米アップルはヘッドフォンメーカー でストリーミング音楽サービス会社のビーツ・エレクトロニクスを30億 ドル(約3060億円)で買収することで合意した。アップルにとっては最 大の企業買収となる。

両社が28日発表した資料によると、ビーツの創業者であるドクタ ー・ドレ、ジミー・アイボン両氏はアップル入りする。アップルはま ず26億ドルを支払い、さらに4億ドルを長期的に投資する。買収手続き は7-9月(第4四半期)に完了する見通し。

今回の買収でアップルのティム・クック最高経営責任者(CEO) が1506億ドルに積み上がっている手元現金を積極的に活用する姿勢が鮮 明になった。規模の比較的小さい企業を買収して技術や人材を自社に取 り込んだ故スティーブ・ジョブズ共同創業者の戦略と決別することにな る。デジタルメディアのダウンロード収入が減少する中で、アップルは ビーツ買収を通じ、インターネットベースのストリーミング分野で足場 を固める。

クックCEOは発表文で「音楽はわれわれの生活でとても重要な部 分であり、アップルが関心を持つ中で特別な位置を占める。だからこそ 当社は音楽への投資を継続してきたし、世界で最も革新的な音楽製品・ サービスを創造し続けられるようこうした並外れたチームを迎え入れ る」と説明した。

スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」やタブレット 「iPad(アイパッド)」の売り上げが伸び悩む中での今回の買収 は、販売てこ入れを迫られるクックCEOが企業買収を通じた成長戦略 に軌道修正していることの表れだ。グーグルやフェイスブックは買収に 巨額の資金を投じているが、アップルは従来この規模の案件を避けてい た。これまでは、ジョブズ氏のアップル復帰につながった1997年のNe XT(ネクスト)買収(4億ドル)が最大だった。

ビーツ・ミュージック

今回の買収で音楽配信サービス「ビーツ・ミュージック」を手にす ることは、アップルが独自の会員制音楽配信サービス導入に真剣である ことを示している。ジョブズ氏はこのサービスに長年抵抗していた。

アップルは昨年、インターネットラジオ局パンドラ・メディアに対 抗する「iTunes Radio(アイチューンズ・ラジオ)」を開 始し、この方向に一歩前進した。

アイチューンズは音楽販売で依然として世界最大手だが、シングル やアルバムのダウンロードにとどまる。音楽ストリーミングサービスで は、顧客は楽曲へのアクセス料を支払い楽曲をデジタルライブラリーで 所有しない。ガートナーのアナリスト、マイク・マグワイア氏による と、このサービスは特に若者の間では人気が高まっているが、採算性が 低くアップルにとってもビジネス上の課題があるという。

アップルはビーツを単独の音楽アプリとして維持する計画で、アッ プル製品だけでなく、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」 やマイクロソフトの「ウィンドウズ」を搭載した端末でも使えるように する。ビーツは今年、会員制音楽サービスを開始しており、スポッティ ファイなどライバル企業と同様、月額利用料を支払えば多数の楽曲に無 制限にアクセスできるサービスを展開している。

原題:Apple Acquires Beats for $3 Billion in Biggest-Ever Deal (2)(抜粋)

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