欧州中央銀行(ECB)のドラギ総 裁の新たな信用緩和のプランは、それほど簡単にはいかないことが結局 明らかになるかもしれない。

ドラギ総裁は、欧州の資産担保証券(ABS)市場を再び活性化す ることで実体経済への資金の供給の栓を開けることを目指している。し かし、イングランド銀行(英中央銀行)のポール・タッカー元副総裁ら 学識経験者は、ドラギ総裁が不測の結果を招く恐れのある過去に例のな い金融システム機能への介入という危険を冒そうとしていると指摘す る。

ECBによる利下げ決定が予想される6月の政策委員会が約1週間 後に迫る中で、中銀当局者や研究者が出席し、ポルトガルのシントラで 開かれたECBフォーラムで、ドラギ総裁は26日、パッケージ化された ローンの購入によって実体経済の妨げとなっている「障害」を減らせる 可能性があると発言した。同総裁は、マイナス金利や流動性供給、大規 模な資産購入といった緩和策を支持する姿勢を示している。

国際決済銀行(BIS)でアドバイザーを務めた経験のあるブラン ダイス・インターナショナル・ビジネススクールのスティーブン・セケ ッティ教授(国際経済)は「世界のどこかで中小企業債の証券化の成功 例があれば見てみたいものだ。簡単にできるとは思わない」と話す。

行き過ぎた低インフレが過度に長期化することを防ぐ包括的な政策 を検討している政策担当者らは、リスクを回避したい銀行が敬遠する比 較的規模の小さい企業への貸し出しを促進する手段として、個人の住宅 ローンや自動車ローン、クレジットカード債権を証券化したABSの市 場に注目している。

現在はハーバード・ビジネススクールの上級研究員を務めるタッカ ー氏は「ECBがこの種の証券を購入すべきかもしれないと言う場合、 補助金付きの価格にならないとどうすれば世間を納得させることができ るだろうか。ユーロ圏のABS市場の存続は、隠されたトランスファー ユニオン(移転同盟)に事実上依存することになるのか、それとも欧州 連邦政府の補助金なしで存続することが可能だろうか」と疑問を投げ掛 けている。

原題:Draghi’s Drive for Asset-Backed Action Rouses Academic Skeptics(抜粋)

--取材協力:Joao Lima.

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE