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【クレジット市場】年内開店休業か、スティープナー推奨も-国債市場

日本銀行による大量購入で国債市場 は開店休業のまま今年を終わるかもしれない-。プライマリーディーラ ー(PD)の間では、過去最低水準となっている日本国債のボラティリ ティ(相場変動率)は年内続くとの見方が主流となっている。

証券会社やメガバンクで構成するプライマリーディーラーのうち17 社を対象にブルームバーグが実施した調査によると、回答した14社のう ち9社は、国債相場の低いボラティリティが少なくとも年末まで続くと 予想している。

ヒストリカル・ボラティリティ(60日)は6月30日に0.647%と、 データでさかのぼれる1994年末以降で最低を記録した。一方、米国 は2.679%程度。日本の長期金利は4-6月期に0.555-0.65%で推移し た。この間の値幅は9.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%) と、データでさかのぼれる1990年以降で最小となった。

ことし4月14日には日本相互証券を仲介する業者間取引で新発10年 物の国債取引が成立しない異例の事態が起きた。1日を通して取引不成 立となったのは2000年12月26日以来。今月8日には大阪取引所に上場の 超長期国債先物で日中売買高ゼロを記録。これは4月7日に同取引が11 年半ぶりに再開して以来で初めてだ。

JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストは、「日銀 の国債買い入れオペがあまりにも強力なので、多少のマクロ要因ぐらい ではなかなか動かないだろう」と話した。国債市場では来年夏まで低調 な取引が続くと見込んでいる。

財務省によると、2014年度当初計画ベースの国債発行残高は881.7 兆円に上る見込み。異次元の金融緩和を進める黒田東彦総裁率いる日銀 は、国債市場で最大の買い手となっている。

緩やかな金利上昇

米連邦準備制度理事会(FRB)が06年以来となる利上げに向かえ ば、世界最低水準の日本の長期金利にも上昇圧力が掛かる可能性が出て くる。

今回のプライマリーディーラー調査によると、長期金利の予想(中 央値)で年末が0.65%、来年3月末が0.70%、新発30年債利回りは年末 が1.75%、来年3月末は1.85%となる見通し。ボラティリティについて は4社が今秋までに上昇すると予想している。

バークレイズ証券の福永顕人チーフ債券ストラテジストは、「年末 にかけて、FRBやイングランド銀行(BOE)が利上げを開始すると の観測が強まり、世界的な市場の変動率が高まるに伴い、日本国債も影 響を受けると思う」と語った。

30年や40年債に需給懸念

日銀が6月に国債買い入れオペの運用方針を変更し、超長期ゾーン の買い入れ額の下限を引き下げるとともに、「10年超と25年以下」と 「25年超」に細分化した。この結果、買い入れ額の減少で30年債と40年 債には需給悪化懸念が広がり、売り圧力が掛かっている。

有望な債券投資戦略として、3社が利回り曲線の傾斜化を見込んだ ポジションを取るスティープナー取引を挙げている。

JPモルガン証の山脇氏とメリルリンチ日本証券の大﨑秀一債券ス トラテジストは10-30年債のスティープナー、バークレイズ証の福永氏 は10-40年債スティープナーを推奨する。岡三証券の鈴木誠債券シニア ストラテジストは、割安に放置されている30年債など超長期債への投資 によるインカムゲイン(利子収入)の確保を勧めている。

市場ではFRBが来年6月末までに利上げを行う予想確率が約50% となり、月初の約42%から上昇している。6月の米雇用統計で、非農業 部門雇用者数が前月比28万8000人増加と、市場予想の21万5000人増加を 大幅に上回ったことが背景だ。米10年債利回りは5月に2.40%と約11カ 月ぶりの低水準を付けた後、10日終値は2.54%程度。過去10年間の平均 は3.4%程度だった。

クレディ・アグリコル証券の尾形和彦チーフエコノミストは、「10 月に米量的緩和縮小を終えて、来年半ば以降に利上げということだが、 利上げが多少前倒しされる可能性もなきにしもあらず。米金利に本格的 な動意が見られてくる可能性があり、そうなると日本国債市場の低ボラ ティリティの環境が打ち破られる」と語った。

                               10年債   30年債  
【金利見通し、%】         年末/3月末 年末/3月末 変動率復活
メリルリンチ日本証・大﨑秀一氏 0.60/0.65  1.75/1.80  来年後半
バークレイズ証・福永顕人氏     0.85/1.05  1.95/2.15  年末以降
BNPパリバ証・藤木智久氏     0.80/1.00  1.90/2.15  NA
クレディA証・尾形和彦氏       0.75/0.80  1.85/1.90  10月以降
ドイツ証・山下周氏             1.20/1.20  2.00/2.00  8月後半-9月
JPモルガン証・山脇貴史氏     0.55/0.65  1.80/1.90  来年夏以降
三菱モルガン・石井純氏       0.60/0.75  1.75/1.85  最短10-12月
みずほ銀・江崎智太郎氏         0.60/0.65  1.75/1.80  来年3-4月
みずほ証・早乙女輝美氏         0.65/0.75  1.80/1.85  来年4-6月
モルガンMUFG・河野研郎氏   1.10/1.30  2.00/2.15  夏以降
岡三証・鈴木誠氏               0.60/0.70  1.70/1.80  今年末以降
RBS証・西岡純子氏        0.80/0.90  1.80/1.85  来年末以降
クレディスイス証・宮坂知宏氏   0.65/0.70  1.75/1.80  来年3月末
SMBC日興証・森田長太郎氏   0.50/0.50  1.60/1.60  NA
三井住友銀・宇野大介氏       0.60/0.60  1.70/1.70  NA
東海東京証・佐野一彦氏         0.40/0.50  1.55/1.65  秋
UBS証・井川雄亮氏        0.70/0.70  1.75/1.75  来年
中央値                0.65/0.70  1.75/1.85
(調査期間は6月25日-7月7日)

--取材協力:Mariko Ishikawa、三浦和美、野沢茂樹、小宮弘 子、Masaki Kondo.

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