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【コラム】世界の大金持ちとロンドンは相思相愛-ギルバート

国内総生産(GDP)約2兆5000億 ドル(約254兆円)、世界7位の経済大国である英国。ここには金持ち を引き寄せる一画がある。

それはロンドンだ。英紙サンデー・タイムズによれば、ここにいる ビリオネアは世界のどの都市よりも多い。英国全体では104人と昨年 の88人から増え、うち72人が首都ロンドンに住んでいる。これに対し て、モスクワは48人。3位のニューヨークは43人。さらに言えば、英国 にいるビリオネア上位10人うち9人が外国人。英国人ではウェストミン スター公爵が85億ポンド(約1兆4500億円)の資産で辛うじて10位に食 い込んだだけだ。英国にいるビリオネア全員の資産を合わせると3010億 ポンド。

彼ら104人だけの金持ち王国が独立したら、世界で24番目の経済大 国になる。ランキング上ではGDPが5140億ドル程度のイランと、 同5000億ドルのノルウェーにはさまれることになる。

比較的問題の少ない税制はもちろんのこと、英国が世界の金持ちを 引き付ける大きな理由は私有財産を尊重する法制度や比較的健全な政治 システム、そしてつまづくことなく静かに漂流する感じの経済だろう。 英国が国として資産接収や銀行口座差し押さえを行う公算は小さい(も っとも、ウクライナ問題でロシアの一部個人に対してこの原則が試され る可能性はある)。

さらに、英国は住民を外国の税務当局に密告しない。ロンドンで起 きたことはロンドンの外には出ない。富裕層の移住先と長らくみられて きたスイスは、米国の税務当局と銀行口座の詳細共有で合意したり、自 国通貨に上限を設けることで評判を落とした。米国では資産公開規制の 強化が7月に発効予定で、米国市民権を放棄する海外在住の米国人が急 増している。

住宅、社会不安

ロンドンに金持ちが増えて物を買ってくれたり雇用を増やしてくれ るのは、間違いなく良いことだ。ただ、マイナス面も幾つかある。

まずは住宅価格。英政界でも騒がれるようになり、外国人が不動産 を購入してもそこに住まない場合は新たに課税されるようになるかもし れない。ロンドンの不動産の平均価格は同地を除く英全体の2倍で、過 去5年に60%も急騰した。2つ目は経済緊縮の時代には社会不安のリス クが常にあるということだ。

ともあれ、金はそれを欲する場所に流れ、大切にされればそこにと どまる。少なくとも今は、マネーとロンドンは相思相愛の関係にあるの だ。(マーク・ギルバート)

(マーク・ギルバート氏は、ブルームバーグ・ビューのコラムニス トです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

原題:Billionaires Love London Because They Feel Safer: Mark Gilbert(抜粋)

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