【今週の債券】長期金利0.5%割れ試す、世界的なリスクオフで債券買い

今週の債券市場で長期金利は昨年4 月以来の0.5%割れを試すと予想されている。リスクオフ(回避)の動 きの強まりによる世界的な株安・債券高で、金利低下圧力が掛かりやす いとの見方が背景にある。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが1日に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは 全体で0.49-0.56%となった。前週末終値は0.53%。0.5%割れとなれ ば2013年4月8日以来となる。

前週の長期金利は0.52-535%と狭い値幅で推移した。相場に高値 警戒感が出ているものの、日本銀行の国債買い入れオペが3回実施され るなど、需給環境の良さが金利上昇を抑制した。前週末に発表された7 月の米雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想を下回り、米長期金 利が2.49%に低下。週明けの円債市場で買い材料となる見込みだ。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、今週の債券市 場について、「金利上昇を待って買えずにいる投資家が多く、内外株安 などの材料次第では一段と需給が逼迫(ひっぱく)する」と言う。

日銀は7、8日の2日間の日程で金融政策決定会合を開催する。今 回の会合でも金融政策の現状維持が決まる見込み。日銀の黒田東彦総裁 は1日の講演で、2%の物価安定目標の達成に向けて「順調に道筋をた どっている」と金融緩和の効果を指摘した。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「日銀は今回の会合で も景況認識を弱めに判断するであろうから、それに乗って行けば良いと の打算も働く」と指摘。しかし、「よりフォワード・ルッキングな考え 方をするならば、現状程度の景況の弱さでは、日銀が追加緩和に傾くと は思えない。経験則からグローバルな景気の転換点では、日本の統計は 遅行指標になりやすいことが気にかかる」と言う。

10年債入札

5日に10年利付国債の価格競争入札が実施される。前回の334回債 と銘柄統合するリオープ発行で、表面利率(クーポン)は0.6%に据え 置かれる見通し。発行額は前回債と同額の2兆4000億円程度。

7日には流動性供給入札が実施される。投資家需要の強い既発国債 を追加発行する入札で、対象は残存期間15.5年超から39年未満の銘柄。 発行予定額は3000億円程度となる。

市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先物は中心限月の9 月物、10年国債利回りは新発物の334回債。

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物9月物145円70銭-146円20銭

10年国債利回り=0.50%-0.55%

「米国では株価が下落する一方で、景気やインフレには過熱感がう かがえず、米長期金利は比較的に安定さを維持している。中東情勢に関 する地政学的リスクがくすぶり、アルゼンチンやポルトガルの銀行問題 など不確定要因が多く出ており、外部環境面からは債券市場に資金が流 入しやすい状況となっている。消費増税後の国内景気の落ち込みは想定 内というよりは下振れ気味だろう」

◎大和住銀投信投資顧問の奥原健夫シニアファンドマネジャー

先物9月物145円75銭-146円25銭

10年国債利回り=0.49%-0.54%

「アルゼンチン債務問題などを材料に下げた米国株の動向に注目し ている。低格付け債・社債など安易な信用リスクに対する警戒感が強ま れば、国債に資金が向かうだろう。日銀金融政策決定会合は政策変更は ないとみている。10年債入札は334回債のリオープン発行が見込まれ る。品薄感が強いため、波乱はないと思う。買い手は十分いるとみてお り、証券会社などからの買い戻し需要が入るだろう」」

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長

先物9月物145円70銭-146円30銭

10年国債利回り=0.49%-0.56%

「日銀金融政策決定会合は基本的に政策変更はないと見込んでい る。ただ、鉱工業生産指数など国内の経済指標が弱いので、株価が崩れ ると、追加緩和策に対する思惑が出やすい状況だ。欧米で株価が下が り、本格的に調整すれば、長期金利が節目の0.5%割れを試す展開にな るのではないか。10年債入札は0.6%クーポンでリオープン発行ではな いか。大きな波乱はなく、問題なく消化されるだろう」

--取材協力:赤間信行、池田祐美 Editors: 崎浜秀磨, 山中英典

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