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海辺のダイモン氏がヒント-ロンドン金融界が打たれ強い秘密

JPモルガン・チェースのジェイミ ー・ダイモン最高経営責任者(CEO)はコーヒーカップを手に、行員 の1人が「グローバル・コマンド・センター」の入り口の鍵を開けてく れるのを待っている。

ダイモンCEO(58)がオフィスに入ると、20人ほどの行員がヘッ ドフォンを付けてコンピューターに向かっている。壁には4つのモニタ ーが、世界地図と最重要顧客リスト、世界の資金の流れを表示してい る。

今月のある日、センターを訪れたダイモンCEOはモニターの一つ を指しながら「ここでは数兆ドルの資金の動きをモニターしている」と 説明。「世界中で起こる問題をこの部屋から特定し対処することができ る」と語った。

このオフィスがあるのはニューヨークか東京、ロンドンと思うだろ うが違う。ロンドンから約174キロ離れた英国南部の海辺のリゾート 地、ボーンマスだ。このオフィスでは4000人余りが働いており、JPモ ルガンは地域最大の雇用主だ。このオフィス近代化に同行は4800万ドル (約48億6000万円)を投じている。

銀行業界にとってのへき地にオフィスを構える一種の「ニアショア リング(近場へのアウトソーシング)」が、ロンドンを核に世界の金融 センターとしての地位を英国が確固たるものにしていくことを可能にす る。

追撃かわす手段

ノーザン・ロックの破綻、ロイヤル・バンク・オブ・スコットラン ド・グループ(RBS)とロイズ・バンキング・グループの救済、ロン ドン銀行間取引金利(LIBOR)と外国為替レート操作スキャンダ ル、そしてJPモルガンの「ロンドンの鯨」トレーディング損失事件と 不祥事がロンドンに付きまとってきた。そのロンドンが香港やシンガポ ールなど他の金融センターからの追撃をかわすのに、こうしたサテライ トオフィスが貢献している。

ロビー団体のザシティーUKのクリス・カミングス最高経営責任者 (CEO)はこうした英国の状況を中央の拠点(ハブ)空港に荷物を集 中させてから各拠点(スポーク)に分散させる空輸ネットワークシステ ム「ハブ・アンド・スポーク」に例え、「金融業界の拠点はロンドンだ けじゃない」と述べた。

英民間調査機関の経済ビジネスリサーチセンター(CEBR) は2012年に、ロンドンの金融業界の雇用が14年には23万6494人と07年 の35万4134人から減ると予想した。一方、香港では23万5210人、シンガ ポールは17万24人に、07年のそれぞれ17万2967人と10万9700人から増え ると予想。ニューヨークは28万7997人から24万9429人に減る見込みだと した。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのトニー・トラバース教 授は、「銀行や金融の活動は世界中で伸びていく。ロンドンと周辺都市 にとっての問題は、それが英国内で起きるか国外で起こるかだ」と話し た。

英国でロンドンの外に拠点を設けているのはJPモルガンばかりで はない。ドイツ銀行は年内にバーミンガムの従業員を2倍に増やす計 画。モルガン・スタンレーはグラスゴーに、シティグループはベルファ スト、バンク・オブ・アメリカ(BOA)はチェスターにオフィスを持 っている。

原題:Dimon-by-the-Sea Shows London Banking’s Engine of Growth: Cities(抜粋)

--取材協力:Neil Callanan.

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