原油100万バレルを積んだタンカー が売却先を求めて地中海を漂っている。積載原油の価格は通常の半額 だ。いずれかの国がこの割安原油を購入すれば、イラク分断が近づく可 能性がある。

タンカーに積載された原油の所有権をめぐって、原油を採油・輸送 したクルド自治政府と、全ての原油の所有権を主張するイラク政府が対 立している。

イスラム過激派が先週、イラク政府軍を追い出し空白地帯となった イラク北部をクルド人自治区の軍事組織ペシュメルガが占拠。原油生産 拠点であるキルクークを制圧している。原油の所有権をめぐる対立を背 景に、クルド自治政府が財政面の自立を達成し、領土的野心を強める可 能性が高まっている。

トルコ経済政策調査財団のアナリスト、ニハット・アリ・オズカン 氏は13日の電話インタビューで「このタンカーが入港すれば、クルド自 治政府は独立に向け重要な一歩を踏み出し、イラク分裂が早まるだろ う」と指摘する。

原油売却の可能性をめぐってはクルド産原油の輸送路となるトルコ とイラク政府の間で法的な調停が進められており、米国はクルド人自治 区に対し独立しないよう働き掛けている。

中近東担当のブレット・マクガーク米国務副次官補は、イラク政府 が承認していない原油輸出に反対する姿勢を繰り返し示している。5 月23日にはツイッターへの投稿で、米国は「全ての当事者に対し、この ような取引は法的リスクにつながる可能性があることを周知」してお り、双方に対して妥協案を提示したことを明らかにした。

タンカーは5月22日、トルコのジェイハン港から欧州に向けて出港 した。イラク政府が航行を阻止する動きに出たため、タンカーは大西洋 を約200マイル(約320キロメートル)にわたって漂った後、5月30日に 米州へと行き先を変えたようだ。今月3日にはモロッコのモハメディア 港沖約5マイルの場所で停泊していた。顧客を探す期間が長引いている ため、クルド自治政府は原油価格を11日時点で1バレル当たり56ドルに まで引き下げた。

原題:Half-Price Kurdish Oil Threatens Iraq Breakup With Turkish Help(抜粋)

--取材協力:Terry Atlas.

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