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アマダの決断に海外勢注目、株主還元強化-JPX400入り狙う

企業の解散価値を下回る株価が6年 以上続く金属加工機械メーカーのアマダ。積極的な自社株買いや配当を 打ち出した新たな資本政策の背景には、同業に劣る株価パフォーマン ス、資本効率の良い銘柄で構成されるJPX日経インデックス400の登 場などがあった。同社に対する投資家の注目度も急速に増している。

アマダの磯部任取締役専務執行役員は6日、ブルームバーグ・ニュ ースとの電話インタビューで、資本政策の変更発表後は「電話会議の提 案など、外国人投資家の問い合わせが多くなっている。昨年の発表後と 比べると、倍ぐらいになった」と述べた。

東証1部上場の機械セクター124社で構成するTOPIX機械指数 は、3月末までの過去10年間で71%上昇。これに対し、アマダ株 は8.4%の上昇にとどまった。株主資本利益率(ROE)は機械指数 の9.4%に対し、アマダは3.1%。ROEの低さが響き、同社の株価純資 産倍率(PBR)は指数の1.4倍を下回る0.7倍に放置された。

資本政策の変更に至った理由について磯部氏は、企業の合併・買収 (M&A)により「業績については中期経営計画の達成にめどがついて きたため、資本政策に目を向ける土壌ができた」と説明。さらに、株価 の長期停滞で「損益計算書を良くする成長戦略を示していくだけでは、 結果としてだめなことが分かった」と言う。

一方、過去3年平均のROEなどで銘柄を選定、ことしから算出が 始まったJPX日経400は、世界最大の年金である年金積立金管理運用 独立行政法人(GPIF)が運用のベンチマークとして採用し、存在感 を強めている。日経平均株価を構成する225銘柄の1社であるアマダ は、400銘柄で構成されるJPX日経400には現在採用されていない。

社長もショック、621位を300位へ

磯部氏は、JPX日経400は日経平均などと違い定量評価が中心の ため、一般的には良い企業のランキングとして受け取られやすいと分 析。同社がその選定から漏れ、「社長はちょっとショックだったような 感じがある」と言う。GPIFが同指数で運用することを打ち出した点 も、アマダが同指数の存在を重視する要因の1つだとした。

同氏によると、JPX日経400の選定対象銘柄で、2014年3月期の アマダの推定順位は621位。ROEが7%に高まる予定の16年3月期ま での「今中期計画を達成すれば、300位くらいにはなれるのではない か」と話し、2年後には同指数への採用を目指す考えだ。

同社は5月15日、発行済み株式総数の3.5%を上限にした自社株買 いや同2.5%の自社株消却、14年3月期の年間配当を1株20円(前の 期12円)、15年3月期は26円とする計画を発表。16年3月期までの資本 政策として、純利益の50%程度を配当、残る50%程度を自社株買いに充 てる総還元性向100%の方針を示した。

来期中のホールディングカンパニー検討

「成長戦略、資本の効率、ガバナンス(企業統治)の3つのバラン スを企業活動で示していかないと、ステークホルダーに対しやっていけ ない」と磯部氏。ガバナンスでは、社外取締役を来年に向け2人体制と するほか、「経営と執行の分離で責任を明確化するため、来期中にホー ルディングカンパニー化に移行することを検討している」と言う。

今回発表の資本政策で示していない17年3月期以降については、 「100%還元を継続するかどうかは、来年に出すかもしれない新たな中 期戦略で投資がどれだけ必要なのかを考えながら判断する」と発言。基 本方針としては、「業績変動のバランスを自社株消却に充てる部分でコ ントロールしていきたい」との考えを示した。

3月末の自己資本比率はアマダの75%に対し、TOPIX機械指数 は44%。大和証券の宮城大和アナリストは、「資本政策の抜本的強化に 踏み切った点はポジティブサプライズ」と5月の投資家向けリポートで 評価。過去10年間の平均PBRは0.75倍で、「長年低評価にとどまって いた最大の理由は、資本効率の低さ」と指摘している。

資本政策の変更を5月15日の取引時間中に発表したアマダ株は、同 日に7.6%高、アナリストによる強気の投資判断が相次いだ翌16日に は16%高と急伸した。発表前日の5月14日から6月10日までのアマダ株 は30%上昇、同期間の機械指数の6.7%上昇を大幅に上回っている。

野村証券の田村浩道ストラテジストらは9日付のリポートで、 GPIFのパッシブ運用に採用されたことを契機に、JPX日経400の 「存在感が増している」と指摘。特に注目すべきはアマダのケースで、 ROEを高めるため、これまで見られなかった大胆な株主還元策を実行 することも十分考えられると同証では主張してきたが、「まさに具現化 してきている」と言う。

JPX日経400は東証1、2部、マザーズ、ジャスダックの各市場 に上場する銘柄で構成。各市場の中から市場流動性などによるスクリー ニングでまず1000銘柄に絞り、3年平均のROEと3年累積営業利益に 各40%、選定基準日時点の時価総額に20%のウエートを加味し、定量的 な総合スコアを算出する。さらに。「独立した社外取締役の選任(2人 以上)」など定性的な要素を加え、スコアの高い順に選ぶ。

11日のアマダ株は前日比0.7%高で始まり、一時2.8%高の1031円 と2007年12月以来の高値を更新した。

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