【寄稿】高頻度トレーダーからの批判に反論する-カツヤマ氏

思いも寄らない興味深い出来事を私 はここ数カ月間に経験した。4月初めに自分がマイケル・ルイス氏の新 著「フラッシュ・ボーイズ(原題)」の主役であることを知った。米株 式市場に横行する常軌を逸した行為を暴露し、それを阻止することを仲 間と共に目指してきた私の取り組みがこの新著で描かれている。

われわれの多くはウォール街の大手金融機関や証券取引所で勤務し た経験があり、市場の何かが間違っていると確信していた。しかし、投 資家や企業、経済に本来貢献するはずの市場が、金融仲介者の利益にな るよう組織的に操作されている実態を把握するには、ほぼ丸5年を費や す必要があった。

われわれは40ギガビットのクロスコネクトやマイクロ波タワーとい った革新的な技術を検証し、資本形成という目的よりも特定の市場参加 者に他の投資家よりも有利な条件を与えることに市場の重点が置かれて いることを理解した。われわれは自分たちの株式市場をつくることが、 これらの問題を解決する最も良い方法だと感じ、それを実行に移した。

ルイス氏の著作が出版された後、IEXグループが運営するわれわ れの米国株取引プラットホームが議論の的となったが、肯定的な意見と 否定的な意見、正しい主張と誤った主張が入り乱れる状況だった。それ は仕方がない。スポットライトを浴びる人物が他人と違うことをしてい れば、脚光を浴びるのと同時に非難にさらされるのは当然だ。

こうした理由からわれわれはIEXグループに関する誤った情報に 対して、公の場で極力反論しないように努めてきた。「マイケル・ルイ スが非公開のままIEXの株式を保有している」とか、「複数のブロー カーもIEXの株式を保有している」といった文書が銀行の内部で回覧 されていたが、いずれも事実ではない。

真実は最後に勝つ

米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は「ブローカーデ ィーラーがトレーディングの最前列に飛び出す」ことをわれわれが許 し、小口投資家やミューチュアルファンドを不利な立場に置いていると 報じたが、実際には伝統的な投資家からの注文を含めて全ての注文はブ ローカー経由でIEXに届いている。

われわれは真実が最後に勝つことを期待していたが、誤った情報キ ャンペーンがここ数週間で一気にエスカレートしたため、一つの特に重 要な問題について事実関係をはっきりさせなければならないと考えた。

米商品先物取引委員会(CFTC)の元委員、バート・チルトン氏 は7月7日付の米紙ニューヨーク・タイムズのディールブックで、ハイ フリークエンシー(高頻度)取引が株式市場で極めて中心的な存在にな っている以上、一定の必要な目的に貢献しているに違いないという趣旨 の主張を展開した。

「米株式市場では高頻度トレーダーによって全取引の50%が行われ ていると考えられる。マイケル・ルイス氏の著作で『制度的な公正さ』 を実現したと宣伝されたIEXでも高頻度トレーダーの取引が売買高の 約50%を占めている」とチルトン氏は指摘した。

公正な市場

これは誤りだ。他の株式市場では、売買高の50%以上が高頻度取引 業者によるものと推定されるものの、IEXの売買高に占める割合は現 在、20%を下回っている。(いかなる市場でも高頻度取引の最適比率を 予測するのは難しいが、売買高の半分という割合が最適比率でないのは 明らかだ。)

IEXと他の取引所とのこの大きな相違には理由がある。われわれ は(高速データなどを駆使する)高頻度トレーダーが誠実な投資家に対 して持つ不当な優位を取り除こうと努力してきた。(他の市場で有利な アクセスを購入した)一部のトレーダーが一般投資家を食い物にするチ ャンスやシステマティックな不公平さを排除する技術を用いることで、 略奪的な高頻度取引をかなりの部分阻止してきた。

巨額の金が絡むバトル

チルトン氏の主張は、われわれが他の市場と変わりないという印象 を与える効果がある。もっと一般的には、IEXに関するこれらの誤っ たうわさは、われわれのチームが築き上げようとしている「利益相反の ない公正な市場」の基盤そのものに対する攻撃だといえる。チルトン氏 がその統計を利用した動機は分からないが、出所はどう見ても疑わし い。彼らを「業界の方々」と呼んでいるのだから。

数十億ドルもの金が絡んでいる以上、より公正な株式市場の存在を 信じさせないようにIEXに関する面白おかしい作り話を繰り出す人々 が存在しても驚きではない。これは言葉と数字を駆使した闘いだ。だか らこそ、事実と受け止める前にその出所と動機を是非確認してほしい。

(ブラッド・カツヤマ氏は、IEXグループの最高経営責任者で す。この寄稿文の内容は同氏自身の見解です)

原題:‘Flash Boys’ and the Speed of Lies About My Firm: Brad Katsuyama(抜粋)

記事の執筆者への問い合わせ先: Brad Katsuyama at info@iextrading.com.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE