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円は対ドル111円へ下落も、変動相場制以降の反動パターン示唆

円安・ドル高トレンドの寿命は尽き ていない-。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、日本銀行の追加 緩和が円高の進行を食い止める役割を果たすとし、テクニカル分析の観 点からは2008年1月以来の水準となる1ドル=111円程度まで円安が進 む可能性があると指摘する。

円は対ドルで年初に105円44銭と約5年ぶりの安値を記録。金融危 機発生前の2007年6月に付けた安値124円14銭から11年10月の戦後最高 値75円35銭までの上昇幅の61.8%戻しを達成した形だが、その後円は下 げ渋り、今月7日には一時101円43銭まで水準を切り上げた。

三菱UFJモルガン・スタンレー証の植野大作チーフ為替ストラテ ジストは、1973年に日本が変動相場制に移行して以降、長期トレンドが 円安・ドル高基調に転換した7回の局面のうち、6回は先の円高局面 の61.8%以上戻していると指摘。7回の平均的な戻り率74%を当てはめ ると、今回は111円程度まで戻す余地があると言う。

植野氏は、「過去の戻り率は貿易収支が黒字だった時代のものであ り、同収支が赤字になっていることを考えると、今回は過去の平均より も高くてもいいかもしれない」と指摘する。その上で、円高が加速すれ ば「結局、物価目標が達成できなくなるので、日銀はさらに強力な爆弾 を落とさざるを得なくなるという安心感がある」とし、日銀の追加緩和 が「円高阻止のサーキットブレーカー」の役どころを担う中、「なかな か円高シナリオを描けない」と話す。

相場の転換点などを測る指標であるボリンジャ―バンドは、ドル・ 円が先週、一般的に値動きの95%程度がその範囲内に収まるとされる標 準偏差の2倍の下限ラインに約7週間ぶりに達し、一段のドル安・円高 が進む確率が低下していることを示唆した。

惰性の法則

日銀による異次元緩和や安倍晋三政権の経済対策への期待を背景に 円は昨年対ドルで18%下落し、34年ぶりの大幅安を記録した。しかし、 年明け以降は円安の流れが一服し、2月以降は101円から103円台を中心 とした狭いレンジでの推移が継続。年初からの値幅は4円68銭と、固定 相場制が事実上崩壊した1971年以降の最小となっており、相場変動率は 約7年ぶりの水準まで低下している。

植野氏は、今の低ボラティリティが「長続きするわけはない」とし た上で、1年前の水準を踏まえると、長期トレンドを示す52週移動平均 線は今後も緩やかな円安・ドル高傾向を維持する可能性が高いと分析。 ウクライナ問題などがくすぶる中、現在100円68銭にある同ラインを昨 年末の突破以降、初めて試す可能性はあるものの、「ドル・円の場合は 一度トレンドが方向転換すると惰性の法則の方が強く働くので、今回も 1回タッチしたら、上がってくるだろう」とドル高・円安の再開を予想 する。

ドル・円の3カ月物の予想変動率(インプライド・ボラティリテ ィ)は9日に一時6.23%と、2007年6月以来の低水準を付けた。日本時 間14日午前11時15分現在の円相場は102円18銭前後で推移している。

100円は割れず

野村証券が7日に実施した調査では、回答者の円安期待が中短期と もに後退したことが示された。7月会合までに日銀が追加緩和に踏み切 るとの予想は前回3月調査の82%から31%まで低下し、ドル買い・円売 りのポジションは13年1月以降の最小に縮小していることが示唆された という。

同証金融市場調査部の池田雄之輔チーフ為替ストラテジストは、早 期緩和期待の後退は、緩和見送りが「失望」による大幅な円高を招く可 能性が小さいことを示唆し、円売りポジションの縮小からもドル・円の 下落リスクは限定的だと分析。むしろ6月に政府がまとめる新たな成長 戦略で年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)改革が打ち出され れば、「それなりに円安になる」とみている。

野村証は6月末に円が107円まで下落し、年内には112円程度まで円 安が進むと予想する。池田氏のチームは3月4日時点で、向こう3カ月 間、ドル・円が100円を割れなければ支払いを受けることができるノー タッチオプションの購入を推奨。同氏は「今後も100円を付けることは ないと思っているので、そのままモデルポートフォリオで持ち続ける」 と語る。

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