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金融政策の据え置き決定、量的・質的緩和を着実に推進-日銀 (訂正)

日本銀行は21日の金融政策決定会合 で、政策方針の現状維持を全員一致で決めた。日本経済は2%の物価安 定目標の実現に向けた道筋を順調にたどっているとして、量的・質的金 融緩和を着実に進める構えだ。

政策運営ではマネタリーベースが年約60兆-70兆円に相当するペー スで増えるよう金融市場調節を行う方針を据え置いた。長期国債、指数 連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J-REIT)など の資産買い入れも従来の方針を継続する。エコノミスト32人に対するブ ルームバーグ・ニュースの調査では全員が現状維持を予想していた。

1-3月の実質国内総生産(GDP)成長率は前期比年率で5.9% 増と、消費税率引き上げ前の駆け込み需要により、事前予想を上回る高 成長となった。甘利明経済再生担当相は発表後の会見で、増税による駆 け込みは「想定を超えている」一方で、増税後の反動は「想定内」にと どまっていると述べた。

日銀は会合後に発表した声明で、「消費税率引き上げに伴う駆け込 み需要の反動がみられているが、基調的には緩やかな回復を続けてい る」として、足元の景気判断を据え置いた。設備投資については「緩や かに増加している」として、前月の「持ち直しが明確になっている」か ら上方修正した。

JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストはリポートで「消 費税率再引き上げに関する安倍晋三首相の判断にとって重要な意味を持 つ第3四半期GDPの伸び率に関する不透明感は払しょくされていな い」と指摘。「日銀の追加緩和なしに第3四半期GDPの高い成長を期 待できるかどうか、現時点では『微妙』という状況だ」という。

黒田東彦総裁は15日、都内の講演で「仮にわれわれの見通し通りに 2%物価目標が達成されなければ、2年を念頭に置いて2%を達成する ため金融政策の調整を行う」と言明。「追加緩和を行う選択肢はあまり ないのではないかという人もいるが私はそうは思わない。必要なら2% 目標を達成するための方法、手段、選択肢はたくさんある」と述べた。

7月緩和の見方は減少

菅野氏は黒田総裁の発言について「これは、従来の『必要とあら ば、ちゅうちょなく緩和する』という表現からさらに一歩踏み出したも のと評価できる」と指摘。「日銀も追加緩和は5月以降の経済指標次 第、ということで、現在は和戦両様の構えでいるもようだ。7月追加緩 和の可能性は依然残されている」としている。

ブルームバーグの調査では、追加緩和予想時期については、7月と の見方が12人(38%)と最多だったが、前回(43%)からは低下した。

一方、黒田総裁は同講演で、「労働需給の引き締まりなど経済のス ラックが縮小している状況を考えると、日本経済が中長期的に成長する ためには供給力を強化することが重要だということも、はっきりとして きた」と指摘。「すう勢的な人口減少と高齢化のもとで、近い将来、労 働供給がさまざまな形で問題になり得ることは疑いがない」と述べた。

総裁講演で労働問題に言及

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケット エコノミストはリポートで「もともと『2年程度で2%物価目標を達成 する』という異次元緩和の時間軸に懐疑的な見方の根拠にはそうした構 造問題がある」と指摘。木内、佐藤両審議委員も「同様の問題意識から 展望リポートの物価見通しに反対を続けていると推察される」という。

その上で「この点、黒田総裁が今回の講演で労働供給の問題に言及 したことは興味深い」と言明。「夏以降、コアCPIが日銀シナリオか ら下振れ始め、追加緩和を検討することになった場合、政策委員会のな かで『2年で2%では無理ではないか』という意見が広がる可能性に注 意したい」としている。

木内審議委員は21日の決定会合で、2%の物価安定目標の実現を 「中長期的に目指す」とした上で、量的・質的金融緩和を「2年間程度 の集中対応措置と位置付ける」との提案を行ったが、8対1の反対多数 で否決された。

黒田総裁が午後会見

日銀は昨年4月4日の会合で、目標実現については2年程度を念頭 に置いて「できるだけ早期に」、緩和期間は目標を安定的に持続するた めに「必要な時点まで継続する」と表明している。

黒田総裁は午後3時半に定例記者会見を行う。議事要旨は6月18日 に公表される。決定会合や金融経済月報などの予定は日銀がウェブサイ トで公表している。

--取材協力:谷合謙三.

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