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【米経済ウオッチ】GDPの真実-企業利益陥没は景気後退

今年第1四半期の実質国内総生産 (GDP)減少を市場参加者や金融当局者は寒冷気候のせいにしている が、トレンドを読むと危険な兆候が浮かび上がる。特に今回の改定値と 共に初めて公表される企業利益の落ち込みは見逃せない。

第1四半期の税引き後企業利益は季節調整済みで1兆5030億ドル と、前期に比べ13.7%減少した。減益率はリーマン・ショック直後 の2008年第4四半期(25.1%)以来の高水準となったが、危険信号はそ れだけではない。

第2次世界大戦や朝鮮戦争の混乱期を除けば、08年第4四半期 の25.1%下落が過去60年で最大であり、今年第1四半期の落ち込みは2 番目にきつい。半世紀余りを振り返ると、減益率が10%を超えても景気 後退に陥らなかったのは1998年第1四半期(11.4%減)しかない。しか も98年といえば、8月にはロシア金融危機が勃発。米国はIT株式バブ ルが崩壊へと向かっていくというタイミングだった。

今回も寒冷気候でGDPが収縮したなどと楽観していると足をすく われることになりかねない。特に第1四半期のGDPは在庫投資の減速 が1.6ポイントのマイナス寄与と全項目の中で最大のマイナスであり、 天候要因だけでは片付けられない重みがある。

在庫投資に続いて純輸出の寄与度がマイナス0.95ポイント。輸出が 減少する一方で輸入が増加する形でマイナス寄与度が拡大しており、こ れも天候要因だけでは説明し切れない。

企業設備投資では構築物が0.21ポイントと最大のマイナス寄与。こ れは天候要因も否定できないが、機器投資も0.18ポイントのマイナス寄 与となった。一方、知的財産は0.19ポイントのプラス寄与であり、天候 の影響は見られない。

住宅投資は2四半期連続マイナス

住宅投資は0.16ポイントのマイナス寄与。天候要因も響いている が、これで2期連続マイナスであり、基調的な悪化傾向は否定できな い。昨年第4四半期は0.26ポイントのマイナスと、第1四半期より落ち 込みは大きかった。

一方、第1四半期のGDPを主導した個人消費の寄与度は2.1ポイ ントに達したが、サービスが1.9ポイント寄与とほとんどすべてを占め ており、極めていびつな形になっている。これは医療保険制度改革法 (オバマケア)施行に伴うヘルスケア項目の突出が影響しており、この 伸びは継続しない。

自動車を中心に景気をけん引してきた耐久財消費の寄与度は、第1 四半期に0.1ポイントに減速してきた。同項目の寄与度は今回の景気拡 大局面では2011年第4四半期をピークに減速してきており、特に昨年第 4四半期からペースを大きく落としている。

「ビールゴーグル」

前回の景気後退に陥った07年12月を含む同年第4四半期の耐久財消 費のGDP寄与度は、0.1ポイントと今年第1四半期と同水準だった。 非耐久財は今年第1四半期のGDP寄与度が0.06%と失速寸前だ。財消 費の低迷ぶりをみれば、サービス消費が特殊要因で押し上げられたこと は明白で、今後減少に向かうことは避けられまい。

こうしたGDP統計の陰の部分が無視されるのは、バブル景気を背 景に楽観バイアスが支配しているためだろう。ダラス連銀のフィッシャ ー総裁は、ほろ酔い気分だとすべてがばら色に見える「ビールゴーグ ル」を市場は掛けていると語ったが、統計ウオッチもその例外ではない ようだ。

(【米経済ウオッチ】は記者個人の見解です)

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