【M&A潮流】ソニー、ローブ氏の事業分離案受け入れ潮時か

ソニーが物言う株主として知られる ダニエル・ローブ氏から事業分離案を突き付けられてから1年。株式時 価総額が約20億ドル(約2030億円)減少したソニーにとって、ローブ氏 の案をそろそろ受け入れる潮時かもしれない。

ソニーはパソコン(PC)部門の売却といった再建策を試みた。し かし、苦戦するエレクトロニクス(エレキ)事業に集中できるよう、ロ ーブ氏が昨年5月に初めて娯楽事業の分離を迫った時よりも、株価 は12%安い水準にある。同社は今月14日、今期(2015年3月期)決算が 事業構造改革に伴う費用などの影響で、7年間で6回目の赤字になると の見通しを発表。これを受けて同社株は今月16日時点で8.8%下落し た。

ハドソン・スクエア・リサーチのアナリスト、ダニエル・アーンス ト氏は電話インタビューで、「昨年はいくらか希望があったが、今はそ れも失われつつあると受け止められる」と述べ、ソニーのエレキ事業が 悪化すればするほど、ローブ氏の分離案を「検討するよう圧力が強ま る」と予想した。

ソニーはエレキ部門の業績改善を図るため、解像度が高い4Kテレ ビや高性能スマートフォンに重点を置いているが、これらの製品は同社 が必要とする救いにはならないとアーンスト氏はみる。映画「スパイダ ーマン」を手掛け、マイリー・サイラスらの音楽アーティストも所属す る娯楽部門を分離すれば、ソニーはエレキ事業再建に取り組みながら、 一段と利益の多い黒字事業の価値を投資家に評価してもらえると、リバ ーフロント・インベストメント・グループは指摘する。

ジェフリーズのアナリスト、アツール・ゴーヤル氏によれば、ソニ ーの部門ごとの株価を試算して合計すれば2090円となり、先週の終値よ り27%高い水準になる。ビデル・フレイザー・インベストメント・カウ ンセリングの試算では最大53%高い評価になるという。

グッドバンク/バッドバンク

リバーフロントの国際ポートフォリオ運用ディレクター、クリス・ コンスタンティノス氏は、事業分割が「延び延びになっている」と指 摘、「『グッドバンク/バッドバンク』のような事業分割案を実行でき よう」と語った。

ローブ氏率いるサード・ポイントは昨年5月、エレキ事業に集中で きるよう、黒字経営の娯楽部門の最大20%を新規株式公開(IPO)で 売却するよう提案。ソニーは同案を8月に拒否したものの、今年2月に はPC事業の売却方針を発表。テレビ生産部門を分社化する方針を打ち 出した。

事業分割が「次の論理的なステップ」になり得ると言うコンスタン ティノス氏は、「エレキ事業は総じて失望続きのようだ。悪い四半期が 続いた後、悪材料は全て織り込まれたかもしれないという見方も一部に 出始めていた。何らかの事業刷新に踏み切る機が熟している」と指摘し た。

--取材協力:Aaron Clark、Angus Whitley.