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有名過ぎる「天国への階段」のイントロ、著作権係争に発展か

レッド・ツェッペリンのギタリス ト、ジミー・ペイジは1970年、英国ウェールズの人里離れた石造りのコ テージに引きこもり、電気も水道もない中でろうそくの明かりを頼りに 「天国への階段」の骨組みを固めた。ロック史上最も愛され、最も評価 が高いとされるこの曲はアコースティックギターのアルペジオで始ま る。このイントロに刺激を受けてコピーを試みたギタリストは、世界中 に大勢いることだろう。

その冬、イングランドに戻ったペイジは、邸宅ヘッドリー・グラン ジで後の名曲の骨格をメンバーに披露した。燃え盛る暖炉の炎の前でペ イジがつまびくギターに、ロバート・プラントが神秘的な歌詞を合わ せ、天国への階段はその魔力を深めていった。ペイジ自身が「マイ・ベ イビー」と呼ぶこの曲は、レッド・ツェッペリンの功績を代表する名曲 となった。

「天国への階段はツェッペリンのエッセンスを結晶化したものだ」 とペイジはローリング・ストーン誌(75年3月13日号)のインタビュー で、当時ティーンエージャーだったライターのキャメロン・クロウ氏 (現映画監督)に話した。「バンドにとって金字塔だった。ミュージシ ャンは誰でも長く通用する質の高い音楽を残したいと考える。僕たちは 天国への階段でそれをやってのけた」と述べた

「天国への階段」はライブで演奏されたときに、その最初の音から エネルギーを放出する。英オブザーバー紙の評論家トニー・パーマー氏 は75年、「最初のコードが演奏されると同時に2万人の観客が一斉に立 ち上がる。歓声を上げたり拍手したりするのではなく、これから会場全 体が一つになると思って自然に立ち上がるのだ。そんな曲がほかに考え られるだろうか」と書いている

ランディ・カリフォルニア

そのイントロを書いたのがジミー・ペイジではなく、他のツェッペ リンのメンバーでもなく、米カリフォルニア州の忘れ去られたバンドだ としたら、ロックの歴史は書き直される必要があるかもしれない。

ロサンゼルスのバンド、スピリットは68年にファーストアルバム 「スピリット」をリリースした。これに収録されているインストゥルメ ンタルの「トーラス」は、スピリットのギタリスト、ランディ・カリフ ォルニア(本名ランディ・ウルフ)が作曲したものだ。「トーラス」は 2分37秒の短い曲で、その中の1分ほどのギター演奏部分は「天国への 階段」とかなり似ている。

68年はレッド・ツェッペリンにとって重要な意味を持つ一年だっ た。ファーストアルバムのレコーディングを終えて米国に渡り、プロモ ーションの一環で各地で演奏した。12月26日、デンバー・オーディトリ アム・アリーナでツェッペリンにとって初めての米国ライブが行われた が、ツェッペリンはスピリットの前座だった。

心の傷

スピリットの創立メンバーであるベースのマーク・アンデスは、ツ ェッペリンはその時に「トーラス」を聞いたのだろうと語る。その頃の スピリットの演奏曲リストに「トーラス」は常に含まれていた。「すば らしい気分だった。たいてい力強い曲の後にこれを演奏するのだが、反 応はいつも良かった」とアンデスはヒューストン郊外の自宅で振り返っ た。「彼らはそういう流れを見ていたに違いない」と続けた。

「トーラス」を作曲したランディ・カリフォルニアは数十年もの 間、「天国への階段」について公に不満を漏らすことはなかったが、97 年にリスナー誌のインタビューで、「心の傷になっている。いつか彼ら が良心に従ってくれるかもしれない」と述べた。カリフォルニアは97年 1月2日、ハワイで波にさらわれた12歳の息子を助けようとして溺死し た。

その遺志を継いだ動きが法廷の場に持ち込まれる日がやってくるか もしれない。カリフォルニアの著作権管財人とアンデスは、「天国への 階段」の作曲者名にカリフォルニアの名前を入れるよう、著作権侵害の 訴訟を起こす計画だ。折しも6月から、レッド・ツェッペリンの全アル バムのリマスタリング版再リリースが始まる。アンデスらは「天国への 階段」が収録された「レッド・ツェッペリンIV」のリリース差し止め を求める意向だ。

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