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【コラム】ヘッジファンドはあなたを金持ちにしない-スミス

インスティチューショナル・インベ スター・アルファ誌(IIA)が最近発表したヘッジファンド業界調査 結果を見て誰もが、ヘッジファンド運用者らがなぜあれほど巨額の収入 を得られるのか不思議に思った。学者もジャーナリストも、手数料支払 い後のへッジファンド投資リターンが市場平均並み以上ではないことを かねてから指摘している。不思議なのは、なぜ年金基金やその他の投資 家がそれでもヘッジファンドに資金を投じ続けるのかということだ。

そもそも、人々はなぜヘッジファンドのリターンが他の投資商品よ り高いと考えるのだろうか。「ヘッジファンド」という言葉からは「異 例のスキルを持つ運用者」が連想される傾向があるようだ。昨年のスカ イブリッジ・オルタナティブズ・コンファレンス(SALT)で主催者 のアンソニー・スカラムッチ氏は出席者らに「投資信託はプロペラ機、 ヘッジファンドはジェット戦闘機だ」と語った。もちろん、われわれは 皆、ジョン・ポールソン氏、ケン・グリフィン氏、クリフ・アスネス氏 といった世界に冠たる億万長者運用者の名前を知っている。

しかし、ヘッジファンドを「ジェット戦闘機」にするような、全て または大半のファンドに共通する特徴というものがあるのだろうか。 「ヘッジファンド」とは結局、どのような資産に投資でき、どの投資家 を顧客にできるのかを規定する法律上の区分にすぎない。ヘッジファン ドが勧誘できるのは金持ちと大手機関投資家に加え、いわゆる洗練され た投資家だ。顧客が限られる代償として、ヘッジファンドは投資する資 産の種類とレバレッジの度合いについてほとんど制限を受けない。

この制限免除は理論上は、ヘッジファンドに分散投資の大きな可能 性が秘められていることを意味する。他のファンドが投資できないもの に投資できるのだから、そのヘッジファンドを通じて投資家はより幅広 い資産にアクセスできるはずだ。

自由参入

しかし、ヘッジファンド全体を特別なグループと見なす理由はそれ 以外にはない。事業免許さえ得れば、運用経験など全くない人でもヘッ ジファンドを設立することができる。経済学では、こうした「自由参 入」の業界の平均利益は競争によって限りなくゼロに近づくとされる。 「ヘッジファンド」の冠がついているからという理由だけで投資家がそ こに資金を投じれば、それは洗練された選択とは言えない。だから、資 金がどんどん流入しても、過去何十年かのヘッジファンドの成績がさえ なかった事実は驚くに当たらない。自由参入によって、市場を上回るリ ターンを挙げる能力がヘッジファンド業界から奪われたのだ。

この業界の初期の華々しい成績は、客寄せに用意された目玉商品の ようなものだったのかもしれない。人々は最初、怖がってこの資産クラ スに手を出さなかった。そこで、手数料支払い後でも素晴らしいリター ンが残ると納得してもらうことが必要だった。しかし高リターンと「ジ ェット戦闘機」の評判がいったん定着すると、ヘッジファンドは思いの ままに高い料金を課すことができ、平凡な運用者たちが山のように業界 に参入してきた。こうして、業界全体の手数料後のリターンは地に落ち た。

これは、市場平均を上回る成績を残せるヘッジファンド運用者がい ないということではない。毎年毎年、素晴らしい成績を挙げられるスー パースターが何人かはいるようだ。彼らの名前をわれわれは知ってい る。しかし残念なことに、このスーパースターたちは恐らく、われわれ のお金を必要としていない。われわれが彼らに気付いたころにはもう十 分な資金を集めていて、それ以上運用資産を増やせば平均並み以上の成 績を維持することが難しくなる。つまり、必ず市場以上の成績を挙げて くれるヘッジファンドに投資する方法は一つだけ。まだスターではない が将来スターになるような運用者を選ぶことだ。

そこで質問だ。年金基金の管理者または富裕な個人投資家であるあ なたは、まだスーパースターではないが将来そうなるファンドを選べる 平均並み以上の能力が自分にあると思いますか?答えがノーなら、ヘッ ジファンドの平均リターンに連動する指数(例えばHFRXグローバ ル・ヘッジファンド指数)に投資することを考えた方がいい。そうすれ ば、高い手数料と報酬をヘッジファンドに支払わずに分散投資の利点を 享受することができる。

原題:No Surprise That Hedge Funds Won’t Make You Rich: Noah Smith (抜粋)

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