スマートフォン向け無料通信アプリ を運営するLINE(ライン)が、早ければ11月に日本と米国で新規株 式公開(IPO)する方向で、野村ホールディングスや米モルガン・ス タンレーなどと協議を進めていることが3日までに明らかになった。

複数の関係者によれば、東京証券取引所と、ニューヨーク証券取引 所(NYSE)またはナスダックに同時上場する可能性があり、時価総 額は1兆円を超える見通し。上場が実現すれば、国内ではことし最大規 模となる。

LINEは全世界でメッセージや通話、ゲーム、漫画などのアプリ を提供。4月時点で4億超のユーザーを抱え、年内には5億-6億人ま で拡大を見込んでいる。米フェイスブックはことし、メッセージアプリ の米ワッツアップを最大190億ドルで買収することで合意するなど、通 信アプリ業界で成長を求める動きが活発化している。

ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは、「変化を続 け新しい価値を生み続けるのがラインやフェイスブックが存在する業界 だ。同社に2兆円の価値が付いたとしても驚かないだろう」と述べた。 日米での上場後も「さらなる価値を生み続けていく必要があり、M&A (合併・買収)などLINEの今後の経営戦略に注目が集まりそうだ」 とみている。

関係者によれば、LINEは実際の売り出し規模や上場スケジュー ル、またグローバルコーディネーターなど引き受け主幹事の役割の詳細 などについてまだ正式な決定はしていない。

野村とモルガンSの競合

LINEと協議を進める野村とモルガンSは国内の投資銀行業務で 競争を激化させている。ブルームバーグ・データによれば、野村は日本 企業関連の株式引き受けで2014年は現在首位で、モルガンSと三菱 UFJフィナンシャル・グループの合弁である三菱UFJモルガン・ス タンレー証券は2位。一方、企業のM&AではモルガンSがトップで、 野村は5位と出遅れている。

LINEの山田葉月広報担当は、「上場については経営のオプショ ンの一つとして可能性はあるが、具体的に決まったことはない」と述べ るにとどめ、東京とニューヨークへの上場やIPOに向けた準備の進捗 状況などについて言及しなかった。

野村の広報山下兼史氏とモルガン・スタンレーの渡辺美嘉広報担当 もコメントを控えた。

コミュニケーションインフラ

LINEは2000年9月設立。社員数は4月1日現在666人。同社が 5月8日に発表した14年第1四半期(1-3月)の基幹事業の売上額 は146億円と前四半期比で約20%、前年同期比で3倍強に拡大した。

LINEがスマートフォン向け無料メッセージのアプリ提供を開始 したのは2011年6月。東日本大震災直後から被災地では電話回線が機能 不全に陥いる一方、インターネット通信は復旧が早かった。LINEの 親会社、韓国のネイバーはこうした状況ではネット経由のやりとりが重 要と考え、提供開始を前倒しした。

森川亮社長は業績発表の際、「今年に入って以降、グローバルでメ ッセンジャーサービスの大型買収や投資が相次ぐなど、市場環境が大き く変化し、競争が一層激化している中で、引き続きユーザー数が堅調に 拡大している」とコメント。「世界No1のコミュニケーションインフ ラとなるため、新規開拓にも積極的にチャレンジ」すると述べた。

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