コンテンツにスキップする

農家に降り注ぐ天の恵み-ソーラーシェアリングで新農地活用

2011年に発生した福島第一原子力発 電所事故をきっかけに政府が推進している再生可能エネルギーの固定価 格買い取り制度の恩恵を、思いがけず受けている人々がいる。それは野 菜農家だ。

高澤真さん(51)と父親の幸央さん(78)は昨年度、千葉県にある 農地の上に張り巡らせたパイプに設置した太陽光パネルで発電した電力 を売却し170万円の収入を得た。これは野菜栽培収入の約9倍に相当す る。

農業を続けながら太陽光発電をする「ソーラーシェアリング」は、 高澤家にとって天の恵みとなった。日本では大半の農家が兼業で、農業 以外の仕事の収入のほか年金や政府からの補助金に頼って生計を立てて いる。土地利用規則が緩和されたことに加え、東京電力などの電気事業 者に対しクリーンエネルギーを国が定める一定の価格で購入することを 義務付ける制度が導入されたことにより、太陽光パネルを設置する農家 が増えそうだ。

「親から農地を引き継いだら何をしようかと考えていた。コメや野 菜だけでは大したお金にならない。そんな時、ソーラーシェアリングの アイデアを教えてもらった」と、真さんは振り返る。

政府はコメ生産を40年間にわたって支えてきた減反制度を廃止する 方針だ。日本は輸入する砂糖やバターに300%超、コメに778%の関税を 課しているが、関税引き下げを求める貿易相手国からの圧力が強まって いる。

二重活用のコンセプト

真さんは東湘物産の専務取締役を務めている。フルタイムで機械販 売の仕事をしており、退職した幸央さんが主に農地を管理をしている。 日本農業新聞の2月末時点の調査によると、全国でさらに68戸の農家が 営農型発電をするための許可を得ている。

太陽光パネルを設置すると農地に降り注ぐ太陽光が約30%減るが、 農産物の生育を阻害することはないと、真さんは語る。政府はソーラー シェアリングを実施する農家に対し、農業生産の水準を維持するよう求 めている。

ソーラーシェアリングは、CHO技術研究所代表の長島彬氏が特許 を取得しているシステムだ。高澤家は750平方メートルほどの広さの農 地を利用し、10世帯に供給するのに十分な電力を発電している。

エネルギーコンサルタント会社マティオス(東京)のトム・オサリ バン氏は「この二重活用のコンセプトは農家が新たな収入源を確保する 可能性につながる」と指摘。他国の農業地帯では、土地面積が小さくて 済む風力発電がより一般的だと語る。

福島第一原発事故をきっかけにクリーンエネルギー推進プログラム が導入された12年7月以降、国内の太陽光発電容量は2倍以上に増加し 約1350万キロワットとなった。事故前に電力供給の約3分の1を占めて いた国内の原発は事故以降、稼働が停止されている。液化天然ガスや石 炭などの化石燃料が現在、日本の電力供給の約88%を占めている。

電気事業連合会のデータによれば、風力や地熱発電を含めた再生可 能エネルギーは国内の発電量の2.2%を占めるにすぎないが、現段階で 政府の認定を受けている新規プロジェクトによって太陽光発電容量はさ らに3倍に増加する可能性がある。

原題:Solar Farmers in Japan to Harvest Energy With Crops: Commodities(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE