により米国の利回りは低下する可能性が高いと指摘し、 「東欧からの飛び火が引き続き欧州中心国に悪影響を与え、短期的には 解決しそうにない」と述べた。さらに、欧州では「デフレリスクが高ま っている」と続けた。

欧州中央銀行(ECB)は7日、政策金利を据え置いた。ドラギ総 裁はウクライナ情勢や景気状況を指摘しながら、米国との金融政策のか い離が当面続くとの見解を示唆した。

ECBはフランクフルトで定例政策委員会を開き、短期金利の調節 手段である短期買いオペ(売り戻し条件付き債券買いオペ=レポ)の最 低応札金利を0.15%で据え置くことを決めた。ブルームバーグ・ニュー スがまとめたエコノミスト調査で57人全員が予想していた通りだった。

ECBは中銀預金金利もマイナス0.1%で維持、限界貸出金利 も0.4%に据え置いた。

米国の利上げ予想

米連邦公開市場委員会(FOMC)は来年、2006年以来で初めて利 上げに踏み切ると予想されている。

クレディ・スイス・グループは10年債利回りが3.75%に達する時期 の予想を来年後半に後退させた。クレディ・スイスのカール・ランツ氏 (ニューヨーク在勤)とヘレン・ハワース氏(ロンドン在勤)は顧客向 けリポートで、米国債に比べ世界の他の国債が相対的に低いため、米国 債利回りに低下圧力が掛かると指摘した。従来の予想は2015年半ばだっ た。

両氏はさらに「マクロ経済の動向は米国の利回りを押し上げる要因 になっているが、他の地域の低い金利の影響で米国債が相対的に魅力を 強めている」と続けた。

米労働省が発表した先週の新規失業保険申請件数(季節調整済み) は28万9000件と、前週の30万3000件(速報値30万2000件)から1万4000 件減少した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想中 央値は30万4000件だった。より変動の少ない4週移動平均は29万3500件 と2006年2月以来の最低となった。

CIBCワールド・マーケッツのマネジングディレクター兼米国債 トレーディング責任者、トーマス・トゥッチ氏(ニューヨーク在勤)は 「失業保険統計は良好だったが、強い経済成長は関係なくなっている。 地政学要因が席巻している」と述べた。

原題:Treasuries Rally Sends Yields Toward 2014 Lows on Safety Demand(抜粋)

--取材協力:Susanne Walker.

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