円全面高、対ドルで2月以来の高値付近-黒田総裁会見に注目

東京外国為替市場では円が主要16通 貨に対して全面高となり、対ドルでは週初に付けた2月以来の高値近辺 で推移している。日本銀行はこの日の金融政策決定会合で政策の現状維 持を決定し、市場の関心は黒田東彦総裁の記者会見に移っている。

ドル・円相場は午後3時18分現在、1ドル=101円18銭付近。一時 は101円13銭と19日に付けた2月5日以来の円高値(101円10銭)に迫っ た。日銀の政策発表後には101円39銭まで円安方向に振れる場面もあっ た。ユーロ・円相場は同時刻現在、1ユーロ=138円66銭付近で取引さ れている。前日の海外市場では一時138円55銭と、2月7日以来の円高 値を付けていた。

みずほ証券の五十嵐聡シニアFXストラテジストは、黒田総裁の会 見が注目材料になっているとした上で、「引き続きインフレ目標達成に 強気の姿勢を示したりすると、結局、緩和はないのかみたいな見方にな る」と指摘。株式相場が下落する中で、「失望感から円高に振れる可能 性もある」とみる。

東京株式相場は日経平均株価が続落。ドル・円相場は200日移動平 均線が位置する101円25銭近辺での攻防が続いているが、五十嵐氏は、 「200日線を引けで明確に割ってきてしまうと、次は100円くらいが節目 になってしまう」としている。

日銀会合

日銀は21日の金融政策決定会合で、政策方針の現状維持を全員一致 で決めた。会合後に発表した声明では、「消費税率引き上げに伴う駆け 込み需要の反動がみられているが、基調的には緩やかな回復を続けてい る」として、足元の景気判断を据え置いた。

ソシエテ・ジェネラル証券の会田卓司チーフエコノミストは、日銀 が4月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で成長率見通しを下方 修正しながらも緩和しなかったとなると、「今年の成長率や物価が若干 弱かったとしても日銀は15年度の2%物価目標到達の旗を降ろさないだ ろう」と分析。「実際に15年度に入ってみて物価の上昇率に加速感がな いと判断した時に、初めて緩和への動きが見えてくる」と言う。

黒田総裁は午後3時半に記者会見する。同総裁は15日の講演で「仮 に、われわれの見通し通りに2%物価目標が達成されなければ、2年を 念頭に置いて2%の物価目標を達成するために、金融政策の調整を行 う」と述べた。

ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト32人を対象に行った調査 では、追加緩和の予想時期について、7月との見方が12人(38%)と最 多だったが、前回(43%)からは低下している。みずほ証の五十嵐氏 は、総裁会見で「状況次第ではちゅうちょせずに動くと言う姿勢が強調 されれば、緩和の可能性も消えていないということになるかもしれな い」とも言う。

一方、この日の米国時間には4月29、30日に開かれた連邦公開市場 委員会(FOMC)の議事録が公表される。ニューヨーク連銀のダドリ ー総裁は20日、ニューヨークでの講演で、金融当局はいずれ利上げに踏 み切るが、そのペースは「比較的緩やかになるだろう」と述べ、景気動 向や金融市場の反応に左右されるとの見解を示した。21日にはイエレン FRB議長のほか、金融当局者の講演が控えている。

ユニオン・バンクのトレーダー、白井万雄氏(ロサンゼルス在勤) は、米国の量的緩和(QE)は今後も予定通り縮小される見通しだが、 「そこから利上げに踏み切るまでの期間がちょっと長引いてきている感 がある」と指摘。FOMC議事録については「そこまで大きく景気見通 しが変わっているとも思えないので、ちょっと文言が変わっているかも しれないが、あまり影響は大きくないかなという気はする」と言う。

--取材協力:大塚美佳、Mariko Ishikawa.

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