【コラム】反プーチンのエリート官僚、フェイスブックで炎上

プーチン大統領と西側社会との対立 深刻化を背景にロシアでは、政府批判が国家反逆に相当する罪となって しまった。戦々恐々とする萎縮社会に対し、経済発展省の官僚がたった 独りで立ち向かったことはなおさら特筆に値する。

クリミア併合による代償と西側からの制裁で、ロシア政府は財政の 穴埋め策を模索している。2014年の年金拠出金の一部は民間年金基金に 向けられることになっていたが、政府はこれを接収し、クリミア対応に 回した。政府はさらに、250億ドルに相当する2015年の拠出金も、即時 対応のための費用に振り向けるにした。

ロシア経済発展省のセルゲイ・ベリアコフ次官はロシアの年金シス テムに対する信頼を傷つけることになると、これに抗議。投資資金を遠 ざけ、経済成長を減速させかねないと警告した。この戦いで同次官は負 けた。プーチン大統領は自らの政治生命を延ばし、西側からの敵意から ロシアを守ることがもっと重要だと考えた。ベリアコフ次官はここで納 得せず、戦いの場をフェイスブックに移した。

「年金拠出金の民間ファンド投資をこれ以上先延ばしする決定を、 私は恥ずかしく思う」とベリアコフ氏は投稿。「この愚かな行為と約束 を破ったことを許してほしい」と続けた。

これに対して、政府報道官のナタリア・ティマコバ氏は反論を展 開。「セルゲイ、政府の仕事は国としての責務なのです。政治的な決断 は下されたのだから、今はそれに従うことです」と投稿した。(ティマ コバ氏のコメントは削除されているが、スクリーンショットには残され ている)。

ロシアは恥を忘れた

「われわれは恥というものを忘れてしまった。情けない」とベリア コフ氏は返した。

かつて経済改革で強い権力を振るったイゴール・シュバロフ第1副 首相の秘蔵っ子であるベリアコフ氏は、フェイスブックから投稿を削除 しなかった。むしろ、別の投稿で先のコメントを確認までした。第3次 プーチン政権の息苦しい空気の中で、この行為はまさに反乱と言えよ う。ベリアコフ氏はその代償を払わされた。国営通信のRIAノーボス チは、同氏が解任されたと報じた。

ベリアコフ氏が在籍した経済発展省の権力すべてを動員しても、経 済的な利益より国家主義や帝国主義的な地政学上の目標を追求するロシ アを止めることはできないだろう。ロシアはこの日、制裁への抵抗措置 として制裁国からの食料輸入を禁止もしくは制限を設けた。ベリアコフ 氏のような専門家の苦言は力で踏みつぶしてしまおうという、プーチン 大統領の意図は明確だ。それでもこういう人がロシアにいて、発言する 勇気を持っていることには心を打たれる。彼らが将来、もっと道理の通 るロシアを育て、国際社会への復帰を助けてくれることだろう。

(リオニド・バーシドスキー氏はベルリン在住の作家で、ブルーム バーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の 見解です)

原題:A Russian Bureaucrat Rebels on Facebook (1)(抜粋)

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