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【日本株週間展望】上値重い、米景気動向やECB政策見極め

6月第1週(2-6日)の日本株相 場は、上値の重い展開となりそうだ。米国の経済指標や欧州中央銀行 (ECB)の理事会など重要イベントを控え、景気や金融政策の内容を 再確認したいとし、様子見姿勢が強まる。日本株の出遅れ修正の動きが 鮮明になった過去2週間の反動も出る公算が大きい。

みずほ信託銀行の中野貴比呂シニアストラテジストは、「米景気は 回復しているが、力強さが物足りない」と指摘。国内要因も「6月の成 長戦略発表までは材料待ちで、一段高は期待しづらい」とし、「大崩れ しないが、上値の重さを実感する週になろう」と言う。

5月5週の日経平均株価は、前の週に比べ1.2%高の1万4632円38 銭と続伸。米景気指標の堅調や海外に比べた出遅れ感から、輸送用機器 や精密機器など輸出関連株のほか、情報・通信やサービス、建設など内 需関連株まで幅広く上げた。

6月1週の米国では、2日に5月の供給管理協会(ISM)の製造 業景況指数、4日にISM非製造業景況指数、6日に雇用統計の発表が ある。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想では、ISM製造業 が54.9から55.5、非製造業が55.2から55.5への改善が見込まれている。 雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが21万8000人(前回は28 万8000人)との予想だ。

みずほ信託銀の中野氏は、今回のISM統計は株式市場にとって改 善すればプラス、悪化すればマイナスの素直な反応を予想。「良ければ 米経済にポジティブな見方が広がるが、そうでなければ、もみ合う相場 が続きそう」とみている。

低水準の米金利、欧州追加緩和観測

最大の注目点である米雇用統計について、いちよしアセットマネジ メントの秋野充成執行役員は「ファンダメンタルズは良く、結果は良い だろうが、長期金利が上がらず、日本株にはほとんど関係ない」との見 立てだ。一方で、結果が悪ければ株価にはマイナスになるとし、「どち らにせよ日本株に良いことはない」と話す。

29日の米国市場では、S&P500種株価指数が過去最高値を更新し た半面、10年債利回りは一時2.40%と昨年6月以来の低水準を付けた。 主要中央銀行がインフレを加速させることなく、景気刺激措置を継続で きる状況が整う中、世界的な国債買いの流れが波及した。30日の日本株 は、東証1部銘柄が高安まちまちだった。

6月5日には、欧州でECB理事会が開かれる。ドラギ総裁は今月 8日に政策金利を据え置いた後、「次回行動することにやぶさかでな い」と述べ、追加の景気刺激策を打ち出すことをほぼ約束。26日の ECBフォーラムでも、「現時点で特に警戒しなければならないのは、 低インフレとインフレ期待の低下、与信縮小との負の連鎖に陥るリスク だ」と発言した。

「ECBは当面緩和の方向に進むだろうが、その過程でユーロは安 くなり、米国の長期金利はもっと低下するかもしれない。その中で円は 売られにくく、日本株にとってポジティブとは言えない」と、いちよし アセットの秋野氏は指摘している。

三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、 ECBの政策が市場の期待に届かない可能性がある、とした。ドイツ連 邦銀行(中央銀行)は、利下げは良いが、資産買い入れには賛同できな いとのスタンスで、「利下げにとどまると期待外れでユーロ高、株式で は欧州株が売られ、それがグローバルに影響する」展開を予測する。

米景気が好転し、ECBの追加金融緩和が世界のマーケットに流動 性を供給するとプラスに受け止められなければ、日本株は2週連続で上 昇した後だけに、目先の損益確定売りが主要株価指数の上値を抑制しそ うだ。日経平均は29日、ことし最長の6日続伸となった。

チャートは転機示唆

もっとも、海外株式に対する出遅れ感から日本株の下値は堅い見通 し。米S&P500種株価指数は昨年末比で3.9%高、ストックス欧州600 指数は5%高となっているのに対し、日経平均は10%安、TOPIX は7.8%安で、内外のパフォーマンス格差は依然大きいままだ。

大和住銀投信投資顧問の門司総一郎チーフストラテジストは、戻り 歩調の日本株について「日本銀行の追加金融緩和がないことが悪材料に ならなくなってきた」と、背景に市場参加者の認識変化があると分析。 追加緩和に踏み切らないのは、「日銀の怠慢ではなく、景気がしっかり してデフレ脱却が進んでいるため。それは株価にとって悪いことではな い」と言う。

チャート上も変化が出ている。日経平均は4月後半の戻り高値を更 新し、ことしに入ってからの上値切り下げパターンが変化する兆しが出 ている。大和住銀の門司氏は、消費増税後の景気の落ち込みが軽微なこ とや企業の自社株買い・増配の積極化などを背景に、日経平均は7月前 後にも昨年末水準まで達する可能性がある、と予想した。

このほか、米国で4日に米地区連銀経済報告(ベージュブック)、 欧州で4日に1-3月期の国内総生産(GDP)改定値が公表され、4 -5日には主要7カ国(G7)首脳会議がある。国内では2日に1-3 月期の法人企業統計、6日に4月の景気動向指数が発表予定だ。

--取材協力:竹生悠子.

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