節税で本社の国外移転狙う米M&A、民主党をものともせず

米企業が外国企業との合併・買収 (M&A)を通じ登記上の本社を法人税率の低い国外に移転して節税を 図る動きに対し、連邦議会では与党民主党議員が阻止に取り組んでい る。だが企業側はそれをものともせずに機会を探っている。

「インバージョン」と呼ばれるこのような米企業の動向について、 ニューヨークの法律事務所、ジョーンズ・デーのM&A責任者、ロバー ト・プロフセク氏は「そうした要素を加味した案件を多数手掛けている が、『ではやめよう』とは誰も言わない」と語った。

インバージョンを問題視し、その制限を目指す民主党議員らは、今 月8日にさかのぼって適用される法律を制定したい考えだが、野党共和 党議員からは全く支持がない。議会での超党派の取り組みに欠くこと が、企業やそのアドバイザーがこの種の節税策を狙う背景だ。

2012年1月1日以降にこうした案件を完了ないし発表した企業は14 社に上る。民主党のカール・レビン上院議員(ミシガン州)らは、イン バージョン阻止のための遡及(そきゅう)的な適用を盛り込んだ法案を 取りまとめた。だが、米小売り大手ウォルグリーンといった企業にも投 資家が検討を迫るなど、インバージョンをめぐる動きは同議員の税法改 正の呼び掛けにもかかわらずペースが鈍っていない。

米医薬品最大手ファイザーが、英アストラゼネカに提示した買収計 画は、ファイザーの首脳陣をニューヨークにとどめたままで、米国より も低い英国の税率の恩恵を享受しようとする内容だった。アストラゼネ カはファイザーの提案を退けたが、議員らの関心を集めた。

議会による税制改革の取り組み自体の進展に乏しいとしていらだち を強める米企業幹部らは、インバージョンを含めた節税策を検討するよ う株主らが求めていると主張する。ニューヨークに拠点を置く調査会社 ISIグループの政治分析責任者、テリー・ヘインズ氏は「ワシントン からのメッセージは混乱し弱く、強力で統一的なものではない」と指摘 した。

政治力学に変化も

しかし、南カリフォルニア大学のエドワード・クラインバード教授 (税法)は、仮に象徴的な米大企業が民主党の警告を軽視し、インバー ジョンに向けたM&Aなどを計画すれば、議会としても現時点では考え られないような何らかの行動に駆り立てられる可能性があると指摘す る。

上下両院税制合同委員会スタッフのトップを務めた経歴を持つクラ インバード教授は「議会の動機は政策や政治に加え、議会に対する適切 な配慮があるかどうかの感触によっても左右される」と解説した。

原題:Dealmakers Ignore Congress Warnings Spurred by Pfizer Bid: Taxes(抜粋)

--取材協力:Zachary R. Mider、Michelle Fay Cortez.

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