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トレーダーがカリブ海のサーファーに-エネルギー業界の転職

欧州で風力・太陽光発電が過去10年 間で5倍に急増し、電力価格は9年ぶりの安値に下落した。そして、ラ ース・バンデル・ラーン氏(37)はカイトサーフィンのインストラクタ ーになった。

バンデル・ラーン氏の今の収入はオランダの取引会社ニデラで電力 トレーダーとして働いていた時の20%ほどだ。カイトサーフィンはカイ ト(たこ)を利用しボードに乗って水上を滑走するスポーツ。同氏はカ リブ海地域に住んでおり、天候についての最大の関心事は発電ではなく 波にどのような影響を及ぼすかだ。

「スーツとネクタイはもう身に着けない。月に2回、靴を履く必要 があるだけだ」。オランダ領アンティル諸島のボネール島からの電話イ ンタビューでバンデル・ラーン氏はそう語る。オウムの鳴き声が木々の 間から聞こえてくる。

ドイツのRWEやフランスのGDFスエズなどの電力会社は、代替 エネルギーの急増により計4000億ドル(約40兆5000億円)を超える時価 総額を失った。米バンク・オブ・アメリカ(BOA)やカーギルなど は、市場が自由化された1990年代以降、需要後退と規制強化を理由にト レーディングチームの大半を解散している。

複数の人材仲介会社によると、電力・ガス業界では10年以上前の米 エネルギー会社エンロン破綻以降で最大の再編が進んでいる。欧州では 昨年、電力・ガストレーダー約120人が失業または転職した。エネルギ ー市場を離れたトレーダーらの一部は現在、不動産業や農業、ワイン販 売を手掛けている。英コモディティ・アポイントメンツによると、現在 もトレーダーとして勤務する人々の収入は、ピークだった2007年当時の 約25%に落ち込んでいるとみられる。

仕事と生活のバランス

10年以上前に創業した人材仲介会社パーセルのジョン・パーセル最 高経営責任者(CEO)は「エネルギー市場は、多くの部門やポジショ ンが消え変動期にある。これらのトレーダーが持つスキルは非常に特殊 なので、失業して他業種で働くには再び訓練を受ける必要があるかもし れない」と指摘する。

エンジェル・サンズ氏(38)は英バークレイズ(ロンドン)で商品 セールス・オリジネーション担当ディレクターとして6年間勤務し、昨 年6月に退社した。現在は妻の別荘販売の仕事を手伝っている。夫妻で 運営するドムス・グローバルを通じ、スペインやチェコで別荘を販売し ている。

「今も長時間勤務だし出張も多いが、勤務時間を自由に選べるので 仕事と生活のバランスが以前よりも取れている」とサンズ氏は語る。

バンデル・ラーン氏はニデラなどで13年間勤務し、カイトサーフィ ンを教えるボネール・カイト・スクールを創設した。トレーダー時代に はよく手に入れることのできた高価な腕時計や自動車、ライフスタイル を懐かしいとは思わない。スイスの腕時計メーカー、ブライトリング製 の腕時計を持っているが、自分の腕に巻くことはない。

「欧州から転居する時、フォルクスワーゲン製のSUV(スポーツ 型多目的車)トゥアレグの自家用車のほかに社用車も持っていた。今 は10年落ちのメルセデスのバンにボートトレーラーを取り付けて乗って いる」と同氏は話した。

原題:Energy Trader Turned Caribbean Surfer Now Watches Wind for Waves(抜粋)

--取材協力:Lars Paulsson、Julia Mengewein、Alessandro Vitelli、Isis Almeida.

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