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【日本株週間展望】最下位続く、謎の米金利低下に円高警戒感

5月5週(26-30日)の日本株は、 主要国の株価騰落率で最下位の状況が続く。経済統計は改善傾向なが ら、米国の長期金利が低下したミスマッチに市場参加者は困惑気味だ。 割安感から下値は堅い半面、為替の円高進行リスクがくすぶり、日経平 均株価は1万4000円台前半のレンジ相場を抜け切れない。

BNPパリバインベストメント・パートナーズの取締役運用本部 長、清川鉉徳氏は「円高と米金利の低下」を当面の懸念材料とし、米金 利が「イタリア、スペインと同水準というのは異常で、どれかが間違っ ている」と指摘。相対比較の中で下がった米金利も「いずれ3%方向に 戻り、為替は円安に振れようが、今が一番苦しいところ」と言う。

第4週の日経平均は、週間で2.6%高の1万4462円17銭と3週ぶり に反発。米金利の低下を受けたドル安・円高に加え、日本銀行の追加金 融緩和策に対する期待の後退などで19日に約1カ月ぶりに1万4000円を 割り込んだ。その後、予想PERが13倍台半ばと安倍政権誕生前の2012 年11月の水準まで下がり、米金利の低下と円高の一服から週後半に反 転、終値での年初来安値(1万3910円、4月14日)更新を回避した。

米10年債利回りは15日に一時2.47%と昨年10月以来の低水準を付 け、やや反転した22日時点でも2.55%で推移する。過去半年の平均 は2.74%。米経済統計の実数値と事前予想の乖離(かいり)を示すシテ ィグループ経済サプライズ指数は4月以降に改善、21日時点で3.20とお よそ3カ月ぶりのプラス圏に浮上しており、景気への懸念を内包した米 国債と実体経済との間にずれが出ている。

イタリアの10年債利回りは6日、ブルームバーグ・データで確認可 能な1993年以降で初めて3%を下回り、スペインの10年債利回りも過去 最低の3%割れとなった。長期では欧州債務危機からの着実な回復を示 す一方、目先は欧州中央銀行(ECB)による追加金融緩和観測が材料 視されている。ただ、22日時点でイタリア債は3.2%台に上昇した。

日本株にきつい「ゴルディロックス」

パインブリッジ・インベストメンツのマネージングディレクター、 前野達志氏は「在庫など循環的要因、シェールガス革命など構造的要因 から15年の米経済は14年より良くなる」と予想。ただし、米連邦準備制 度理事会(FRB)のイエレン議長は経済見通しに慎重で、「金利が上 がらないいわゆる『ゴルディロックス』は、リスク資産には良いが、米 金利が上がらないと為替が円安になりにくく、日本株は米国に劣後す る」とみている。

FRBが21日に公表した4月開催の連邦公開市場委員会 (FOMC)議事録によると、金融当局者らは景気刺激策を続けても、 インフレ率の大幅上昇を招くリスクはないとの見解を示した。ウェル ズ・ファーゴ・プライベート・バンクの地域最高投資責任者、ダレル・ クロンク氏は「これまでと同じような内容で、ハト派的だ。米国株は上 昇すると引き続き考えている」と言う。

22日までの日経平均の年初来パフォーマンスはマイナス12%と、世 界93の株価指数の中でベネズエラに次ぐワースト2位。マイナス0.2% の米ダウ工業株30種平均、プラス1.8%の独DAX、プラス1.1%の英 FTSE100など主要国の中では最下位で、ウクライナをめぐり欧米と 対立するロシアのマイナス9%にも劣る。

為替市場では、21日に1ドル=100円82銭と2月以来の円高水準に 振れ、多くの企業が15年3月期の想定レートとする1ドル=100円に接 近、業績の上積みを期待しにくい状況だ。みずほ証券リサーチ&コンサ ルティングのまとめでは、東証1部の3月期決算企業(金融除く)の今 期経常利益は3.3%増益計画と、前期の41%増益から大きく減速する。

動かざるもの乗らず

「企業の見通しが慎重なため、どこかで見通しの上方修正は入ろう が、今は決算発表が終わったばかりで情報がなく、動きはない。カタリ ストがなく、動かないものには乗らない海外投資家は多い」とBNPパ リバの清川氏。日本株の売買代金シェアで7割近くを占める海外勢の5 月の週間売買は、第3週まで320億円の売り越し、1213億円の売り越 し、907億円の買い越しと規模が小さく、方向性も定まらない。

第5週は米国で27日に耐久財受注、S&P/ケース・シラー住宅価 格指数、消費者信頼感指数、29日に中古住宅販売成約指数などの統計が 発表予定。特に住宅関連は、4月のFOMC議事録でも住宅の継続的な 減速が成長下振れのリスクと言及され、低調な内容なら米金利の低下、 ドル安・円高につながる可能性がある。

もっとも、第4週でも日経平均1万4000円の底堅さを確認、低 PER、政府の成長戦略や景気落ち込み時の日銀のアクションに期待感 は残り、一方的に崩れる相場展開も想定しにくそうだ。ことし前半の日 本株低迷は「動かない日銀、アベノミクスへの失望、米国の悪天候、中 国の景気減速とクレジットリスク、ウクライナ、国内企業業績の減速見 通し、消費税引き上げが絡み合った」とパインブリッジの前野氏。同氏 は国内政策面に大きな期待を持っていないが、海外要因を中心に「青空 とはいかないまでも、曇り空になってきた」と話している。

米オッペンハイマーのポートフォリオストラテジスト、アンドル ー・ バークリー氏は同社作成の30カ国ランキングで、日本株は最も魅 力的だと分析。企業の利益見通しの上方修正やバリュエーションの低 下、株価の値下がりを理由に挙げる。

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