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三井不:株価大幅安、業界最大3246億円増資で-他社も追随調達か

最大3246億円の増資計画を発表した 三井不動産の株価は28日の取引で大幅に下落した。アベノミクス効果や 東京五輪招致で事業機会が拡大すると判断、積極投資に向け大規模増資 に踏み切ったが、株式価値の希薄化が嫌気された。

同日は前日比158円安(4.7%安)の3182円で取引を終了。一 時、3105円(7%安)まで下げ、日中の下げ幅としては約1年ぶりの大 きさとなった。

ブルームバーグ・データ調べでは、今回の増資は日本の不動産業界 としてはデータをさかのぼれる71年以降で最大の規模。同社の27日の発 表文によると、新株を計1億1000万株発行し、発行済み株式総数 は12.5%増加する。

農中信託銀行のシニアファンドマネジャー新海秀之氏は、28日の同 社株の動向について、1株当たり利益の低下などをもたらす「希薄化で 下がっている」と話した。クレディスイスの望月政広アナリストらはリ ポートで、目標株価を従来の4300円から3700円に引き下げた。

同社の発表文によると、東京五輪の開催決定や国家戦略特区の指定 を契機に、東京を中心に鉄道・道路など社会インフラ整備が進むと想 定。12年に中期経営計画を策定した当時よりも事業環境が好転している と判断した。日本橋、八重洲、日比谷地区などでオフィスや商業施設の ほか、物流施設や賃貸マンションなどの投資に充てる方針だ。

引き受け主幹事は野村証券、大和証券、SMBC日興証券の国内3 社やメリルリンチ・インターナショナルなど。

他社も大型調達追随か

三菱地所の杉山博孝社長は5月、3年間の中期経営計画について投 資額は1兆円を超えると述べており、ドイツ証券の大谷洋司シニアアナ リストは、三井不の大型増資について「それを意識したのではないか」 と指摘した。

農中信託の新海氏は、「オフィス賃料が上昇局面にあることが不動 産業界全体にとり投資意欲につながっている」と分析。三井不に続き、 「三菱地所や住友不動産など大手に限らず不動産業界全体で投資を目的 としたファイナンスが続く可能性がある」と話した。三鬼商事の調査に よると、4月の都心オフィス空室率は10カ月連続低下し、平均賃料は4 カ月連続で上昇した。

同日のTOPIX(東証株価指数)は5日続伸する中、33業種のう ち不動産業指数は値下がり率1位。三菱地所は一時3.2%安、住友不動 産は同3.3%安となった。

希薄化よりも健全化

株価の下落を引き起こした大型増資計画について、株式市場関係者 からは批判の声も聞かれる。クレディスイスの望月氏はリポートで、 「永久劣後債発行など直接の希薄化が発生しない手法もあるなかで公募 増資を発表したのは株価にネガティブ」と指摘した。

社債やローンなどではなく、あえて増資という手段を採用した背景 について、ドイツ証の大谷氏は「もともと負債資本比率を気にする会社 なので、借金を増やしたくなかったのではないか」と話した。

同社の資料によると、同比率は06年度時点で1.33倍だったのに対 し、直近の13年度では1.60倍に悪化。BNPパリバの杉村康晴シニアア ナリストは27日付英文メモで、今回の増資に伴い同比率は1.2倍まで改 善し、中計最終年度(17年度)の目標1.5倍を下回る見込みだとし、 「追加の設備投資に柔軟性が出るだろう」と指摘した。

同社の株価は12年、おおむね1100円-1800円台で推移していたが、 同年末に安倍政権が発足以降、急速に回復。昨年末には一時6年ぶり高 値となる3830円まで上げ、増資計画を発表した直前の27日終値は3340円 だった。

--取材協力:持田譲二.

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