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GPIF改革は政治・株価支援圧力から切り離す必要-塩崎氏

年金積立金管理運用独立行政法人( GPIF)のガバナンス(組織統治)改革では、政治や株価支援の圧力 を受けない体制を構築すべきだ-。自民党の塩崎恭久政調会長代理は、 GPIF改革は所管官庁の厚生労働省との協議も含め、今後数日でさら に進展すると語った。

自民党の日本経済再生本部・金融調査会合同会議(事務局長:山本 幸三衆院議員)で本部長代行を務める元官房長官の塩崎氏は15日午後、 都内での討論会で、同党は来週、新たな成長戦略を発表すると発言。法 律改正が必要なGPIF改革も盛り込むと表明した。過剰な規制や銀行 の貸し出し戦略、政府による経済活動への介入過多、企業統治、「物言 わぬ」株主、地方の金融機関や企業の再編なども課題だと述べた。

安倍晋三内閣が日本経済の活性化を目指し、日本銀行の黒田東彦総 裁が2%の物価目標を掲げる中、GPIFは金利上昇で評価損を被りか ねない国内債の比率引き下げを求める圧力に直面。昨年11月には政府の 有識者会議が国内債偏重の見直しやリスク資産の拡大検討、ガバナンス (組織統治)改革などを求める提言をまとめた。

有識者会議の提言は、権限・責任が理事長1人に集中する独任制の 下では十分な機能発揮が期待できない場合もあり得ると指摘。収益向上 を狙ったリスク資産への投資拡大には高度な知識を持つ常勤の専門家ら による合議制が望ましいとの見解を示した。ガバナンス改革には法律改 正が必要で、安倍内閣が6月にまとめる「骨太の方針(経済財政運営と 改革の基本方針)」にどう盛り込まれるか、市場が注目している。

短期的な政治目的の道具

15日の討論会には、GPIFで審議役を務めた玉木信介大妻女子短 期大学教授も参加。GPIFは分散投資の推進が今後の課題になると指 摘する一方、積立金は1円1円が国民の資産であり、短期的な政治目的 の道具にされてはならないとも述べた。

プライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社ユニゾン・キ ャピタルを経営する山本修氏は、公的年金の運用改革には国民的な合意 形成が必要だと発言。法律改正で後戻りを防ぐべきだとも話した。日興 アセットマネジメントの柴田拓美社長兼最高経営責任者(CEO)は、 GPIFが内外債券・株式のみに投資してきたのは過去の政治的な妥協 の産物だと指摘。海外では年金基金がリスクマネーの出し手になってい ると語った。

自民党の日本経済再生本部の金融資本市場・企業統治改革グループ で主査を務める柴山昌彦衆院議員は12日のインタビューで、GPIFに 複数の専門家からなる理事会を設置し、株式などへの積極投資を促す改 革案を政府への提言に盛り込む方向で調整していると発言。理事には 「アクティブ運用の経験がある民間人」が入るのが望ましいとも述べ た。

政府は昨年12月24日の閣議決定で、GPIFの職員数や給与水準の 弾力化、運用委員会に複数の常勤委員などを認める方針を示した。田村 憲久厚生労働相は3月25日、GPIFの中期目標を変更し、資金運用を 見直すための専門家確保に必要な経費は、政府が独法に課した経費節減 の対象外とした。

安倍首相は1日にロンドンで、GPIFの運用改革を訴えた。麻生 太郎財務相は先月17日、GPIFの運用のあり方を6月までの成長戦略 の改定作業で検討していくと述べた。

三谷隆博理事長が率いるGPIFは有識者会議の提言に沿う形で、 すでに物価連動債への投資や海外インフラ投資、自己資本利益率 (ROE)を重視した国内株運用、J-REIT(不動産投資信託)投 資などを相次ぎ開始。外債運用の委託先見直しにも着手した。

厚生年金と国民年金の積立金128.6兆円を抱えるGPIFの資産構 成比率を定めた基本ポートフォリオは国内債が60%、国内株は12%な ど。昨年末時点では国内債が55.2%と06年度の設立以降で最低となる一 方、国内株は17.2%と07年12月末以来の高水準を記録した。GPIFが 注視する年金特別会計分も含めた実績は国内債が53.4%、国内株 は16.7%だった。

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